皆さんは、創業融資で注意すべきことや攻略のポイントはすべて同じだと思っていないでしょうか?
ところがこれは、「いつの時点で融資をうけるか?」により全然違ってくるのです。
なので、同じように考えていると思わぬ失敗をしたりします。
ここでは、創業者が融資をうけるときに、時期別に注意すべきポイントについてご説明します。
目次
なぜ、融資をうけるタイミング重要なのか?
3つの創業融資申込みのタイミング
創業融資といえば、すべてひとくくりにされてしまうことが多いですが、実は3つの段階に分けられます。
創業融資のタイミング
2.「創業後1回目の決算書を提出する前」での段階の融資の申し込み
3.「創業後1回目の決算書を提出した後」での段階の融資を申し込み
ではなぜ、このような段階が重要になるのかといえば、それはそれぞれのタイミングにより融資の要件や注意すべきポイントが異なってくるからです。
日本政策金融公庫の新創業融資制度では、申し込みができる方を次のように定めています。
⑵ 事業開始後税務申告を2期終えていない方
そして、その中でも次のような方については、一定の自己資金が必要とされています。
⑴ 新たに事業を始める方(創業前)
⑵ 事業開始後税務申告を1期終えていない方
⑴ 事業開始後、税務申告を1期終えていて、2期目の決算を終えていない方
一見同じに見える創業融資ですが、このようにそのエントリーの時期により条件が異なっているということがわかります。
したがって、どのタイミングで融資を申し込むかにより、その後に取るべき対策や戦略が変わってくるわけです。
参 考 新創業融資制度の使い方完全解説!自己資金がなくても0K?制度融資との関係は?
時期別の創業融資の攻略法
「創業前」の方
このような人が該当する
日本政策金融公庫では、「創業者」の方とは具体的には次のような方を言います。
● 法人の場合 - 法人の設立手続きをしている方
したがって、この手続き前の方は「創業前」という取り扱いになります。
しかし、信用保証協会付融資(制度融資)の場合には、地域ごとに創業についての考え方が違います。
たとえば、信用保証協会では創業したと認められるためには
「 上記の手続きだけでなく、実際に事業にまたはその準備行為に着手していること 」
が必要とされています。
具体的には
「事業の売上が立っている」
「事業のための仕入れをしている」
「事務所の契約をしている」
「開業のための什器等を購入している」
などの行為がこれにあたります。
つまり、単に開業届や法人登記をしているだけではなく、事業の一部やその準備をしていることが必要ということです。
とはいえ、東京などの場合には、実際にここまでの行為をせずに開業届や法人登記をしただけでも、創業融資が出ているので、あまり神経質になる必要はないでしょうが、地方の信用保証協会ではこれができていないために融資が否決となることもありますので注意してください。
参 考 法人と個人事業主、開業融資にはどっちが有利?法人化はメリットある?
創業融資での取り扱い
「創業前」の方は、創業融資では次のような扱いとなります。
日本政策金融公庫(新創業融資制度) | 1/10以上の自己資金が必要 |
信用保証協会(制度融資) | 自己資金の有無は地域によって異なる |
審査の対象となるもの(共通) | 事業計画書・自己資金・面談 |
なお、信用保証協会(制度融資)については、制度の内容が地区ごとで異なります。
そのため、創業前と後とで差を設けていない場合もあれば、創業後の方が有利(申込みできる金額に差を設けている、金利に違いがあるなど)となっている場合があります。
参 考 80%以上の人が知らない!新創業融資制度の「自己資金」の疑問をすべて解説!
また、余談ですが、日本政策金融公庫や信用保証協会では、法人の設立前に融資の申込みをすると「法人の設立手続きをしてから来てください」と言われることがあります。
したがって、融資の申込みを本気で考えているならば、いろいろな部分で法人設立後の方が有利となります。
融資の否決の要因
創業前の方については、次のような原因があると融資の否決になる可能性が高まります。
● 自己資金がない、不足している ● 開業の準備行為ができていない ● 事業経験が少ない ● 創業計画書の中身が不十分 |
なお、その他の一般的な融資否決の原因については、以下のコンテンツをご参照ください。
参 考 日本政策金融公庫の審査落ちの理由と基準について
「創業後1回目の決算書を提出する前」の方
このような人が該当する
「創業後1回目の決算書を提出する前」の方とは、創業後まだ第1回目の決算を迎えていない、つまり、まだ手元に決算書がない状況の方が該当します。
創業融資での取り扱い
「創業後1回目の決算書を提出する前」の方については、「創業前の方」とほぼ同じ取り扱いとなります。
しかし、創業してすでに事業をはじめている場合には、創業計画書や自己資金だけでなく、創業~現在までの経営状況も審査の対象となりますので、この内容がよい場合には審査の評価が高くなります。
融資の否決の要因
「創業後1回目の決算書を提出する前」の方については、「創業前の方」とほぼ同じ取り扱いとなります。
「創業後1回目の決算書を提出した後」の方
このような人が該当する
これには、創業後「第1回目の決算を迎えており、第2回目の決算を迎えるまでの方」が該当します。
なぜ、決算を迎える前と後とで、自己資金などの条件が異なるのかといえば、それは決算後の方については主に決算書の内容で審査がされるからです。
これに対して、決算を迎える前の方については、創業計画書と自己資金の有無を中心に行われます。
つまり、決算を迎えた方について自己資金が不要とされるのは決算書の内容で評価される、いわばその内容が信用の代わりとなるため、自己資金が要らないという理由です。
ですので、自己資金は不要となりますが、決算の内容がよくなければ融資はお断りということもあり得ます。
なお、法人の場合には、はじめの一期目が半期などで終了する会社もありますが、このような場合でもその半期分で決算をすれば1回目の決算を終えたことになります。
創業融資での取り扱い
「創業後1回目の決算書を提出した後」の方は、創業融資では次のような扱いとなります。
日本政策金融公庫(新創業融資制度) | 自己資金が不要 |
信用保証協会(制度融資) | 自己資金の有無は地域によって異なる |
審査の対象となるもの(共通) | 創業計画書・決算書 |
以上のように創業後1期を過ぎて新創業融資の申込みをする場合には、自己資金が不要となります。
また、この場合、審査は主に決算書の内容にもとづいておこなわれます。
なお、制度融資では1期を過ぎている場合には、創業融資だけでなく、通常の融資を申し込める場合もありますので、そのような場合にはどちらか有利な方を選択して申し込むことができます。
※ 参照:創業融資と普通の融資の「違い」と「対策」
【創業融資を選んだ方がよいケース】
決算書の内容が悪い場合でも、創業計画書の内容で挽回できる可能性がある。
【一般融資を選んだ方がよいケース】
創業計画書の作成が不要。金利が創業融資より低い場合がある。
融資の否決の要因
「創業後1回目の決算書を提出した後」の方については、次のような原因があると融資の否決になる可能性が高まります。
● 事業経験が少ない ● 1期目の決算書の内容が悪い ● 創業計画書の中身が不十分 |
なお、その他の一般的な融資否決の原因については、以下のコンテンツをご参照ください。
参 考 日本政策金融公庫の審査落ちの理由と基準について
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