わかりにくい「一時支援金」の仕組みと手続きのポイントを解説!

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21021.03.08から緊急事態宣言「一時支援金」(法人-60万円・個人-30万円)の申請がはじまりました。

これは緊急事態宣言の影響で売上げが下がった方に対する支援措置の一環ですが、以前に行われた持続化給付金や感染拡大防止協力金に比べると非常にわかりにくいものとなっています。

「結局、自分はもらえるの?」、「どうやって申請するの?」と悩まれている方も多いと思います。

そこでこの記事では、この支援金の仕組みと申請方法、手続きのポイントについてわかりやすく解説します。

「一時支援金」の概要

なぜ、一時支援金が始まったのか?

政府はこれまで緊急事態宣言を発令し、その中で飲食店などの一部業種の事業者に対して営業の自粛を求め、それ対する協力金を支払ってきました。

しかし、その中で飲食店へ食材やサービスを提供する、いわば同じよう影響を受けている人達に対しては特別な補償は行われてきませんでした。

これが大きな不満となったことから、政府ではこれらの人たちに対する支援として今回の支援金の支給を決定することとなりました。

一時支援金の概要について

今回の一時支援金の申請における概要は、以下のとおりとなります。

一時支援金の申請のポイント

<給付対象のポイント>
1.緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業又は外出自粛等の影響を受けていること
2.2019年比又は2020年比で、2021年の1月、2月又は3月の売上が50%以上減少した事業者であること
<給付額>
● 「2020年又は2019年の対象期間の合計売上高」から「2021年の対象月の売上高×3ヶ月分」を引いた額

中小法人等:上限60万円  個人事業者等: 上限30万円
<申請期間>
● 2021.03.08~2021.05.31
<対象期間>
● 2021.01~2021.03の3ヶ月
<対象月>
● 対象期間内に、2019年又は2020年の同月と比べて、緊急事態宣言の影響により事業収入が50%以上減少した月から任意に選択した月

一時金のスケジュール

今回の一時金のスケジュールは以下の通りとされています。

これによると、
● 登録の受付〜終了  2/22~4/21
● 申請の開始~終了  3/1~5/31
とされています。

なお、上の表で2/22~4/21までが登録受付終了となっていますが、これは「登録支援機関」になりたい人がエントリーするための期間であって、今回の一時金の支給の申請とは関係ないことにご注意ください。

一時金の申請は、5/31まで可能です。
※ 上記スケジュールについては、今後、変更される可能性もあります。

一時金の申請手続きの流れ

今回の一時金を申請するためには、単に申請書を提出するだけではダメで、事前に一定の確認を受けるなど、従来の給付金とは違ったものとなっています。

第一段階 アカウントの発行

● 一時支援金の申請をするためには、申請者は一時支援金事務局に対して申請を行い、専用のアカウントを作成する必要があります。

なお、アカウントは、事務局に申請すると自動で発番されます。

第二段階 事前確認

● アカウントの取得できた申請者は、次に「登録確認機関」による事前確認を受ける必要があります。
なお、事前確認のためは、以下の書類が必要となるので、この時点でご用意ください。

事前確認のための必要書類


● 書類の用意ができた方は、「登録確認機関一覧」から確認を依頼する身近な登録確認機関を検索して、電話またはメールで事前の予約を行います。

なお、この登録確認機関は、上の一覧から自分で探すことになります。

● 事前予約のできた方は、決められた予約日に登録確認機関に連絡し、TV会議/対面/電話のいずれかの方法によって、登録確認機関から書類の有無の確認や質疑応答などによる確認をうけます。

第三段階 書類の申請

事前確認を受け終えた方は、事務局のWEBサイトから基本情報を入力して申請をすることができるようになります。

ただし、事前確認を受け終えていない場合には、申請できませんのでご注意ください。

なお、この申請の際には、以下の必要書類を添付または提出する必要があります。
※ 基本的には、事前確認の時のものと同じものとなります。

また、オンラインでの申請が困難な方については、申請のサポートを行う申請サポート会場を利用することも可能です。 ※ 順次、開設を予定

給付対象について

支援支給金を受給するためには、以下の①と②の両方の要件を満たす必要があります。

① 緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業を受けている
  または
  緊急事態宣言に伴う外出自粛等の影響を受けている
② 2019又は2020年比で、2021年の1月、2月又は3月の売上が50%以上減少

しかし、今回の支給では、「飲食店時短営業」と「外出自粛等の影響」の場合の要件や考え方がそれぞれで異なるため、非常にわかりずらいものとなっています。

なので、それぞれの場合にわけて説明します。

「緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業の影響を受けている」こと

一般的なパターン

「緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業の影響を受けている」とは、緊急事態宣言の再発令に伴って

緊急事態宣言の発令地域(以下「宣言地域」という。)の飲食店と直接・間接の取引をしていて影響をうけている

方をいいます。

なお、宣言地域には、以下の地域が該当します。

宣言地域
栃木県、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県
※緊急事態宣言が解除された地域も含む

したがって例えば、東京(宣言地域)の飲食店と直接または間接的な取引をしている新潟(宣言地域外)方は、この要件に該当することになります。

しかし、これとは逆に、新潟(宣言地域外)の飲食店と取引をしている東京(宣言地域)の方は、この要件では申請できる方に当たらないことになります。

また、取引の相手が茨木県の飲食店の場合も、取引先が「宣言地域内の飲食店」ではないため、ここと取引をしていたとしても、この要件による場合にはやはり申請できないということになります。

宣言地域の飲食店 宣言地域外の飲食店
宣言地域の取引店 ✕ ※
宣言地域外の取引店 ✕ ※

※ ただし、「宣言地域における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けている」の要件に該当する場合は、このような方でも受給できる可能性あり。

「時短営業協力金」をもらっている飲食店と取引しているパターン

宣言地域の飲食店の方で
● 交付金の申請をして「時短営業協力金(6万円/日)」をもらっている
または
● 現在これを申請中
の方は、今回の一時交付金はもらえません。

なぜなら、このような方は、協力金と交付金の二重取りになってしまうからです。

では、このような協力金をもらっている飲食店と取引をしている方は、今回の一時支援金をもらえるのでしょうか?

この点については、このような一時金がもらえない飲食店と取引をしている場合でも、その取引をしているお店については要件を満たせば一時金の申請ができることとなっています。

「宣言地域における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けている」こと

では、「宣言地域内の飲食店」との取引がない場合には、申請の対象とならないかといえば、そうではありません。

そのような人であっても、ここで説明するもう一つの要件である「緊急事態宣言に伴う外出自粛等の影響を受けている」と認められる場合には、申請をすることができます。

これには、「東京(宣言地域内)からの旅行客を多く受け入れていた北海道(宣言地域外)」の旅館が、自粛の影響により東京からのお客が大幅に減ってしまった。」などという場合が該当します。

なので先程の飲食店のケースでは、基本的に「宣言地域外」の飲食店と取引をしている場合には支給できる人にあたりませんでしたが、そのような人であってもこちらの要件に該当する場合には支給できる可能性があるということになります。

ただし、こちらの場合は具体的に要件に該当するかどうかがかなりケースバイケースとなるため、詳細については事務局にお問い合わせください。

一定時期と比較して売上が50%以上減少していること

緊急事態宣言に伴う「飲食店時短営業」又は「外出自粛等の影響」のいずれかの影響を受けていることと同時に満たさなくてはならないのが、「売上減少の要件」です。

これは「2019年又は2020年と比較して、2021年の1月、2月又は3月の売上が50%以上減少している」ことが必要となります。

これについては、まず、比較をするときの基準を「2021年の1月、2月又は3月の売上」のうちのどの1ヶ月にするかということから始まります。

そして次に、2019年または2020年の同じ月と比較して、売上げが50%以上落ちているかどうかで判定することになります。

上の例を御覧ください。

ここでは、まず2021年2月を基準の対象の月としていますが、この場合の2月の売上げは20となっています。

次にこれを2019年2月または2020年2月のいずれかと比較するのですが、ここでは2019年2月の売上げと比較しています。

2019年2月の売上げは50ですので、これと2021年2月の売上げ20を比較すると、2021年2月の売上げは60%低下しているため、基準の50%以上の低下のを要件を満たすことがわかります。

受給額の計算について

次にいくらの支援金がもらえるかの計算をします。

今回の支給金の上限額は、「法人」60万円、「個人事業主」30万円となっていますが、この例では申請者は法人なので、最大で60万円を受給することができます。

その際の計算についてですが、計算式は
「基準年の3ヶ月の売上げの合計  -  対象月の3ヶ月分の売上」
です。

なので、これをこの例で置き換えてみると
「基準年の3ヶ月(2019.1-3月)の売上げの合計  -  対象月(2021.02)の3ヶ月分の売上)」
ということになります。

この例では基準を2019年2月としたので、この年の1-3月の売上げ高の合計は、「1月-60、2月-40、3月-50」の計150です。

一方、2021年2月(対象月)の売上げは20なので、この3ヶ月分は60(20×3ヶ月)となります。

そこで、この150と60を比較すると、その差額は90となりますが、この制度では法人の支給額の上限は60万円なので、最大でもらえる額は60万円となります。

もし、2019年1-3月の売上げの合計額が100万円だった場合には、「100-60」となるため、この場合には40万円の支給金しかもらえないこととなります。

まとめ

一時支援金の申請関係をまとめると以下のとおりとなります。

● 緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業の影響を受けている
または
● 緊急事態宣言に伴う外出自粛等の影響を受けている

かつ、

● 2019年比又は2020年比で、2021年の1月、2月又は3月の売上が50%以上減少している

という2つの要件を満たす必要があります。

しかし、具体的にどのような方が支給の対象となるかについては、地域や職種などによりかなり微妙な部分もありますので、疑問がある場合には事務局までご相談ください。

119番資金調達NETでは、融資・補助金申請のサポートの他、このブログではご紹介していないテクニックや注意点についても、直接、その方の状況にあわせてアドバイスしています。
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プロフィール
融資コンサル
引地 修一

119番資金調達NETの代表引地です。
創業者・中小企業経営者の方向けに、 融資の申込みや事業計画書の作成計画・経営の改善などのサポートをしています。これらに関するご質問であればたぶん90%くらいの確率で、回答できると思いますので、お気軽にご相談ください。

【主な経歴】
・2005年Ichigo(一期)行政書士事務所を開設。
・2008 「確実に公的創業融資を引き出す本」を出版。※6刷増刷中
・2008 ドリームゲート「資金調達部門」最優秀アドバイザーを受賞
・2011 「銀行格付けアップ術」出版
・2014 「飲食開業のための公的融資獲得完全マニュアル」
・2021現在、累計相談者数2,000人を突破。

【持っている資格】
行政書士、宅地建物取引主任、事業再生アドバイザー、品川区武蔵小山創業支援センター公認アドバイザー

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