私の事務所にはホームページの無料相談を経て、実際に面談での相談にお見えになる方
もいらっしゃるのですが、このブログをお読みの方の中にも、「実際の相談ではどんな
ことをしているのだろう」と気になっている方もいるのではないかと思います。

なので、今回のブログでは、その時の雰囲気が少しでも伝わるよう、もっともよくパタ
ーンを通じて、その時のことを会話形式でお伝えしたいと思います。

 

融資の相談はこうして始まる

相談者 「本日は飲食店の開業で必要となる融資の相談で伺いました。」

当 方 「お電話で相談いただいた山本さんですね。
     本日はお越しいただきありがとうございます。

     概要についてはすでにお電話で伺っていますが、詳細な部分について改めて
     教えてください。まず、お手元に資料があればいただけますか?」

相談者 「はい。事前に言われたとおり、これが身分証明書と簡単な事業のプランをま
     とめたもの、300万円の自己資金の入った通帳。それと前職での経歴の経歴
     を書いたものとテナントの賃貸借の契約書となります。
     内装や設備の見積もりはまだ、ありません。借入希望額は1,200万円です。」

当 方 「了解しました。(しはらく資料に目を通した上で)
              通帳を見るとこの300万円は、以前のお仕事で貯められたお金がほとんどのよ
     うですが、この中の100万円については他の方から振り込まれていますね。
     このお金は何でしょうか?」

相談者 「それは開業の援助として母親からもらったお金ですが、何か問題があるので
     しょうか?」

当 方 「そういうことであれば、問題はありません。しかし、これが親から借りたお
     金であるとか、もらったものでも現金でもらったものを入金したような場合
     には、自己資金と認めてもらえなくなってしまうのです。」

相談者 「そうなのですね。あふなく現金でもらってしまうところでした。」

当 方 「そうですね。お客様の中にはせっかく親から援助を受けたのに、現金でもら
     ってしまったため自己資金として認めてもらえないケースもあります。
     ちなみにそのやり取りについては、お母様の通帳が必要となる場合もありま
     すが、その点は大丈夫でしょうか?」

相談者 「はい、必要があれば、母親の通帳も見せることができます。」

 

先に支払ったお金は融資できない?

当 方 「なお、先月の25日に預金から70万円が引き出されていますが、これは何でし
     ょうか?」

相談者 「はい、それはテナントの賃貸借の契約金と保証金を支払ったものです。」

当 方 「なるほど。確かに賃貸契約書を見ると当月分家賃として1ヶ月、契約手数料と
     して1ヶ月、それと保証金として5ヶ月分の7ヶ月分の70万円をすでにお支払
     いになっているのですね。」

相談者 「前から目をつけていた物件が開いたので、融資前ですが借りてしまいました。」

当 方 「70万円の使い道についてはわかりました。
     なお、この70万円についてはこれを自己資金の一部とすることはできますが、
     融資の申し込みの対象とすることはできませんよ。」

相談者 「えっ、なぜですか?」

当 方 「はい、ご存じない方が多いのですが、融資ではすでに支払ったものについて
     は遡って申込むことは手出来ないことになっているのです。でも、この先に
     支払った70万円については自己資金として認めてもらうことはできますよ。」

相談者 「そうなんですね。てっきり、事業のために支払ったお金も融資してもらえると
     思っていました。だとすると、あまり融資申し込み前にあれこれと使ってしま
     うと融資を受けられる金額が少なくなってしまうのですね。」

当 方 「そういうことになります。私のお客さんの中でも、よかれと思ってかなりの支
     払いを先にしてしまった人がいますが、そのせいで申し込める額が相当少なく
     なってしまったというケースもありました。」 
     それと、融資が出るまでは申し込んでから1~1.5ヶ月程度の時間がかかります
     が、その間も家賃は支払わなければなりませんけど、よろしいのでしょうか?」

相談者 「気に入った物件はなかなか出てこないので、やむを得ないと考えていますが、
     負担を減らすためにもできるだけ早く、確実に融資をお願いしたいと考えてい
     ます。」

当 方 「了解しました。でも、融資の申し込みをするためには資料をそろえたり、事業
     計画を作ったりしなければなりませんので、そのための時間も必要となります
     がよろしいですね。」

相談者 「事業計画書の作成には、どのくらいの時間がかかるのでしょう?」

当 方 「それは依頼人の方がどれだけ必要な資料を用意していただけれるかによります。
     最短で5日というケースもありますが、通常は書類のやり取りや計画の内容の
     チェックも必要となるため1~2週間程度の時間がかかることが多いです。」

相談者 「必要なことがあればできるだけ協力しますので、よろしくお願いいたします。」

 

融資の申し込みは2つを同時に!

当 方 「なお、融資の申込み先としては、どこをお考えですか?」

相談者 「よくわからないのですが、とりあえずは日本政策金融公庫に申し込もうと考え
     ています。」

当 方 「日本政策金融公庫は当然として、山本さまは制度融資というものをご存知でし
     ょうか?」

相談者 「いえ、聞いたことがありません。」

当 方 「制度融資とは、信用保証協会という国の保証機関と、都や県などの行政、それ
     と金融機関とが一体となって、創業者や中小企業に対して融資をする仕組みで
     こちらに対しても融資を申し込むことができます。」

相談者 「それでは、日本政策金融公庫とは別に申し込むことができるのですか?」

当 方 「はい。この2つの機関は全く別物ですので、それぞれに対して申込みをするこ
     とが可能です。
     しかし、一つ気をつけていただきたいのが、どちらか先に融資を申し込むのは
     やめた方がよいということです。」

相談者 「それはなぜでしょうか?日本政策金融公庫に申し込んで、結果次第で制度融資
     に申し込むというのではダメなのでしょうか?」

当 方 「もちろん、そういう方法も可能です。ですが、もし、日本政策金融公庫に1,200
     万円全額の申込みをして、その結果、融資が例えば900万円しかでないという
     可能性もあります。その場合、山本さまが残りの400万円について制度融資に
     申し込んだとしても、その400万円全額が融資される可能性は低くなります。」

相談者 「えっ、なぜですか?」

当 方 「なぜなら、その場合には、すでに山本さまは900万円の借入がある方として審
     査されるからです。
     なので、たとえ400万円の借入れであったとしても、今の時点よりはかなり借
     りにくくなってしまうのです。
     しかし、はじめから1,200万円とか、そこまでいかなくとも日本政策金融公庫
     しては900万円を、制度融資に対しては500万円程度の申込みをした方が
     希望額を獲得できる確率は高くなるわけです。」

相談者 「なるほど。今回の私のようにできるだけ早く、確実に融資を狙っていくのなら
     ば片方の結果を見てからするのではなく、はじめから同時に申し込んだ方がよ
     いということになるわけですね。」

当 方 「そういうことになります。それに仮にこの方法で申し込んだ場合、最大で1,400
     万円以上の融資を獲得できる可能性もありますので・・・」

 

なぜ金融機関によって申込額を変えるのか?

相談者 「了解しました。その方向で考えたいと思います。
     でも、なぜ、日本政策金融公庫には900万円なのに、制度融資では500万円の申
     込みにするのでしょうか?」

当 方 「山本さまの計画の概要を拝見したところ、概算では約1,000万円程度の資金が
     必要になるかと思います。しかし、
先ほどもお話ししたように、このうちの70
     万円についてはこれを自己資金の一部とすることはできますが、これを
融資の
     対象とすることはできません。

     ですので、この70万円を差し引くと、必要な資金額は1,000万円-70万円=970万
     円ということになります。」

相談者 「なんだかよくわかりにくい話ですね。」

当 方 「そうですね。しかし、これはルールなので従うよりは仕方ありません。
     ですので、先ほどの話に戻りますと、山本さまの申込ができる妥当な額として
     は、ざっくりとですが内装費400万円、当初の仕入れ代140万円、什器備品代
     120万円、当初4ケ月分の人件費や家賃等が35万円×4ヶ月分で140万円、宣伝広
     告費で50万円、雑費20万円の合計870万円ということとなります。
     つまり、これが融資の申込みの出来る妥当な額なわけです。」

相談者 「なるほど了解しました。
     申し込みをするには、キチンと根拠がなければダメということですね。」

当 方 「はい、そういうことです。
     ですがこの870万円というのはあくまでも、今回の事業の費用の全額です。
     これを一つの金融機関に申し込むのはかまわないのですが、設備部分のお金に
     ついては同じものを2つの金融機関に申込むというのはおかしなこととなって
     しまいます。
     また、このようなことをすると後で調査に入られたときに、本来は設備購入の
     ために融資を受けたお金を運転資金として使ったということになるため、最悪、
     その分の返還を求められかねません。
     なので、2つの金融機関に申込む場合には、一方は全額を申込むとしても、も
     う一方については家賃や人件費といった運転資金だけを申し込むというのが無
     難なわけです。
     そういうわけで、今回のケースでは、残りの金融機関には運転資金分の合計と
     なる500万円程度(正確には470万円)を申込むことになるのです。」

 

融資を申込む金融機関はどこがいい?

当 方 「ところで、制度融資を申し込みにはどこかの金融機関から申し込む必要がある
     のですが、どこかお付き合いの金融機関はありますか?」

相談者 「いえ、特にはありません。
     現在、通帳を作っているのは、郵便局とメガバンクの三菱銀行だけです。」

当 方 「そうですか。
     日本政策金融公庫については、その事業の営業場所を管轄する支店に申込めば
     よく、振り込みための通帳もどこのものでも構いません。
     ですが、制度融資を利用する場合はどこかの金融機関から申し込む必要がある
     ため、まずは融資の申込みを引き受けてくれる金融機関を探さなければればな
     りません。」

相談者 「郵便局や三菱銀行ではダメなのでしょうか?」

当 方 「残念ながら、郵便局では制度融資の取り扱いをしていません。
     それ以外の金融機関であれば、原則、どこでも大丈夫ですが、三菱銀行のよう
     なメガバンクや一部の金融機関ではあまり積極的に創業融資を扱っていないと
     いうのが現実です。
     なので融資の申込みをするのであれば、信用金庫やあまり規模の大きくない地
     銀あたりがよいでしょう。」

相談者 「どちらにも取引はないのですが・・・」

当 方 「信用金庫などであれば、普通に申込みをOKしてくれますので、まずは一度、ご
     相談に行ってみてください。
     但し、この時には事業所のそばの信用金庫を選ぶようにしてください。
     なぜなら、信用金庫では銀行と違って、営業ができるエリアに制約があるため
     支店からあまり遠いお客とは取引できないからです。
     でも、目安としては、山本さまの事業所から1km以内であれば、ほぼ大丈夫だ
     と思います。」

相談者 「いきなり行っても大丈夫でしょうか?」

相談者 「もちろん、行く前には事前にアポを取っておいてください。
     また、その際には担当者からいわれた資料をご用意ください。
     融資窓口というのがありますので、そこで創業融資の申込みをしたいといって
     いただければ結構です。」

相談者 「行くのは一つの信用金庫だけでいいのでしょうか?」

当 方 「もし可能であれば、2つ、もしくは3つくらいの違った信用金庫に出向いていた
     いただいた方がよいでしょう。
     なぜなら、信用金庫といえども創業融資に積極的なところがある半面、そうで
     ないところもありますので、できれば1ヶ所で決めずに何か所かを回っていただ
     き、その中で最も好意的なところを選んだほうが融資の確率も上がります。」

相談者 「そんなことで融資の確率が変わることもあるのですか?」

当 方 「創業融資で一番重要なのは、信用保証協会からの保証の承諾が取れるかどうか
     です。

     逆に言えばこれが取れれば、どこの金融機関でもほぼ100%融資をしてくれます。
     信用金庫の担当者でも、融資に積極的なところは何とか信用保証協会を説得し
     て融資を出そうとしますが、中には事務的な対応しかしないところもあります。
     そうなれば、自ずと融資の結果にも多少の影響が出てくるわけです。」

相談者 「よくわかりました。とりあえずはいくつかのところを回って、最も対応がよい
     ところにお願いしたいと思います。」

 

とても重要な支払い履歴について

当 方 「ところで税金の支払いや、家賃などの支払いについては遅れはないですか?」

相談者 「そんなことも融資に関係あるんですか?」

当 方 「これらの支払いがキチンとできているかどうかは、融資にとても影響しますよ。
     たとえば税金についてですが、山本さまの場合は個人名の去年の分の住民税の
     支払いに遅れや未納がなかったかが問題となります。
     また、それ以外に、家賃や公共料金、住宅ローンといった毎月決まって支払わ
     なければならない者についても遅れや未納の有無が問題となります。
     過去1年間にこれらについて遅れ・未納があった場合には、それだけで融資が難
     しくなってしまいます。」

相談者 「たったそれだけのことで融資が受けられなくなるんですか・・・
     でも、税金の未納などについては、融資の申込みまでに納付すればよいのです
     よね?」

当 方 「普通、この点についての融資審査は納税証書を提出することで行いますが、証
     明書の様式によっては、延滞した期間が出てしまうものもあります。
     なので、そのような場合には税金の納付ができていても、やはり融資が難しく
     なってしまいます。」

相談者 「本当に厳しいんですね」

当 方 「私の知り合いでも、ほぼ融資が決まっていたのに、住宅ローンの支払いが1回遅
     れたのがわかって、融資が取り消しになった人がいました。
     なので、この点については、あらかじめ納税証明書を取り寄せて確認する他、
     家賃などの支払いについては」通帳の引き落としや領収書を見て納付に間違いが
     ないかを確認してください。」

 

事業プランについて

当 方 「事業プランはどうなっていますか?」

相談者 「お渡ししした資料の通りとなっていますが、問題があるでしょうか?」

当 方 「いただいた資料によれば、業種は居酒屋で収容人数は最大で20人、客単価の予想
     は2,500円となっていますが、ターゲットとしてはどんな層を予定してるのでしょ
     うか?」

相談者 「20歳代後半から40歳代までのサラリーマンを予定しています。」

当 方 「お店の売りは何でしょうか?」

相談者 「前に勤めていたお店のイメージはあるのですが、今回の店とは規模や経験も違う
     のであまり参考にはならないかもしれません。」

当 方 「そうですねいくら同じ居酒屋とはいっても、コンセプトが違えば経営の仕方その
     ものも違ったものとなります。
     何はともあれ、飲食店の経営ではリピータの確保ができるかどうかが経営の命運
     を左右しますが、新規店の場合にはまずは最初のお客を捕まえることが重要とな
     りますので、そのための仕組みを作る必要があるでしょう。」

相談者 「どのような方法があるでしょうか?」

当 方 「まずは、他店との違いを鮮明にする必要があります。
     その違いをメニューにするのか、サービスにするのかについてはご自身で考えて
     いただく必要がありますが、過去の例としては次のようなものがります。
     例えば、女性客をメインとした飲食店を始めたお客様の場合では、集客の手段と
     して化粧店とタイアップして化粧品のサンプルを無料で配布するなどを行いまし
     た。
     また、別の方はお客に地酒の聴き比べをさせ、正解した方にはその地酒をプレゼ
     ントするという企画で人気を得ました。
     居酒屋といってもその数は星の数ほどあるのですから、その中で生き残っていく
     ためには何か際立ったものや、他でしていないものが必要です。」

相談者 「わかりました。自分でも何か考えられるものがないかを探してみます。」

当 方 「このようなコンセプトは実際の経営についてだけでなく、融資を受けるためにも
     重要となります。そもそも、何の工夫もなく商売を始めたというのでは売上げを
     あげる根拠にはなりませんし、そうであれば計画の信ぴょう性も乏しいものとな
     ります。
     難しいかもしれませんが、いくつかのアイデアを考えてみてください。
     もし、プランができたら妥当性や実現性などの点からアドバイスや修正をさせて
     いただきますので頑張って考えてみてください。」

 

以上が私の事務所にいらっしゃった方とのご相談時のやりとりの流れとなりますが、どのお
客様にも共通して言えることは、ご相談の時点ではまだいろいろと足りない部分が多いとい
うことです。


しかし相談をされることにより、自分で足りない部分に気づきブラッシュアップすることは
それだけでも大きな意味を持ちます。

最終的なご依頼をするかどうかは別として、まずは自分に足りないものが何であるかを確認
するためにも、まずは電話での無料相談をいただければと思います。

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