あなたも対象かも?融資・保証を受けられない業種やケースとは?

日本政策金融公庫

もし、あなたやあなたの会社が融資を受けられないとしたら、どうしますか?

金融機関や信用保証協会では、政策的または倫理的な理由から一部の事業や業種については、融資や保証をしないことになっています。

こういうと、たいていの方は「自分には関係ないこと」と思いがちですが、実際に申し込みをしたときになって融資を受けられないことに気づくというパターンも少なくありません。

この記事では、融資や保証を受けられないケースやその場合の対策をご紹介しますので、自分に該当するものがないかをご確認ください。

融資を受けられない3つのケース

日本政策金融公庫や信用保証協会には、融資や保証ごとに一定の申し込み条件があり、これに該当する方だけが融資や保証を利用することができます。
たとえば、日本政策金融公庫の融資については、次のような申し込み条件があります。

【新規開業・スタートアップ支援資金】
 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
【新事業活動促進資金】
 「経営革新計画」の承認や「基盤確立事業実施計画」の認定を受けた方
【 マル経融資】
 商工会等の実施する経営指導を受けている方であって、それらの長の推薦を受けた方

しかし、これら以外にも融資・保証を受けられないケースがあります。
それは、以下のいずれかに該当する場合です。

◆ 「融資対象外事業や業種」に該当。
◆ 「保証対象外事業や業種」に該当。
◆「
内容により融資・保証が受けられない事業
」に該当

前者は個別の融資ごとに定められた条件ですが、これに対し、後者はいずれかに該当する場合にはすべての融資・保証が受けられなくなるといった点に違いがあります。

日本政策金融公庫で融資を受けられない事業と業種とは?

日本政策金融公庫では、一部の事業や業種、資金使途については、融資を利用することができません。

「融資」を受けられない事業

日本政策金融公庫が融資のできる事業の規模は、以下の通りとなります。そのため、この規模を超える事業の場合は融資を利用することができません。
※ただし、資本金・従業員規模のどちらかが、以下の範囲内ならば融資対象となります。

      対象業種              対象規模         
■製造業・建設業・運送業など資本金3億円以下 または 従業員300人以下
■卸売業資本金1億円以下 または 従業員100人以下
■小売業・飲食店資本金5千万円以下 または 従業員50人以下
■サービス業資本金5千万円以下 または 従業員100人以下

※一部、業種によっては、条件が異なるものがあります。

融資を受けられない業種

日本政策金融公庫では、以下の業種については政策的な理由から融資を行いません。

1 金融、保険業のうち次のもの
 ・銀行業
 ・協同組織金融業
 ・貸金業、クレジットカード業等
 ・補助的金融業
 ・金融商品取引業、損害保険業等
2 ソープランド業
3 娯楽業のうち次のもの
 ・競輪、競馬等
 ・パチンコホール
 ・場外馬券売場、場外車券売場
4 その他の事業サービス業官憲
 ・取立業、集金業(公共料金を除く。)
 ・ラブホテル
5 社会保険・社会福祉・介護事業関連
 ・社会保険事業団体
 ・福祉事務所
 ・更正保護事業
6 政治、経済、文化団体
7 郵政局/郵便業

融資を受けられない資金使途

日本政策金融公庫では、以下の使途の資金についても融資を行っていません。

● 投資(投機)目的の資産(不動産・有価証券)取得資金
● アパート・マンション経営のための資金

スナック、ガールズバー、キャバクラは融資を受けられる?

水商売といわれる業態の中で、内容があいまいなのがスナック、ガールズバー、キャバクラの3つです。

これらはいずれも、お酒の提供をしてお客を接遇するものですが、日本政策金融公庫では、業種により融資の可否を区別しています。

■スナック・ガールズバー ➡ 融資可能
■キャバクラ ➡ 融資不可

このように融資の対応が異なるのは、前の2つについては「接待を伴わない営業」であるのに対して、キャバクラは「接待を伴う営業」とされていることによります。

スナックやガールズバーの融資については、「【スナックの開業資金】融資を確実に引き出す3つのポイント」の記事で詳しく解説していますが、実体はともかくとして、日本政策金融公庫ではそのように判断しています。

そのため、スナックやガールズバーであっても接待を伴う営業をすると認められた場合には、融資が出ないことがあります。

なお、信用保証協会では、対応が異なっており、原則として、スナック、ガールズバー、キャバクラのすべてに対して保証をしません。

信用保証協会の保証を受けられない事業・業種とは?

通常の中小企業は、日本政策金融公庫の場合と同じく、信用保証協会の保証を利用することができますが、以下の事業や業種は保証を利用することができません。

「保証」を受けられない事業

信用保証協会の保証を利用できる事業の規模は、以下の通りとなります。そのため、この規模を超える事業の場合は、保証や制度融資を利用することができません。
※ただし、資本金・従業員規模のどちらかが、以下の範囲内ならば融資対象となります。

      対象業種              対象規模         
■製造業・建設業・運送業など資本金3億円以下 または 従業員300人以下
■卸売業資本金1億円以下 または 従業員100人以下
■小売業・飲食店資本金5千万円以下 または 従業員50人以下
■サービス業資本金5千万円以下 または 従業員100人以下
■医療法人300人以下

※一部、業種によっては、条件が異なるものがあります

保証を受けられない業種

信用保証協会では、以下の業種については政策的な理由から保証を行いません。

◆ 農林水産業、狩猟、漁業(一部の業種を除く)
◆ 金融、保険業(生命・損害保険代理業等を除く)
◆ 風俗関連の事業(一部のものを除く)
◆ アダルト関連のネットサービス
◆ ソープランド
◆ 風俗関連の娯楽業
◆ ラブホテル
◆ 性風俗のインターネット配信業
◆ パチンコ、スロット、射的、競輪、競馬業、ビンゴゲーム
◆ 芸妓業(置き屋、見番を除く)
◆ 易断、観相業
◆ 相場案内業
◆ 興信所業
◆ 集金業・取立業
◆ 学校法人が経営する学校
◆ 宗教・政治・経済・文化団体その他の非営利事業及び団体
◆ LLP(有限責任事業組合) 

保証を受けられないその他の場合

信用保証協会では、以下の場合についても保証を行っていません。

■ 信用保証協会の管轄の範囲や主催する自治体以外で事業をしている場合 
  各信用保証協会の管轄区域で事業を営んでいる必要があります。
■ 事業実態がない場合
  保証を利用するには、事業実態があることが条件となります。
■ 業歴要件を満たさない場合
  一部の保証制度では、一定の業種が要件となっている場合があります。
  そのため、この要件を満たせない場合は、保証を利用できません。

信用保証協会の保証を利用するためには、原則として、各信用保証協会の管轄区域で事業を営んでいる必要があります。また、制度融資を利用するには、申込先の信用保証協会が提携する都道府県(市)において事業をしていることが条件となります。

・本店が東京都新宿区内にある場合 
 ➡ 利用できるのは、東京都信用保証協会、東京都制度融資、制度融資のいずれか

融資や保証が受けられない場合の対策

融資や保証が利用できない場合でも、その原因によっては適切な対応をすることで利用ができるようになることがあります。

企業規模が大きすぎて利用できない場合

企業の資本金や従業員規模が大きすぎて融資や保証が利用できないときは、つぎのいずれかより対応することができます。

● 規模要件のない市中銀行のプロパー融資を利用する
● 業種の区分や別会社化をする

企業規模や従業員数の制限に抵触する場合は、これらの制約のない市中の金融機関のプロパー融資を利用することで解決できます。

また、会社内に複数の業種があればそれを分社化して、規模や数を限度以下に減らすということでも対応が可能です。

金融業や風俗業の登記をしているため融資や保証が利用できない場合

会社の登記の目的の中に金融業や風俗業の登記をしているため融資や保証が利用できない場合は、それが本業でない場合は、定款変更手続きをしてこれらの事業を目的から削除することで、融資や保証が利用できる場合があります。

事業実態がないといわれた場合(信用保証協会)

信用保証協会で「事業実態がない」と判断された場合には、保証を利用することができません。とくに創業者については、このように判断されることがあります。

一部の信用保証協会では、「会社の登記をした」、「開業届を提出した」というだけでは事業を開始していないと判断されることがあります。

このような場合には「少量でもよいので仕入れをする」、「取引見込み先から発注書をもらう」、「取引見込み先と取引基本契約を結ぶ」などをすると事業の開始を認めてもらいやすくなります。

■ 地区外で利用したい信用保証協会付融資が使えない

信用保証協会付融資は、その地域を管轄する信用保証協会でのみ利用することができます。
また、制度融資については、これを主催する自治体の中で営業していることが必要です。

そのためその地域外の信用保証協会付融資や制度融資を利用したい(例えば、埼玉県の会社だが東京都の制度融資を利用したい場合など)ときには
・会社の本店をその融資制度のある地区へ移転する
・その融資制度のある地区で支店登記をする
のいずれかの対策を行う必要があります。

まとめ

通常の中小企業であれば、そのほとんどが日本政策金融公庫の融資や信用保証協会の保証を利用することができます。

しかし、一部の事業や業種については、制度や政策的な理由から、融資や保証の利用ができなくなっています。

また、日本政策金融公庫と信用保証協会とでは、公庫はスナックやガールズバーへの融資がOKなのに対し、信用保証協会ではNGとなっているなど、その範囲が同じではないことに注意する必要があります。

119番資金調達NETでは、事業計画書の作成や資金調達全般に関するサポートの他、このブログではご紹介していないテクニックや融資で注意すべき点についても、その方の状況にあわせてアドバイスしています。
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プロフィール
融資コンサル
引地 修一

119番資金調達NETの代表引地です。
創業者・中小企業経営者の方向けに、 融資の申込みや事業計画書の作成計画・経営の改善などのサポートをしています。これらに関するご質問であればたぶん90%くらいの確率で、回答できると思いますので、お気軽にご相談ください。

【主な経歴】
・2005年Ichigo(一期)行政書士事務所を開設。
・2008 「確実に公的創業融資を引き出す本」を出版。※6刷増刷中
・2008 ドリームゲート「資金調達部門」最優秀アドバイザーを受賞
・2011 「銀行格付けアップ術」出版
・2014 「飲食開業のための公的融資獲得完全マニュアル」
・2021現在、累計相談者数2,000人を突破。

【持っている資格】
行政書士、宅地建物取引主任、事業再生アドバイザー、品川区武蔵小山創業支援センター公認アドバイザー

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