融資にはいくつもの分類の仕方がありますが、これを形式な面からみた場合、手形割引・手形貸付・証書貸付・当座貸越4つの種類に分類されます。
今回は、この4つの融資の違いについてご説明します。
形式から見た融資の種類
融資をその形式の違いから見た場合には、次の4つに分類することができます。
◆ 手形貸付
◆ 証書貸付
◆ 当座貸越
手形割引
手形割引とは?
「手形割引」とは、他の会社から支払いのために受け取った手形を金融機関に一時的に買い取ってもらうことにより、その額面に見合った金額の融資を受けるというタイプの貸付方法をいいます。
手形割引では、金融機関が手形の裏書をしたうえで、一定の手数料を差し引いた金額を申込人の口座に入金するというのが一般的な流れです。
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▼ 金融機関で割引の枠の限度・振出人・支払い期日等の確認、審査
↓
▼ 審査で決定された金額の融資の実行
なお、返済は、その手形の満期日(これを過ぎると現金化できる)以降に、金融機関が手形の振出人に対し取り立てをする方法により行います。返済が完了した場合には、手形は本人に返却されます。
手形割引の特徴
手形割引には次のような特徴があります。
◆ 返済期間は半年以内がほとんどあり、手形の満期日以降に一括返済。
◆ 手形の内容(上場企業か?中小企業か?、手形の支払いの満期日はいつか?など)や金融機関の規
模などで、割引料が変わる。
例) 都市銀行:1.5~3.0% 地方銀行:2.0~3.5%
信用金庫:2.5~4.0% 信用組合:3.5~5.0%
◆ 手形はいくらでも割引できるわけではなく、その申込人の信用力に応じた限度額(割引限度枠)が
設定され、その範囲内で行われる。
なお、手形割引で注意しなければならないのが、「手形の買取り義務」の存在です。
手形割引を金融機関にお願いしたときに、手形の振出人が倒産したり、支払いができず不渡りとなってしまうと、手形割引の申込人は金融機関に対しその手形の支払いをしなければならなくなります。
これを「手形の買取り」といいます。
したがって、あまり優良でない企業の手形の割引割引を行っている場合には、割引手数料が高くなるだけでなく、振出人が倒産した場合のリスクも高まることになります。
手形貸付
手形貸し付けとは?
「手形貸付」とは、融資の申込人が金融機関に対して手形を振り出すことにより、資金の調達をする方法をいいます。
手形割引が、申込人が他の会社から振り出された手形を使うのに対し、手形貸付では、金融機関の専用の手形を使って手形を振り出すところに違いがあります。
手形貸付の特徴
手形割引には次のような特徴があります。
◆ 返済方法は、利息額を先に支払ったうえで、元金については指定された日に一括返済。
◆ 証書貸付よりも簡単な手続きと審査で行うことができる。
このような特徴があることから、商品を仕入れて販売するまでや、商品の売掛金が入金されるまでといった、短期間の資金調達に利用されるのが一般的です。
なお、手形貸付は金融機関に対して手形を振り出して行うものであるため、もし、返済日までに返済ができない場合には、通常の手形と同様、2回の支払い不能により取引停止処分となります。
証書貸付
証書貸付とは?
「証書貸付」とは、金融機関と融資の申込人との間で金銭消費貸借の契約書を交わしたうえで融資をするタイプの貸付方法をいいます。
主に長期の変異が必要となる融資で利用されます。
証書貸付の特徴
手形割引には次のような特徴があります。
◆ 返済については、元金均等が原則であるため、はじめのうちは返済額の総額が大きくなる。
◆ 一般的に、返済期間が長期となり、金融機関側の貸し倒れリスクが高まるため、その分審査は厳し
くなる。
◆ 手形割引や手形貸付が無担保であるのに対して、証書貸付ではその条件に応じて担保や保証人が求
められる。
ちなみに「元金均等」とは、元金を返済回数で割ったものに利息を加えた額を支払うタイプの返済方法を言います。そのため、返済は初めは重く(利息分が大きいため)、返済を進めるうちに支払額が減っていきます。
これに対し、「元利均等」とは、利息を含めた最終回までの支払額を単純に支払回数で割るタイプの返済方式で、毎回の支払い額が変わらない代わりに、元金均等と比べると支払い総額が大きくなります。イメージとしては、通常の住宅ローンのようなものとなります。
なお、証書貸付で返済ができなくなった場合には、その融資が信用保証協会の保証付きである場合には代位弁済の請求がされ、担保や保証人を取っている場合には競売や保証人への請求が行われます。
当座貸越
当座貸越とは?
「当座貸越」とは、初めに金融機関と融資申込人との間で貸し出し可能な金額の枠を設け、その枠内で自由に貸したり返したりをすることができるタイプの貸付方法をいいます。
カードローンなどがこのタイプに該当します。
当座貸越の特徴
契約をする必要がない。
◆ 枠の範囲内であれば自由に出し入れができる一方、利用にあたってはかなり厳しい審査がある。
◆ 証書貸付に比べて、金利が高くなる。
以上4つの貸し出し方法が一般的なものとなり、申込人はその特徴や利便性に応じて融資を利用することになります。
したがって、経営者の側もこれらの特徴を把握して、状況にあった適切な借り入れをする必要があるだけでなく、複数の種類の借入を行っている場合にはその返済期限や返済額に注意してください。
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