80%以上の人が知らない!新創業融資制度の「自己資金」の疑問をすべて解説!

自己資金日本政策金融公庫

飲食店の開業をお考えの皆さんならば、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を利用するときに一定の「自己資金」が必要になる、ということはご存知だと思います。

でもそもそも、「自己資金」とはいったい何なのでしょうか?

本来この点については、新創業融資制度を利用する上で必ず理解しておくべきことなのですが、意外と知識があやふやだったり、間違った理解をしている方が少なくありません。
※ 参考:新創業融資制度の使い方完全解説!自己資金がなくても0K?制度融資との関係は?

自己資金とは何だ?

自己資金に関する2つの条件


日本政策金融公庫の「新創業融資制度」の申し込みでは、自己資金について

➀  新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は
➁  創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できること

と定めています。

具体的には、➀の要件に該当する方とは、
「創業前」または「創
業後であってもまだ1回も確定申告をしていない方」
がこれにあたります。

なぜ、ここで確定申告がその要件になっているかといえば、1回でも確
定申告をしていれば、その後については決算書の内容ににもとづいて審査ができるからです。

つまり、「1/10以上の自己資金」とは、まだ申告をされていない方についての担保や保証的な意味を持つものということになります。

自己資金が足りないと・・・。日本政策金融公庫の考え方はこんなに厳しい!

では、この自己資金が足りない場合にはどうなるのでしょうか?

当事務所では、直接、この点について日本政策金融公庫に確認してみました。

その時の担当者からの回答は
自己資金とは、新創業融資制度を利用するうえで最低限守らなければならない要件であるため、これが不足するときには申し込みができないか、融資は出ないこととなる。
という厳しいものでした。

つまり、よくネットにある「自己資金がなくとも融資が受けられる」とい
うことはありえないということになります。

では、このケースのように自己資金が不足する場合にはどうすればよいかといえば、これは「あらかじめその額にあわせた計画を作成する」ということで対応することとなります。

たとえば、創業事業に関する経費が総額で1,500万円かかる場合には、必要な
自己資金の額は150万円以上となります。

しかし、手元に120万円の自己資金しかない場合には、その十倍の1,200万円の事業計画に見直さなければならないということです。

ここでもし、「自分は1,500万円でなければいやだ!」として1,500
万円の事業計画を作って申しこんだとしたら、先ほどの担当者の回答にあったように、その申込みは門前払いになる可能性が高いということになります。

自己資金になるもの・ならないもの

貯めた経緯がわかるかどうかがポイント

では、次にどのようなものが自己資金にあたるかといえば、次のようなものは自己資金として認めてもらえます。

自己資金として認められるもの
コツコツ貯めたお金でその経緯が通帳でわかること

◆ 退職金や生命保険の解約金など、その出所がハッキリしているお金
◆ 親などからもらったお金
◆ 自分の資産を売却して、その経緯がわかるお金
◆ 相続により得たお金

◆ 会社の場合の出資金  など

これらに共通する特徴が、「出どころのわかるお金」であるということです。

逆に、次のようなお金は自己資金とは認められません。

自己資金と認められないもの
◆ 自分で現金で貯めたお金(俗にいう、タンス預金)

◆ 通帳に入金されていてもその出所を説明できないお金
◆ 親や他人から借りたお金
◆ 他から融資されたお金
◆ 法人設立のために支出した費用

なぜこれらが自己資金として認められないかといえば、これらは「自分で貯めたという経緯を証明できない」ものだからです。

なお、注意すべきなのは「親などからもらったお金」はOKだが、「親から借りたお金」はダメということです。

たとえ親であっても借りたお金は返済義務があるため、自己資金にはなりません。

ちなみに、自己資金の確認は金融機関の人間が直接、通帳の現物を
過去にさかのぼって見てチェックするので、ごまかしはききません。

また、自己資金といえるためには「創業事業のために使うお金」であることが必要です。

したがって仮に通帳に何千万円のお金ががあったとしても、実際に事業に使えるのが100万円し
かないのであれば、100万円しか自己資金にならないということになります。

自己資金をごまかすとどうなる?

仮に通帳に500万円の残高があり、これを全部自己資金と申告して、その結果1,000万円の融資の獲得に成功したとします。

この場合の事業計画は500万円+1,000万円の計1,500万円を総額で使う計画となります。

しかし、もし、自己資金である1,500万円のうち融資を受けた1,000万円しか使わず、自己資金の500万円については使わないとしたらどうでしょう?

金融機関から借りたお金だけで事業ができてしまいますよね。
けれど、このようなことは通用しませんし、また、金融機関も見逃しません。

なぜなら、自己資金分を含めた融資の使い方について、後日、報告や証拠の提出を求められるからです。

また、このような行為がばれた場合には、その差額にあたる融資の返還を求められることになります。

このように、自己資金をごまかしたりするとと、融資の返還やペナルティの対象となってしまいます。

自己資金に関する間違ったうわさと正しい知識

自己資金の考え方については、ネットなどで無責任なうわさがされていることがありますが、これらの多くは何の根拠もないものです。

そこで、ここではこのようなうわさをいくつか取り上げ、それに対する正しい考え方を記載しましたので、参考にしてください。

① 見せ金について
「初めに100万円の見せ金を用意できれば、これをもとにして日本政策金融公庫で最大900万円
の融資がうけられる。また、この融資を自己資金にすることにより、さらに信用保証協会付融資を受けることができる。 」

【✕】
そもそも、融資を受けたお金はあくまで借入金であって、これを自己資金とすることはできません。
また、「見せ金」は通帳の動きを見られればすぐにわかってしまいます。


② 親兄弟から借りたお金
「親兄弟から借りたお金は自己資金となる」

【✕】
たとえ、親兄弟から借りたものであっても、返済義務のあるお金は自己資金とはなりません。
ただし、それが贈与を受けたものである場合には、これを自己資金とすることができますが、この場合には、贈与を証明する資料の提出や必要な確認を求められることがあります。

③ 開業前に支払った経費
「開業前に支払った経費がある場合、これらはすべて自己資金の一部としてカウントす
ることができる」

【✕】
開業前に使った費用のうち、
その事業に関して前もって支払ったお金(先払いした家賃や敷金、備品類等)」
その支出をしたことを証明できるものがある」
については自己資金として認められます。しかし、事業に直接関係ない支出や、大きな金額で領収がないものなどについては、自己資金と認められないことがあります。

なお、創業のための法人設立登記の費用については、原則として自己資金として認められません。④ 自己資金の不足の場合
「新創業融資を利用する場合には、自己資金が必ずしも1/10以上なくとも、事業計画
の内容がよければ、融資の対象となる」

【✕】
新創業融資を利用する場合に1/10以上の自己資金が必要というのは、この融資を利用する場合のいわば「申込要件」のひとつであり、これをクリアーできない場合には、いくら事業計画書の内容が良くても、この制度を利用することはできません。

なので、この要件を満たせない場合には、計画の規模を縮小するか、他の担保や保証人を必要とする融資制度を利用することになります。

➄ 法人の資本金
「法人で融資の申込みを行う場合、登記簿謄本に資本金の記載があれば、その額をもっ
て自己資金と認めてもらえる」

【✕】
法人を設立して融資の申込んだ場合でも、「資本金の額」=「自己資金」となるわけではありません。
このような場合でも「どうやってその資本金を貯めたのか?」、「本当にその金額があるのか?」
などといった調査は通常の場合と同じように行われます。

 創業融資の併用
「日本政策金融公庫と信用保証協会の融資(制度融資)を同時に申し込むことができる」

【〇】
日本政策金融公庫の融資と制度融資は別の融資制度なので、これらは同時に申し込むことができます。

自己資金はいくらあればよいのか?

新創業融資制度を利用する場合に問題となるのが、「自己資金はどの程度あればよいか」ということです。

確かに規定の上では、自己資金は創業資金総額の1/10以上あればよいということになっていますが、1/10の自己資金があれば誰でもがその9倍までの融資を受けられるというわけではありません。

ならば、「自己資金の何倍くらいまでなら融資が受けられるのか?」については、ハッキリとこのくらいというものはありません。

しかし、これについては私の個人的な経験や日本政策金融公庫の担当者の方の意見からすると
「自己資金の3~4倍程度が一応の限度」というのが一般的です。

もちろんこれを超える額の申し込みをすることができないというわけではありませんが、満額を狙っていくのであれば覚えておいて
もよい基準ではないかと思います。

また、事業計画書を作るはじめの段階では、自己資金と創業経費の総額とのバランスなども考える必要がありますので、この点についても注意してください。
※ 参照:絶対した方がいい!創業計画書を作成する前の5つの確認。

他の融資では自己資金の取り扱いが違う!

創業者の方が利用できる融資には、日本政策金融公庫の新創業融資制度とは別に「制度融資」というものがあります。

この「制度融資」とは、都道府県または市区町村といった行政と、信用保証協会それと金融機関が一体となって行っている融資の制度です。

しかし、この制度融資は新創業融資制度と違って、それぞれの行政(都道府県または市町村)が行っているものであるため、その内容も微妙に異なったものとなっています。

そのため自己資金についてもこれを不要とするところがある一方、かえって要件の厳しいところなど様々で、特に自己資金の扱いについてはかなりのバラツキがあります。
※ 参考
日本政策金融公庫と制度融資の比較と対策の違い

東京都制度融資「創業」の自己資金の取り扱い

◆  日本政策金融公庫の場合のように、一定の割合の自己資金が必要とはなっていない。
◆  ただし、開業前の方については、自己資金+2,000万円が融資限度額となる。 ※ 通常は3,500万円
◆   返済期間が 2 年以上ある住宅ローン、長期の返済期間の借入金がある場合は、その年間返済額の2年分を差し引いたものが自己資金となる。
◆  上記以外のその他の借入金がある場合には、その全額を差し引いた残りが自己資金となる。 

例えば東京都の制度融資の一種である「創業」では、上記のようにローンや借入金がある場合は一定額を差し引いた残りしか自己資金として認めないとされています。

このように制度融資を利用する場合には、それぞれの要件についての確認が必要となります。

日本政策金融公庫の担当者に聞いてわかった、新創業融資制度のその他の疑問

最近の新創業融資制度の変化があまりに大きいと感じたので、この点について、直接、日本政策金融公庫の担当者の方にいろいろと確認してみました。

以下はその時のやり取りの一部です。

Q.ここ最近の流れを見ていると、新創業融資制度の要件の緩和が著しいが、どのような理由によるのか?

A.これら一連の改正は、政府の創業者をもっと広く輩出したいという意向にもとづいた政
策の一環として行われたものである。

Q.「自己資金が1/10でよいこと」や「一定条件下では自己資金が不要となること」というのは本当にその要件に当てはまれば、誰にでも適用されるのか?

A.これらは制度の要件として行うものであることから、誰であっても適用となる。
ただし、だからと言って、誰でも限度額の融資が受けられるかといえばそういうことではない。
そのためには当然、それに見合った計画や実力が求められる。

したがって、現実的には自己資金の2~3倍程度の融資が、妥当なラインとなるのではな
いかと思う。
また、貸すか貸さないかの実態的な審査についてはこれまで通りで、申込み条件が緩くなったからといって審査が容易になったというわけではない。

つまり、今回の改正等で気をつけなければならないのは、「 要件が広くなった 」=「 借りやすくなった 」ではないということです。

当たり前ですが、「融資は、返済力に見合った分について行う」というのが大原則です。

例えば、自己資金が100万円しかないため、これまでは200万円しか借りれなかった方が、制度が変わったからといって900万円の借り入れができるかといえば、それは難しいだろうということは容易に想像がつきます。

したがって、自己資金を考えるうえで重要なのは「金額の大きさと、その後の返済のバランス」ということになります。
※ 参考:日本政策金融公庫の面談ではこれが聞かれた!実例14の質問と模範解答を公開。

合法的にできる「自己資金」の増加法

以上の説明で、「自己資金がどういうものなのか?」、「どんなものが対象になるのか?」がおわかりいただけたと思います。

しかし、これから創業しようという方の中には「自己資金が少なくて、思うような額の融資を申し込めない」、「あともう少し、自己資金を増やしたい」という方もいらっしゃと思います。

そこで、ここではこのような方のために「合法的に自己資金を増やす方法」をご紹介します。

1.会社を作って出資者を数多く集める。
現在は一人でも会社の設立ができるようになったため、一人だけで会社を立ち上げるパターンが増えていますが、これだけでは思うように資金が集められない場合も少なくありません。

このような場合には、一人からの金額は少なくとも「できるだけ多くの人から出資を集める」ということにより多額の資金を集めることが可能となります。
しかし、この場合には、あまり自分の出資額が少ないと経営権の確保が難しくなるといった問題も生ずるため、その対策もしておく必要があります。

2. 現物出資を併用する。
会社の設立する時に資本金にすることができるのは、金銭だけではありません。
自動車や什器といった、発起人個人の財産なども出資の目的とすることも可能です。
このような出資の方法を「現物出資」といいます。

この方法を利用すれば、手持ちの預金に加えてさらに自己資金を大きくすることができます。

その詳細な手続きについてはここでは省きますが、現物出資を利用した場合の融資審査のポイントは以下のようになります。

現物出資における融資審査のポイント

◆ 設立時の定款にキチンと現物出資の内容が記載されていること。
◆ 現物出資の評価は、時価相場と同程度の額であること。(相場より不当に高い評価はダメ)
◆ 現物出資だけでなく、すぐに使える手元資金も用意できていること。

最後の要件がなぜ必要かといえば、それは現物出資による財産は対外的な支払いには利用できない、つまり運転資金にはならないからです。

そのため、事業計画を作る際には、これがなくともある程度の経営ができるだけの資金があることが必要となります。

3.事業開始前に支払った費用を自己資金とする(「みなし自己資金」の活用)
現物出資の方法は、手っ取り早く自己資金の額を増やすにはいい方法なのですが、
・原則、会社の設立時にしか使えない
・大きな金額になりにくい
・個人事業では使えな
などといった制約があります。

そこで、自己資金を増やす最後の手段が「みなし自己資金」の活用です。

この「みなし自己資金」とは何かといえば、
融資申込み前までに事業のために使った費用がある場合には、これも自己資金として認める。」
というものです。

みなし自己資金として認められるものの例

◆ 事業の開始前に支払った原材料の代金やHPの作成料
◆ テナントの契約にかかった手付金や、先行して行った内装の費用
◆ その他の事業開始前に支払った事業に関する支出

 

みなし自己資金として認められないものの例

◆ 会社の設立にかかった費用(定款認証代、印紙代、登録免許税、専門家に対する報酬)
◆ 事業との関連性か薄い支出(打ち合わせのた目の食事代や接待費)
◆ 支出から長時間が経過し、事業との関連性が認めにくいもの

なお、「事業の経費を前払いしてしまったので、通帳の残高が当初よりだいぶ減ってしまった。この場合、現在の残高分しか自己資金として認められないのではないか?」と心配される方がいます。

しかし、これらの先に支払った費用が事業に関するものであれば、その分も自己資金として認めてもらえるので大丈夫です。

【例】
Q 1ケ月前の自己資金額  500万円
         
  事前に事業の経費を300万円支払った。
この場合、通帳の
残高200万円だけが自己資金になるのか?

A 現在の残高200万円+事前に支払った経費300万円(みなし自己資金)=500万円が自己資金となる。

なお、いくら事前に支払ったものが自己資金として認められるといっても、これをキチンと自己資金として認めてもらうためには支払ったものについての領収書(領収書が出ないものについては支払いを控えたメモ)が必要なります。

以上は日本政策金融公庫の融資の場合の話となりますが、制度融資の場合では、それを主宰する都道府県や市町村により自己資金として認められるものや範囲が異なりますので、ご注意ください。

自己資金に関するこんな事例

自己資金に関していくつか変わった事例がありますので、ご紹介します。

事例1 金のかたまり → 〇
以前に私のお客さんで、自分の知り合いから開業祝いとして金の塊をもらった方がいました。これが自己資金にできるかについて日本政策金融公庫に確認したところ「正規の貴金属商で鑑定したもらった証明と、直近での相場価格がわかる資料」があれば自己資金として認める、との回答がなされました。
事例2 会社の売買 → ✕
以前に知り合いの方が、自己資金を大きく見せようと考え、休眠中となっている会社を買い取り、商号や本店、役員をすべて入れ替え自分の会社として融資の申込みをした人がいました。
しかし、日本政策金融公庫ではその過去の登記簿を取り寄せて確認しただけでなく、途中の期間についての決算書の提出を求めてきましたため、実質的な自己資金がないことがわかり、融資はされませんでした。
事例3  タンス預金の預け替え → ✕(場合によっては〇のケースも)
融資の相談に来られた方で、500円玉貯金がまとまった額となったので、これを自己資金にしたいと考えた方がいましたが、このようなタンス預金は自己資金として認められません。そこで彼はそのお金を一時的に定期にし、これを解約したものを自己資金として利用しようとしました。
アイデアとしてはなかなか良かったのですが、結果的にこれは自己資金と認めてもらえませんでした。その理由は、「定期として預けた期間が短すぎる」というものでした。
しかし、このようなタンス預金でも最低1年以上預金または定期に入れて預けておけば、これを自己資金として認めてもらえることとなっています。

・ 最新の実例見本で解説! 飲食店創業融資のための事業計画書(創業計画書)の作成

 


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