日本政策金融公庫や銀行から融資を受けるときには金利を支払いますが、この金利は申し込んだ銀行によりマチマチで、高いところもあれば安いところもあります。
では、銀行ではどうやってこの金利を決めているのでしょう?
また、金利を低くすることはできるのでしょうか?
ここでは、融資の金利の決め方と対策や信用保証料についてご説明します。
日本政策金融公庫の金利の種類
銀行の金利の種類には、大きくわけて「固定金利」と「変動金利」の2種類があり、それぞれその内容や適用される融資が決まっています。
固定金利とは、初回の返済~終了までの間、同じ利率が適用されるタイプの金利をいいます。
固定金利は、返済途中での金利変動の影響をうけないため、銀行としてはその分のリスクを織り込んで、変動型よりも高めに設定されていることがほとんどです。
固定金利が適用される融資としては、各銀行で扱っている固定型金利融資の他、「制度融資」(信用保証協会付融資)がこれに該当します。
変動金利とは、一定の期間ごとに金利の利率を見直すタイプの金利をいいます。
変動金利は、その時の情勢にあわせて金利の切り替えができるため、銀行側としてはリスク回避しやすい反面、借主にとっては返済の計画が立てにくいという面があります。
変動金利が適用される融資としては、銀行で扱っている変動型金利の融資の他、「制度融資」などの一部にも変動型のものがあります。
一般的な証書貸付けなどは、この代表的なものとなります。
固定型金利と変動型金利の比較
メリット | デメリット | |
固定型金利 | 長期の返済計画が立てやすい | 選んだ時期によっては、ずっと高い金利のままとなる |
変動型金利 | 金利の変動に対応できる | 金融情勢によっては高金利となる |
金利の決め方について
銀行で金利を決めるときには、次のような要素をもとに決定しています。
2 借主企業の信用格付け
3 金融機関の種類
4 融資の申込み額
5 返済の期間の長さ
6 担保・保証人の有無
「債務者区分」とは、金融庁が決めた借入れをしている企業の財務内容をランク付けしたもので、次のように区分されています。
債務者区分
企業の状況 | |
正常先 | 経営・財務とも健全な企業 |
要注意先 | 財務状態が不安定で、今後注意を要する企業 |
要管理先 | 3ヶ月以上の長期延滞が発生しているなど、財務状態に問題を抱えている企業 |
破綻懸念先 | 財務状態が悪化しており、破綻の可能性が高い企業 |
実質破綻先 | 再建の見通しが立たず、破綻目前の企業 |
破綻先 | 破綻状態にある企業 |
この区分のどの位置にあるかにより、融資の可否やおよその金利が決まってきます。
なお、この区分のすべての企業が借り入れができるわけではなく、プロパー融資が受けられるのは正常先か要注意先までであり、それ以下の区分については融資が受けられないだけでなく資金の回収の対象となることもあります。
但し、日本政策金融公庫や制度融資などの政府系融資については、債務者区分が要注意先以下であっても、財務状況によっては融資を受けることが可能です。
「信用格付け」とは、債務者区分で決まったランクについてさらに細かな分類を行ったもので、各金融機関が独自の方法でこれを決めています。
たとえば、正常先の中でもその業績により、「aa1」や「ab2」とかに分けられます。
各銀行ではこのランク付けが何かにより、具体的な金利を決めています。
参 考 「債務者区分判定チャート」についてはこちら
金融機関はその規模や成り立ちにより、銀行・地方銀行・信用金庫・信用組合の4つの種類がありますが、一般的には下に行くほど基本的な融資の金利が高くなります。
なので、どの金融機関を利用するかにより、スタート時の金利に差がつきます。
銀行を基準とした場合の金融機関ごとのおよその金利の差は、
次のようになります。
金融機関の種別による金利差 ※ 銀行を基準にした場合
一般的な金利差 | |
銀 行 | 0% |
地方銀行 | 1~2% |
信用金庫 | 2~3% |
信用組合 | 3~4% |
銀行融資の金利は、これ以外にも融資の申込み額や返済の期間の長さ、担保・保証人の有無などによって、多少、変化します。
通常は、申込額が高いほど、融資の貸出期間(返済期間)が長くなるほど、担保や保証人がないほど、金利は高くなります。
金利を引き下げる方法について
融資の金利は、以上のような基準によって決定されますが、次のことをすることで、ある程度、金利を下げられる可能性があります。
2 信頼できる決算書を作成する
3 業績の進捗状況を定期的に報告する
4 特許や公的に認証を取得する
5 制度の高い事業計画書を提出する
金融機関が融資審査で重視するのは、「これまでの信用=返済の実績」です。
既存の融資の返済で、支払いの遅れや延滞などがなく計画通りに返済が行われている場合には、銀行もこれを高く評価します。
会社の財務内容の把握をするために、最も重要なのが「決算書」です。
但し、同じ決算書であっても、単に税務申告用に作られているものよりかは、金融機関の融資に配慮した決算書である方が評価が上がります。
融資に配慮した決算書のポイントとしては、次のようなものがあります。
● 決算書の提出期限内に提出されたものであること。 ● 過年度分の未払いの税金がないこと。 ● 「仮払い金など」などの未精算科目がないこと。 ● 会社から代表者への多額の貸付金がないこと。 ● 売掛金と買掛金のバランスがとれていること。 ● 売掛金について複数年にわたる未回収金がないこと。 ● 累積の赤字がないこと。 ● 連続した赤字や債務超過でないこと。 など |
参 考 「融資を引き出す決算の6つのポイント」についてはこちら
定期的に自社の財務内容や事業の進捗についての報告をすることは、銀行との関係性をよくするとともに、企業の評価UPにつながります。
報告の期間としては、できれば3ヶ月ごとが望ましいですが、それが難しい場合には6ヶ月ごとでも構いません。
なお、銀行は毎年の決算終了後に決算書の提出を求めてくることがありますが、言われてから出すのでなく、その前に進んで提出するようにしてください。
特許や国・都道府県の認証などを取得している場合には、その経営が高く評価されますので、これらを取得した場合には積極的に銀行に報告することで、金利の引き下げに影響を及ぼす一因となります。
これは3の業績の進捗状況の報告にも通じるものですが、精度と実現可能性の高い事業計画書を提出することにより、金融機関の信用を獲得することができます。
また、このような取り組みについては、中小企業検査マニュアルでも銀行側はこれを支援するべしとされていることから、金利の引き下げが期待できます。
信用保証料の決め方
信用保証協会付の融資や制度融資を利用する場合には、一定の手数料がかかります。
これを「信用保証料」といいます。
この保証料は、融資の金利とは別にかかるものなので、注意してください。
以前は、この保証料は保証金額にスライドする形で決められていましたが、現在では融資先の企業の財務内容や過去の返済実績などで決められています。
この決定の仕方を「スコアリング」といいます。
標準的なスコアリングの企業の保証料は「約1%」となっていますが、業績や返済実績の良い企業はこれよりも安く、そうでない企業では高くなります。
なお、一部の制度融資では、この保証料の一部を行政が補填したり、ケースによっては全額を免除している場合もあります。
まとめ
以上のように融資の金利は主に、債務者区分や金融機関ごとで定める格付けによって大半は決まってきますが、それ以外の要素によっても変わる可能性があります。
したがって、できるだけ融資の金利を引き下げたいとお考えの場合には、まずは「格付けのUP」ができないかを検討した上で、同時並行的に他の対策を行っていくというのがよいでしょう。
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