融資の出やすい会社を作る!「正しい設立手続き」とは?

会社設立日本政策金融公庫

皆さんは法人で融資を受ける際に、「会社の作り方に問題があると、融資がでなかったり減額されてしまうことがある」ということをご存知でしょうか?

現在は以前とは異なり、資本1円、株主・役員1名という会社を作ることもできますが、これはあくまでも登記手続きができるということにすぎません。

しかし、融資では、これとは別の判断がされるため、このような会社や融資的に問題のある会社を作ってしまうと、取り返しのつかないことになってしまいます。

ここでは、融資的にも問題の会社を作るためには、どんななことに注意をすればよいかについてご説明します。

会社の設立の仕方は融資に大きく影響する。

資本金と融資の関係

会社を設立するためには、まず、事業の元となる「資本金」が必要となります。

そして、この資本金を基盤として会社の設立登記をすることになりますが、一般的な設立手続(発起設立の場合)では、以下のような手順が必要となります。

<株式設立の場合の設立手続きの流れ(発起設立)>

① 発起人による出資
発起人個人の通帳から、各々の発起人がその出資割合に応じた金額を代表者の個人通帳に振り込む。

② 出資金に関する証明手続き
①の通帳に集められた出資金について代表者が「払い込みがあったことの証明
書」と「資本金の計上に関する証明書」(現金のみの払込みの場合には不要)を作成する。
③ 証明書の作成
上記②の書類に、出資金の振り込まれた代表者の個人通帳の写し(通帳の表紙、裏表紙、振り込みの記載がされ
た箇所)を貼り付け、すべてのページについて割印する。

④ 登記申請手続き
登記申請書に他の必要書類と③の資料をまとめて綴り、必要な額の収入印紙を貼って管轄の法務局に提出する。

⑤ 資本金の会社通帳への移管
登記完了後に会社名義の通帳を作り、代表者の通帳の資本金を会社名義の通帳に
移し替える。
    

設立登記の手続きだけを考えた場合の流れは以上のとおりですが、ここで注意しなければならないのが「資本金と融資との関係」です。

設立時の資本金額がいくらでもよくなったといっても、この資本金の額が少ないと申し込める融資の額も少なくなってしまいます

では、資本金に対してどの程度の融資が見込めるのかといえば、一般的にその額は「資本金の3~4倍程度」とされています。

つまり、100万円の資本金があった場合、300~400万円程度の申込金額が妥当ということになります。

したがって、いくら当初の負担が少なくてすむからといって、設立時の資本金を極端に減らしてしまうと、後で大きな額の融資が受けにくくなってしまうということになります。
※ 参照:飲食店希望者は必見!無料相談事例でわかる創業融資の獲得術!

自己資金について

日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する場合には、「創業にかかる経費の10分の1以上」の自己資金が必要とされています。

この自己資金とは、創業のために自分で貯めたお金などをいい、次のようなものがこれに該当します。

① 自分で貯めたお金
② 退職金
③ 相続により取得したお金
④ 親からもらったお金 他

一方次のようなものは、自己資金として認められません

① 現金または現金を通帳に移し替えたお金(タンス預金など)
② 他人から借りたお金(親から借りたお金を含む)
③ 出どころの説明できないお金

なお、ここで注意していただきたいのが、
会社の登記簿謄本に記載された金額 = 自己資金 」ではない
ということです。

日本政策金融公庫に限らず、通常の金融機関では「登記簿上の資本額 = 自己資金額」と単純には見ていません。
なので、いくら
会社の登記簿謄本に資本金として記載されていたとしても、それが本当に自己資金なのかについては改めて確認を行います。

この場合の確認方法は、通帳の履歴をさかのぼって確認し、そのお金の出所がどのようなものかについて細かくチェックするというのが一般的ですが、場合によってはさらにそのひとつ前の通帳やその他の証拠資料などを要求することもあります。
※参考:80%以上の人が知らない!新創業融資制度の「自己資金」の疑問をすべて解説! 

事業目的について

会社を設立して創業する場合には、必ず、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社のいずれかを選択し、会社の事業目的を決めて設立の登記をしなければなりません。

以前の会社設立の手続きでは、「類似商号」などの面倒な手続きがあったため、かなり専門的な知識が必要でしたが、現在では、違法や内容が不明瞭なものでなければ、ほぼ問題なく登記できるようになりました。

そのため、最近では専門家を使わず、ご自分で設立登記をする方が増えていますが、キチンと融資を受けたいのであれば、事業目的はよく考えて選ぶべきです。

なぜならば金融機関では、融資・保証ができない業種というのが決められているからです。

以上のような業種のことを「融資(または保証)対象外業種」といいます。

融資(または保証)対象外業種の例
① 農林水産業(一部の者を除く)
② 遊興娯楽業のうち風俗関連営業
③ 金融業
④ 学校法人、宗教法人、
⑤ 非営利団体、中間法人、LLP他

もし、これらのうちのどれか一つでも登記をしていると、それだけで融資が受けられなくなってしまったり、審査でマイナスとなってしまいます。

これは、例えば、「本当は飲食店をするのだが、ひょっとすると将来、金融関連の仕事もするかもしれないから、とりあえず目的の中に入れておこう。」というケースなどで多く見受けられます。

もし、会社を設立する際に、うっかり「融資(または保証)対象外業種」を入れてしまったという場合には、その対象となっている目的を削除してから融資の申込みをすればOKです。

ただし、そのためには余分な目的を登記から削除するために費用(登録免許税3万円+専門家手数料)がかかりますので、スムーズに融資を受けたいのであれば、はじめから会社の「事業目的」には十分気をつける必要があります。

参考:日本政策金融公庫に融資が断られた原因はこれだ!

会社の本店の場所について   

「会社の本店をどこにするか?」は、一見、融資に関係ないように見えますが、制度融資(信用保証協会の保証付融資)を申し込む場合には注意が必要です。

制度融資とは、各都道府県等が主体となって行っている融資制度ですが、地域ごとにその内容が異なります。

たとえば、東京都の創業者向け制度融資(「創業」)の限度額は3,500万円ですが、埼玉県の創業者向け制度融資(「新事業創出貸付」)では3,000万円となっており、また、金利などにも違いがあります。

このように制度融資は、都道府県や市町村ごとで行われるため、地域により内容が変わるのですが、どの制度融資を利用できるか?」は、その会社の本店がどこにあるか?」で決まります。

例えば、新宿に本店がある人は 東京都制度融資または新宿区制度融資のいずれかを、また、埼玉県春日部市に事務所がある人は、埼玉県もしくは春日部市の制度融資のいずれかに申しこむことができます。

なので、後で埼玉県より東京都の方が資限度額が多いとか、有利な条件だったということに気づいても、登記をした後では埼玉県の制度融資を使わざるを得ないということになってしまいます。

現物出資をしている場合について

会社の設立をするときには、現金や預金だけでなく、車などのモノによっても出資をすることができます。
これを「現物出資」といいます。

こうすることにより資本金を大きくすることができるので、一部の会社では利用されていますが、これについても融資を受けるときに気をつけなければならない問題があります。

それは「現預金の割合が少ない場合」です。

たとえば資本金500万円の会社を設立した場合、その資本金の内訳が「預金50万円」に対して「車による出資450万円」となっているとします。
この場合の名目上の資本金は500万円
となりますが、実際の運転資金に充てることのできる金額は50万円しかないということになります。

このようなアンバランスな会社に対しては、金融機関は融資に消極的となります。

また、現物出資された財産の価格を実際の市場価格よりも大きく見積るような行為は、実質的な財産の価値よりも過大な評価額をすることとなるため禁じられています

役員構成について

融資の審査では代表取締役だけでなく、平取締役や監査役も審査の対象となります。

したがって、代表者には何の問題もなくとも、その他の役員に信用上の問題(破産歴がある、金融機関に対する未納や不払いがあるなど)がある場合には、これが原因となって融資がでなくなってしまうことがあります。

会社の設立のためだけに、安易に名目だけの役員になってもらうと
、思わぬ失敗の原因となりますので役員の選任には十分に注意してください。

会社の設立に関する融資の失敗事例

「間違った情報」を鵜呑みにして失敗したケース

ネットなどに書かれた情報を鵜呑みにして融資に失敗してしまうケースが結構ありますが、次にあげるものはいずれも間違いなので信じないようにご注意ください。

◆  親兄弟から借りたお金は「自己資金」となる。
→親兄弟からであっても借りたお金は自己資金にはなりません。

◆ 金融機関から借りたお金を自己資金として、さらに別の融資に申込むことができる。
→ 金融機関から借りたお金はあくまで借入金であって、このようなお金は自己資金として認められません。

◆ 他から借りたお金でも、一度通帳に入れてしまえば「自己資金」として認められる。
→ 借りたお金は通帳に入れても自己資金にはなりません。

◆ 自己資金がない場合でも、事業計画書の内容が良ければ審査に通る。
→ 新創業融資は、創業経費の1/10以上の自己資金がなければ申し込めません。
※ただし、一部の例外あり。

◆ 会社の登記をして資本金が登記されれば、通帳での自己資金の確認はされない。
→ 会社の資本金についても、出どころについて代表者の通帳の確認が行われます。

買った会社で融資の申込みをし、失敗したケース

「資本金の大きい会社 = 融資の出やすい会社」という勘違いをし、休眠会社を購入して融資の申込みをされる方がいますが、このような会社では資本金の出どころの証明や決算書の提出ができないため、融資が出ることはありません。

本店を他の会社の中にしてしまったため融資が下りなかったケース

会社の本店には、ある程度の独立性があることが求められます。
そのため他の会社の一角に机などを借りて開業している場合には、独立性のないものとして融資が出ない原因となることがあります。

必要な許認可を個人名義でしか取得していなかったケース

法人で営業するにもかかわらず、個人名義でしか許認可や資格を取っていないという方がたまにいますが、このような場合、法人名義の許認可等が取得できるまで融資はされないか、もしくは融資そのものが否決されてしまうことがあります

※ 参照:最新の実例見本で解説! 飲食店創業融資のための事業計画書(創業計画書)の作成

 


プロフィール
融資コンサル
引地 修一

119番資金調達NETの引地です。

創業者・中小企業経営者の方向けに、
● 融資の申込みの計画・申請、
● 事業計画書の作成、金融機関との交渉
● 契約・許認可手続き、経営の再建
などの「中小企業のお金と経営」をサポートしています。

特に、融資関係については、すぐに問題解決の提案をする「即効提案」がお客様から好評をいただいています。

【経歴】
2005年に金融・経営を専門とするIchigo(一期)行政書士事務所を開設。
2008に業界初の融資ノウハウをまとめた「確実に公的創業融資を引き出す本」を出版。異例の6刷増刷を達成。※現在も継続中。

コンサルティングでは、2020現在、累計相談者数2,000人を突破。6億2,000万円の資金調達額を達成中。
2008年に創業者支援団体ドリームゲートにて「資金調達部門」最優秀アドバイザーを受賞

【資 格】
行政書士、宅地建物取引主任、事業再生アドバイザー、品川区武蔵小山創業支援センター公認アドバイザー

【出版実績】
2008.12 「確実に公的創業融資を引き出す本」(TAC出版)を出版
     アマゾンレビュー評価4.2
2011.08 「銀行格付けアップ術」
2014.07 「飲食開業のための公的融資獲得完全マニュアル」

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