皆さんは、銀行から融資を受けるときに
「今回はプロパー融資で行けます!」とか「保証付き融資でお願いします」
といわれたことはないでしょうか?
これはどのように融資をするかという区別なのですが、これがどちらになるかで金利が変わるだけでなく、あなたの会社が銀行からどのようにみられているかもわかります。
ここではプロパー融資の特徴や保証付融資との違い、プロパー融資わ受けやすくするコツなどについてご説明しますので、上手に使いわけてください。
プロパー融資と保証付融資の特徴と違い
金融機関が企業に対して行う融資には、「プロパー融資」と「保証付融資」の2種類があります。
「プロパー融資」 銀行が自分の責任だけで、直接、貸し付ける融資
「保証付融資」 信用保証協会や保証会社の保証がついた融資
それぞれについての具体的な違いや特徴は、以下の通りです。
プロパ―融資の特徴
プロパ―融資は、信用保証協会や保証会社といった保証機関の保証を使わずに、金融機関が自分の責任とリスクのもとに貸し出す融資です。
プロパー融資には、次のような特徴があります。
◆ 融資が出るまでの時間が比較的短い。
◆ 貸出の金利が低い。
◆ 利用するためには、ある程度の実績が必要。
◆ 原則として、担保や保証人が必要。
融資の基準が厳しい
プロパー融資の場合には、借主が返済できないなどの万が一の場合には、金融機関がその全部について貸倒のリスクを背負わなければなりません。
そのため、保証付融資よりも、融資の基準は厳しいものとなります。
融資か出るまでの時間が比較的短い
プロパ―融資は、自行の中だけで融資の審査・決済をするため、信用保証協会などの他の機関の審査が不要です。
そのため、その分迅速な処理ができます。
しかし、金額が大きい、内容が複雑などの案件については、本店などの上級者の決済が必要となるため、時間がかかることもあります。
貸出の金利が低い
プロパー融資は、「信用力の高い企業を対象としている」、「信用保証協会を使わない」などの理由から、貸し出しの金利はかなり安く抑えられるのが一般的です。
ただし、借入人の信用力が低い場合には、それに応じた高い金利となることもあります。
融資限度額がない
プロパー融資には、制度融資のような融資の限度額がありません。
そのため、金融機関が了承すれば、何十億という多額の融資を受けることもできます。
利用するためには、ある程度の実績が必要
プロパー融資は、信用力の高い企業のみを対象としているため、誰でもがすぐに利用できるわけではありません。
これを利用するためには、ある程度の期間、その金融機関に対する実績を積む必要があります。
また、経営内容に問題がある場合も利用ができないため、債務者区分を「正常先」レベルに保つことが必要となります。
参 考 債務者区分の判定については、「これで企業の運命が決まる!「債務者区分」とは?」を参照ください。
原則として、担保や保証人が必要
プロパー融資は、借入人が上場企業やそれに準ずる企業でない限りその利用の際には、担保または保証人が必要となります。
担保や保証人がなくとも貸出しをする場合もありますが、その場合にはあまり大きくない金額となるのが一般的です。
保証付融資の特徴
保証付融資のうち、信用保証協会付融資は信用保証協会という保証機関の保証を使って貸し出しをする融資で、「マル保」などとも呼ばれます。
信用保証付融資には
● 通常の融資に信用保証協会の各種保証メニューをあわせて使う方法
● 初めから融資と信用保証協会の保証がパッケージになった「制度融資」を使う方法
の2種類があります。
保証付融資には、次のような特徴があります。
◆ 審査にある程度の時間がかかる。
◆ 担保や保証人がなくても借りられる。
◆ 融資を受けるためには金融機関への申込みが必要。
◆ 金利とは別に保証料がかかる
信用力の低い企業でも利用しやすい
保証付融資は、信用保証協会という政府の機関による保証が受けられるため、創業者や中小企業といった資金力や信用力の少ない企業であっても、手軽に融資を利用することができます。
また、融資のために提出する書類や資料も、プロパー融資に比べて簡単です。
審査にある程度の時間がかかる。
保証付融資は、信用保証協会と金融機関という2つの機関の審査を受ける必要があります。
そのため、プロパー融資と比べて、審査・融資が出るまでに時間がかかります。
担保や保証人がなくても借りられる。
保証付融資には、はじめから信用保証協会の保証がついているため8,000万円までならば、担保や第三者の保証人がなくとも融資を受けることができます。(無担保・無保証)
但し、この8,000万円というのはあくまで制度上の上限額なので、誰もが無条件に8,000万円までの保証が受けられるというわけではありません。
具体的にいくらまで借りられるかは、その企業の財務状況によります。
参 考 具体的にいくらまで借りられるかについては「いくらまで借りられる?借入限度の計算法」」をご参照ください。
融資を受けるためには金融機関への申込みが必要
信用保証協会は、信用の保証だけを行う機関です。
そのため、保証をうけただけの場合には、融資については別途に金融機関へ申込みをする必要があります。
しかし、「制度融資」の場合には、信用保証協会による保証の審査と、金融機関による融資の審査が一緒に行われるため、申し込みの手続きは金融機関への1回のみでできます。
金利とは別に保証料がかかる
信用保証協会を利用する場合には、融資の金利とは別途に「保証料」がかかります。
この保証料の基準は約1%ですが、財務内容のよい企業はこれより安く、悪い企業はこれより高くなります。
信用保証の種類について
信用保証には、信用保証協会が個別の案件ごとに企業へ保証枠だけを与える「個別保証」と、都道府県などの行政が主催し、はじめから保証と融資がセットになった「制度融資」があります。
またさらに、制度融資は、各都道府県が実施するものと市区町村が行うものの2種類があります。
保証のタイプ | 概 要 | 種 別 | 融資の利用 |
個別保証 | 信用保証協会保が個別の案件ごとに保証 | ― | 信用保証協会の保証が取れた後に、金融機関へ融資の申込みが必要 |
制度融資 | はじめから保証と融資がセットになっている(制度融資) | 都道府県主催 市区町村主催 |
金融機関へ申し込むだけでOK ※保証についは同時に審査される |
「都道府県が行う制度融資」と「市町村が行う制度融資」を比べた場合、次のような違いがあります。
都道府県主催 | 市区町村主催 | |
実施の状況 | すべての各都道府県で行われている | 一部、行われていない市町村がある |
優遇措置 | 原則、優遇なし | 一部の市町村では、融資額の拡大や金利の補填などの優遇あり |
融資額の規模 | 市町村制度融資より大きい場合が多い | 都道府県制度融資より少ない場合が多い |
審査方法 | 信用保証協会と金融機関の両方の審査 | 左記の審査の他先、商工会や指導員による指導をうけなければならないことがある |
プロパー融資を受けやすくするためのコツ
以上のようにプロパー融資には、短時間で、低金利で、多額の融資を受けることができるというメリットがある半面、審査が厳しいという特徴があります。
そのため、これをいきなり使うことはできませんが、次のような点に注意すれば利用しやすくなります。
信用保証付融資で実績をつける
プロパー融資は、金融機関側にとってもリスクの高い貸し出しのため、いきなりこれを利用することはできないのが普通です。
そのため、まずは信用保証付融資を借りる、返すなどして、確実な返済実績を作っておく必要があります。
財務内容を改善する
プロパー融資の審査では、借入企業の財務状況他を分析し、その結果にもとづいて融資をするかどうかを決定します。
そのため、借入企業側では「赤字決算にしない」、「不明瞭な勘定科目をなくす」、「金融機関の評価を上げる決算書を作成する」などといった、財務内容が求められます。
参 考 金融機関の評価を上げる対策については「金融機関はここを見て貸している!融資を引き出す6つのポイント」をご参照ください。
事業計画書を作って今後の経営方針を伝える
プロパー融資を引き出すために大いに役立つのが「事業計画書の作成・提出」です。
金融機関では、その企業がどんな方針で、どのような経営を目指しているのを最も知りたいと考えています。
そのため、単なる目標を書いた計画ではなく、具体的な進捗予定や金融機関側の要望などを取り入れた事業計画書を作成・提出することにより、評価を大きく上げることが可能となります。
参 考 具体的な評価を上げるための事業計画書については「赤字企業が融資を引き出すには?5分でわかる対策と解決事例」」ご参照ください。
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