個人や中小企業であっても、国の省庁が行う入札に参加できるということをご存知でしょうか?
しかも、資格の取得にかかる費用は0円!
こういうと「厳しい要件があるんじゃないの?」とか、「大きな取引じゃないとダメなんじゃ?」と考えてしまいやすいですが、実は「全省庁統一資格」という簡単な届出をするだけで参加することができます。
ここでは、この「全省庁統一資格」の概要や取得の手順、メリットについてご説明します。
「全省庁統一資格」とは?
「全省庁統一資格」の概要
「全省庁統一資格」とは、国の各省庁における物品の製造・販売等に関する一般競争(指名競争)への参加資格のことをいいます。
この資格を取得することにより、一つ一つの省庁の入札資格を取ることなく、すべての省庁での入札に参加することができるようになります。
また、これを取得しておくことにより将来的な入札事業への参加など、業務の幅が広がるだけでなく、取引先や金融機関からの信用UPにもつながります。
資格が使える省庁の種類
「全省庁統一資格」は、以下の各機関での入札への参加に利用することができます。
「全省庁統一資格」で入札可能な省庁
衆議院、参議院、国立国会図書館、最高裁判所、会計検査院、内閣官房、内閣法制局、人事院、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会、警察庁、個人情報保護委員会、カジノ管理委員会、金融庁、消費者庁、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省及び防衛省で外局及び附属機関その他の機関並びに地方支分部局を含む。 |
このようにこの資格は、省庁のほぼすべてに対して入札参加できるものであり、企業が事業で行政への入札を考える際には、必須の資格となります。
参加できる入札の種類
「全省庁統一資格」で参加できる入札の種類は、大きく分けて次の3種類となります。
入札の種類 | 内 容 |
物品の製造・販売 | 衣服・その他繊維製品類、ゴム・皮革・プラスチック製品類、非鉄金属・金属製品類、印刷類、図書類、車両類、家具・什器類、電気・通信用機器類など |
役務の提供 | 広告・宣伝、写真・製図、調査・研究、情報処理、翻訳・通訳・速記、ソフトウェア開発、賃貸借、運送、車両整備、電子出版、衛用装備品類の整備、その他 |
物品の買受 | 立木竹(ただし、国有林野事業で行う林産物の買受けを除く) 、その他 |
実際には、申請の段階で以上の中から参加したいものにあらかじめ〇をして申し込みます、
ただし、建設・土木工事、測量工事・建設コンサルタントなどの業務に関する競争参加資格は本制度対象外となりますので、本資格での入札はできません。
これらについては、別途、「建設工事」、「測量・建設コン サルタント等」競争参加資格が必要となります。
入札に関する地域
全省庁統一資格による入札には、地域に応じた「競争参加地域」というグループの区分があり、全国の47都道府県を8つの地域に分けたものとなっています。
グループ | 地 域 |
北海道 | 北海道 |
東北 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 |
関東甲信越 | 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県 |
東海北陸 | 富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 |
近畿 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 |
中国 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 |
四国 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 |
九州沖縄 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
希望する地域の入札に参加する場合には、資格の申請の時に上記いずれかの競争参加地域を指定しておく必要があります。
なお、この指定は、本店や営業所のある地域以外を指定することもできますし、すべての地域を選択することも可能です。
資格の有効期間
「全省庁統一資格」には有効期間があり、期間の長さは最大で3年です。(次回の更新は令和4年4月1日)
この資格ではいつ資格を取得したかにより、審査の名称が異なります。
入札の種類 | 内 容 | 有効期間 |
定時審査 | 新たな年度の指定された期間内(平成31年1月8日~平成31年1月31日)にされた申請分に関する審査 | 3年 |
随時審査 | 資格を付与された時点から令和4年3月31日までにされた申請分に関する審査 | 次の満了日までの残りの期間 |
定時審査と随時審査とでは、いつの時点での申請かということと、有効期間が異なるだけで、審査そのものに違いがあったり、手続きが異なるわけではありません。
申請手続きについて
申請人
「全省庁統一資格」は、1 つの法人・個人事業主に対し 1 資格として資格審査結果通知書が発行されるため、支店や営業所での申請は受理されません。
また、登記事項証明書及び納税証明書に記載された本社や商号で申請する必要があります。
なお、「全省庁統一資格」の申請には納税証明書を添付する必要がありますが、納税をしていない企業についてはこの証明書が発行されないため、納税が完了していない企業ついては申請をすることができません。
申請書および添付書類を入れる封筒等には、表面に朱書きで 『01・02・03 年度』資格審査申請書 在中 と明記します。
申請のための必要書類
「全省庁統一資格」を新規で申請する場合は、以下の書類が必要となります。
新規申請時の必要書類
種 別 | 必要資料 |
法 人 | ◆ 履歴事項全部証明書※1 ◆ 納税証明書その3の3※1 ◆ 財務諸表1年分(直近1年前の決算時の貸借対照表と損益計算書) ◆ 誓約書 ◆ 役員名簿 |
個 人 | ◆ 納税証明書その3の2 ◆ 財務諸表1年分(直近1年前の確定申告書) ◆ 誓約書 ◆ 役員名簿 ◆ 屋号の住所を証明する書類(①の住所と異なる場合に添付) |
その他 | ◆ 外字届 ※2 ◆ 委任状 ※3 |
※1 登記事項証明書及び納税証明書については、発行日から3か月以内のもの
※2 住所、商号または名称、代表者役職、氏名に外字が含まれる場合に提出。
※3 行政書士等による代理申請の場合に提出。
● 添付書類は、内容が鮮明であれば写しでも可。
● 決算のない新設個人・個人の場合、理由書をもって財務諸表の代わりとすることができる。
● 新型コロナウイルス感染症の影響等による猶予制度の適用を受けた方については、税務署において「納税証明書(その3の3やその3の2)」が発行できないことから、「納税の猶予許可通知書」の写し又は「納税証明書(その1)」をもって代えることができる。
競争参加資格の申請
全省庁統一資格は、インターネットまた持参・郵送のいずれかの方法により申請することができます。その申請は全省庁に共通して有効となるため、最寄りの申請場所のいずれか1か所、またはインターネットから申請するれば全省庁に対して有効となります。ことができます。
また、複数の省庁の入札に参加する場合でも、一つの資格ですべてに参加申し込みができます。
(1) ウェブサイトへの記入・送信
「統一資格審査申請・調達情報検索サイト」と「調達ポータル」どちらかのウェブサイトにアクセスし、必要事項を入力の上、必要な書類のデータを添付して送信します。
添付書類は、サイトからアップロードするほか郵送することも可能です。
(2) 申請の受付・返信
送信先の受付機関での受付完了後、申請内容確認のメールが、登録したメールアドレスあてに送信されます。
(1) 申請書の入手・郵送
所定のウェブサイトにアクセスし申請書を出力するか、申請場所において、申請書を入手できるので、必要事項を記載し、必要資料を添付して郵送または受付窓口に提出します。
※ 「受付・審査窓口検索」についてはコチラ。
(2) 申請の受付・返信
送信先の受付機関での受付完了後、申請内容確認のメールが、登録したメールアドレスあてに送信されます。
資格の審査と結果の通知
資格の審査
申請書の提出が完了すると、提出先の省庁で審査が行われます。
申請の審査は
◆ 申請内容にミスや記入漏れがないか? ◆ 資料に不足がないか? |
の2点について行われますが、これがキチンとできていれば特に問題はありません。
結果の通知
審査に合格すると書面が到着してから 約1 週間~1ヶ月程度で「資格審査結果通知書」が郵送されてきます。
ただし、定期審査完了直後の随時審査は、結果通知に数か月を要する場合あるので注意してください。
なお、この「資格審査結果通知書」は次回の更新の時に必要となりますので、大切に保管してください。
申請の料金
「全省庁統一資格」の申請や審査には料金はかかりません。また、返信用の封筒も不要です。
ただし、申請のための添付資料の取得や専門家に申請手続きを依頼した場合には、費用がかかります。
「全省庁統一資格」と融資の関係
「全省庁統一資格」は、この資格を取得したからといって融資審査が特別に有利になるわけではありません。
しかし、これを取得することにより、金融機関や取引先に対して国の入札への参加ができる企業だというというアピールをすることができるというメリットがあります。
なお、この資格は、省庁等が行う入札への参加を会社の事業として行う場合にはもちろん必須となりますが
しかし、現時点で入札参加の予定がない場合でも、これを取得しておけば事業計画書に今後の事業予定として組み込むことが可能となります。
したがって、うまくこれを活用することにより、金融機関に提出する改善計画などをより現実的なものとすることができます。
具体的な経営の改善策については「赤字企業が融資を引き出すには?5分でわかる対策と解決事例」に詳しく解説していますので、ご参照ください。
まとめ
以上のように、「全省庁統一資格」は
● 納税さえしていれば新設企業でも取得できる。
● ほとんどの国の省庁が行う入札に参加することができる。
という特徴をもった資格ですので、現時点では不要だとしても、あらかじめこれを取得しておけばいざというときや、今後の事業計画に役立てることができます。
ただし、納税ができていない法人・個人については入札の資格がありませんので、この申請をする場合には前もって納税をしておく必要があります。
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