新創業融資制度の使い方完全解説!自己資金がなくても0K?制度融資との関係は?

新創業融資制度の使い方日本政策金融公庫

「飲食店の開業資金を借りたいけど、担保や保証人がない。」
「初めての融資だと、大きな金額は難しい?」

創業者の方であれば、誰しもこんな悩みをお持ちだと思います。

新創業融資制度は、こんな悩みを解決してくれる無担保・無保証の融資制度です。

しかし、この制度には自己資金や雇用の要件といった独特の条件があるため、その内容をよく知ったうえでないと融資の成功は難しくなってしまいます。

ここでは、新創業融資制度の特徴と、少しでも多くの融資を引き出すためのヒントを解説いたします。

「新創業融資制度」とは? その特徴と概要

新創業融資制度の主な特徴

 
「新創業融資制度」とは、日本政策金融公庫の融資の一つで、「開業前または開業後2期を経過するまで」の方が利用できる創業者向けの融資制度です。

初めて融資を利用するほとんどの方に利用されている、最もポピュラーな創業系の融資となります。

「新創業融資制度」には、次のような特徴があります。

新創業融資制度の主な特徴

【創業要件】
「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方」が対象。
【雇用要件】
利用には「雇用の創出を伴う事業を始める方」他といった、他人を雇用する事業であることが必要。
【自己資金要件】

制度の利用には「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」が必要。
【その他】
融資上限額3,000万円以内の「無担保無保証人」の融資制度である。
「新規開業資金」などの一定の融資を利用する場合に利用できる制度である。

なお、この制度では雇用要件や自己資金要件といった特殊な条件があるため、これをクリアーしないと思わぬ失敗につながってしまいます。

また、新創業融資制度では、必ず金融機関との面談があるため、こちらについても併せての対策が必要となります。

※ 参考:日本政策金融公庫の面談ではこれが聞かれた!実例15の質問と模範解答を公開。

「新創業融資制度」の概要

最新の「新創業融資制度」の概要は以下の通りです。

新創業融資制度の概要

新 創 業 融 資 制 度
利用いただける方次の1~3のすべての要件に該当する方

1.創業の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を
2期終えていない方


2.雇用創出等の要件

「雇用の創出を伴う事業を始める方」、「現在お勤め
の企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力
強化法に定める認定特定創業支援事業を受けて事業を
始める方」又は「民間金融機関と公庫による協調融資
を受けて事業を始める方」等の一定要件に該当する方

なお、本制度の貸付金残高が1,000万円以内(今回の
融資分も含みます。)の方については、本要件を満た
すものとします。

3.自己資金要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を
1期終えていない方
は、創業時において創業資金総額
の10分の1以上の自己資金
(事業に使用される予定の
資金をいいます。)を確認できる方。

ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始め
る方」、「産業競争力強化法に定める認知特定創業支
援事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は
本要件を満たすものとします。
資金の使い道事業開始時または事業開始後に必要となる事業資金
融資限度額3,000万円(うち運転資金1,500万円)
返済期間各種融資制度で定めるご返済期間以内
利率(年) 2.56~2.85%/年(標準金利)
担保・保証人原則、不要
原則、無担保無保証人の融資制度であり、代表者個
人には責任が及ばないものとなっております。
法人のお客さまがご希望される場合は、代表者が連帯
保証人となることも可能です。
その場合は利率が0.1%低減されます。
その他「新創業融資制度」は、次の各融資制度をご利用いた
だく場合にお取り
いできる無担保無保証人の特例措置
です。

・新規開業資金
・女性、若者/シニア起業家資金

・再チャレンジ支援融資(再挑戦支援資金)
・新事業活動促進資金
・食品貸付
・生活衛生貸付(一般貸付、振興事業貸付および生活
衛生新企業育成資金に限る。)

・一般貸付(食品貸付または生活衛生貸付(一般)の
対象となる方が必要とする運転資金に限る。)

・企業活力強化資金  他

創業しただけでは「創業者」じゃない?

創業者にならないケースとは?

新創業融資制度を利用するためには、まず、創業者であることが必要です。

「でも、創業すればだれでも創業者なんだから、誰でも使えるでしょ!」

普通はこう考えてしまいやすいのですが、これは少し違います。

制度の条件1「創業の要件」では、創業者を次のように定義しています。

「創業者」=「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方」

つまり、事業を開始した後、2期を過ぎてしまった場合には、この制度で言うところの創業者にあたらないということになってしまうのです。そしてこの期間を過ぎてしまった方はどうなるかといえば、創業融資ではなく通常の普通貸付などといった「一般融資」を利用することになります。

「2期」と「2年」ではどう違う?

では、この条件の中で利用期間が「2期」となっているのにはどんな意味があるのでしょう?
「2年」の場合と大きな違いはあるのでしょうか?

これについては、利用者か「法人か? 個人か?」でその結果が大きく異なることになります。

たとえば、仮に6月決算の会社があるとします。この会社の設立が2019.04.01だとした場合、3ケ月後2019.06.30には1期目を終え、2019.07.01には第2期を迎えることとなります。

よって、この会社では2期目が終了する2019.06.30までしかこの融資制度を使えません。

これは実質的には、全体で1年3ケ月の利用期間しかないということを意味します。


これに対して、個人事業である場合は何月に開業したとしても、決算日はすべて
一律でその年の12/31となるため、この時に1期が終了します。

なので、もし、9月に開業した場合には1期目は3ヶ月で終了してしまうことになります。


以上のように、法人の場合には決算日が何時により、また、個人事業の場合には開業日により、1期目の期間に大きな差が生じてしまうことになります。

※ 法人と個人事業主、開業融資にはどっちが有利?法人化はメリットある?

「 事業全体にかかる経費の 1/10 以上」の本当の意味

自己資金の要件にある「 事業全体にかかる経費の 1/10 以上」というのは、自分が希望する融資額の1/10以上の自己資金があればよいということではありません。

これは、「これから行う事業の全部についてかかる経費の1/10以上」が必要ということを意味します。

したがって仮に、あなたが総額で1,000万円の経費のかかる事業をしようとした場合

最低必要な自己資金は
900万円 × 1/10  = 100万円

融資を受けられる上限は
900万円 × 9/10  = 900万円

ということになります。

しかし、ここで仮にあなたの自己資金が50万円しかないのであれば、融資を受けること
のできる上限は、自己資金の9倍となります。

したがって、50万円 × 9倍 = 450万円ということになり、このケースでは 450万円(最大融資額) ∔ 50万円 = 500万円の事業しかできないことになります。

けれど、実際にはこのような
自己資金の9倍もの融資が認められるのはまれです。

一般的に認められやすい融資の上限額としては「自己資金の3~4倍程度」が普通ですので、あまり欲張らずに計画を組み立てたほうが融資を確実なものとすることができます。

※ 参照:80%以上の人が知らない!新創業融資制度の「自己資金」の疑問をすべて解説! 

新創業融資制度は、絶対、法人で申し込んだ方がよい理由

新創業融資制度は、無担保・無保証の融資制度となっています。

これは一見すると普通のことのように思えますが、実は日本政策金融公庫で唯一の「完全無担保・無保証」制度なのです。

通常の創業系の融資制度の中には無担保・無保証となっているものもありますが、実はこの無保証の意味とは「第三者の保証人が要らない」という意味です。

なので、もし、融資の借入れ人が法人の場合にはその代表者は連帯保証人となります。
つまり、代表者本人は保証から逃げられないわけです。
これは都道府県や市町村が行っている創業融資についても同様です。

しかし、日本政策金融公庫の新創業融資制度では、
「金利0.1%高くなっても構わないならば、代表者が連帯保証をしなくてもよい」
ことになっています。

これはどういうことかといえば、法人でこの制度を使って融資を受けた場合は、万が一倒産してもそのリスクが代表者に及ばないということを意味します。

これは日本の中でも唯一といえる優遇制度です。

なぜ、このようなことになるかといえば、それは法人での申し込みの場合には法人と代表者個人とが完全に分離していることによります。

借入人連帯保証人
法 人法 人な し
個 人本 人本 人


融資の出やすさや審査の有利・不利だけで考えれば、法人と個人とでは違いはありません。

また、法人の設立には、余計な費用がかかる、経費や管理が複雑になるといった面もあるため、何が何でも法人化した方がよいとは思いませんが、融資に限って言えばこのアドバンテージは大きな魅力といえます。

なので、もし、この点を重視するのであれば、ぜひ、法人化してから申し込むことをお勧めします。

なお、個人での申し込みの場合は、保証人がない場合でも本人は借入人としての責任を負わなければならないため、この特例の恩恵を受けることはできないことにご注意ください。

新創業融資制度という融資はない?

ここまで新創業融資制度についてお話してきましたが、実は「新創業融資制度」という融資自体はありません。

では、「新創業融資制度」とは何かといえば、それはあくまで制度であって融資そのものでないということです。

冒頭の新創業融資制度の概要「その他」をもう一度ご覧ください。

ここでは次のようになっています。

「新創業融資制度」は、以下の各融資を利用する場合にお取りいできる無担保無保証人の特例措置です。

・ 新規開業資金
・ 女性、若者/シニア起業家資金
・ 再チャレンジ支援融資(再挑戦支援資金)

・ 新事業活動促進資金
・ 食品貸付・生活衛生貸付」
・ 普通貸付

つまりこの「新創業融資制度」とは、新規開業資金や普通貸付といった融資にくっつけて、これを無担保・無保証で利用できるようにするための特別な制度であって独立した融資ではありません。

そのため、新創業融資制度を利用する場合には、必ずそのベースとなる融資制度(新規開業資金など)を決めなければならないこととなっています。

新創業融資制度の無担保・無保証のイメージ

新創業融資制度の最大の問題。「自己資金」とは何か? その対策は?

日本政策金融公庫の担当者は「自己資金」をこう考えている!

日本政策金融公庫の「新創業融資」を利用するためには、「 事業全体にかかる経費の 1/10以上の自己資金を持っていること 」が申し込みの条件となっています。

これがいわゆる「自己資金の要件」といわれるものです。

ではなぜ、自己資金が必要なのでしょう?
これについて日本政策金融公庫の担当者の方に伺ったところ次のような回答がありました。

日本政策金融公庫の担当者の回答要旨

〇 本来、融資を受けるためには信用力のない創業者であれば、担保が保証人が必要となるが、これがない新創業融資制度では自己資金がこれにあたる。
〇 自己資金がなく、全額を借入れで賄うのはモラル的にも問題がある。
〇 さらに、この程度の自己資金がなければ、後々、返済が難しくなる。

つまり、自己資金は担保や保証人に代わるものであるとともに、その後の経営の健全化のために必要ということでした。

自己資金がなくともOKのケース

このように新創業融資制度を利用する場合に必要とされている自己資金ですが、一定の場合にはこれが不要とされます。
自己資金が不要なケース

◆ 1期目の税務申告を終えている場合
◆ 現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める場合
◆ 産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める場合  等

このいずれかに該当する方は、自己資金がなくとも申し込むことができます。

この中で一番使いやすいのが2番目の「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める場合」の特例です。

はじめと最後のものについては、かなりハードルが高くなりますが、2番目については、前職と同じ業種を選ぶだけで適用がされます。
この場合は、勤務年数も問題となりません。

特に飲食業の場合には、独立前にはやはり飲食業をされている方がほとんどでしょうから、そのような方は自己資金なしで申し込みができることになります。

とはいえ、この条件をクリア―できたからといってもそれだけで融資に成功できるわけではありません。

自己資金の有無は、審査での大きな判断材料となるため、やはり1/3程度の自己資金は貯めておいた方がよいでしょう。

※ 参考:80%以上の人が知らない!新創業融資制度の「自己資金」の疑問をすべて解説!

自己資金がゼロでも新創業融資制度は利用できるのか?

もし、自己資金がない場合はどうなるのでしょうか?そもそも、申込みができるのでしょうか?

この点について日本政策金融公庫の担当者に聞いてみました。

日本政策金融公庫の担当者の回答要旨

新創業融資制度における自己資金の要件は本来、申し込みの条件である。したがって、自己資金がない状態で申込みがされたものについては受け付けをしないか、もしくは融資のお断りをすることにとなる。

とのことでした。

つまり、自己資金がない場合には自己資金不要の例外に該当しない限り、ほぼ門前払いとなってしまうようです。

一部のブログなどには「自己資金がなくても借りられた」といった書き込みがされている場合がありますが、免除要件を満たすなどしていないと難しいということになります。

では、自己資金がないわけではないが少額の場合はどうなるのでしょう?

この場合には、その額に見あった分の融資しか出ないということになります。

事業経験・金利・返済期間はどうなっているのか?

何が事業経験になる? アルバイトは含まれるの?

「新創業融資」では、「これまでに、これから行う事業の経験が十分にあるかどうか?」ということが、審査のうえで重視されています。

これは過去に経験したことのあることならば、失敗も少ないだろうということです。

現在、新創業融資制度の要件では具体的に「〇年以上の事業経験が必要」とはされていませんが、以前は3年以上の事業経験が求められていましたので、これが一つの目安と考えられるでしょう。

なお、事業経験は、正社員の経験が基本となります。

しかし、、アルバイトやパートの勤務経験であっても、従事した期間や内容によっては、これを経験として認めてもらえる場合もあります。

また、フランチャイズで行うトレーニングもしっかりとしたものであれば、事業経験として認めてもらいやすい傾向にあります。

※ 参照:知らないと損する!飲食店フランチャイズの落とし穴と融資のツボ

経歴書の書き方について

事業計画書の経歴の書き方ですが、ただ単に「○年○月総務を担当」などと書くのではなく、
『○年○月 ○○○株式会社総務部に勤務 この中で財務や会計に関する知識の他、会社の運営に必要となる面接や採用に関する技術と経験を習得しました。』
などのように、「その職場でどんなことを行い、どのような知識や経験を得たのか?」といった具体的な内容を記入するようにします。

さらに、勤務期間中に昇進や賞の受賞などがあった場合には、これらについても忘れずに記入するようにします。

事業経歴の記載の例

平成○年○月
○○調理師専門学校洋食科卒業

平成○年○月
フレンチレストラン○○入社 調理業務とホールでの接客業を担当。

2年めより調理の副主任を担当。3年目より主任に昇格し仕入れも担当。
平成○年○月
株式会社○○へ入社。店長として店舗全体の統括業務に従事。

具体的には「メニュー開発、FL率の管理、発注業務、シフト作成、パートの管理、仕入れ管理」といった飲食店の運営に必要な経営ノウハウを習得した。 など

金利は高いの?それとも安い?

新創業融資制度の金利は2019.11.17現在で「2.56~2.85%/年」となっています。

これは創業者が利用できる融資の中で最安クラスとなっており、通常の無担保・無保証の融資ではありえないくらいの低金利といえます。

しかし、この金利はずっと同じではなく、一定の期間で見直しがされているため、同じ新創業融資制度であっても時期によっては約1%程度の開きが生じますので、できるだけ安いときに借りたいものです。

新創業融資制度の返済期間は同じじゃない?

新創業融資制度における返済期間は、「各種融資制度で定めるご返済期間以内」となっています。

つまりはどの融資をベースに使うかで返済期間が変わってくるということです。

例えば、一番ポピュラーな「新規開業資金」では返済期間は、「設備資金20年以内、運転資金7年以内」です。

しかし、「一般貸付」では「設備資金10年以内・運転資金20年以内)」となっています。

このように、どの融資を使うかによって返済期間が変わることに注意した方がよいでしょう。

代表的な新創業融資制度の対象となる融資の返済期間

融資の種類設備資金運転資金
新規開業資金20年以内7年以内
女性、若者/シニア起業家資金20年以内7年以内
食品貸付20年以内20年以内
新事業活動促進資金20年以内7年以内
一般貸付10年以内20年以内

※ 参照:最新の実例見本で解説! 飲食店創業融資のための事業計画書(創業計画書)の作成

新創業融資制度と制度融資の併用は可能?

新創業融資と制度融資の併用が可能かどうかについては、結論から言えば「可能」です。

なぜなら、日本政策金融公庫と信用保証協会とでは、申込みに関する情報の共有がされていないからです。

なお、この点について双方の金融機関に確認したところ、併用して申し込むこと自体は問題ないとの回答がなされています。

しかし、融資の併用にあたって注意すべきなのは、どちらかの金融機関に申し込んで融資がでた後に、もう一方の金融機関に申し込む場合です。

この場合、その方は「すでに融資の借り入れをしている人」という評価となるため、後からの融資はかなり厳しいものとなってしまいます。

したがって、もし、日本政策金融公庫と信用保証協会の双方に申し込むのであれば、そのタイミングは「同時」である必要があります。

とはいえ、新創業融資と制度融資はそもそもが全く別の機関、別の審査により行われるものですので、それぞれの違いを理解せずに、まったく同じ事業計画を提出しても、どちらかについては低評価な内容や間違ったものとなってしまいます。

したがって、同時の申し込みをする場合には、それぞれの金融機関の内容にあわせた事業計画書を作る必要があります。

もし、この点について、ご不安のある方は、専門家にお尋ねください。

※ 参照:「日本政策金融公庫 vs 制度融資」要件・限度額・金利他の全比較

 

 


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