正しい自己資金の考え方・作り方

創業者向け一般コンテンツ

日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する際に、必ず問題となるのが「自己資金」です。
最近では、だいぶのハードルも低くなってきましたが、それでもなお、これについての正しい
理解なくして融資の獲得はありません。

そこで、ここでは自己資金の正しい考え方と作り方をまとめました。

「自己資金」とは何か?

1.自己資金の定義


飲食店の開業をお考えの皆さんならば、日本政策金融公庫の「
新創業融資制度」を利用する
合に一定の「自己資金」が必要になる、ということはご存知だと思います。

でもそもそも、「自己資金」とはいったい何なのでしょうか?

本来この点については、新創業融資制度を利用する上で必ずシッカリと理解していなければ
らないことなのですが、意外と知識があやふやだったり、間違った理解をしている方が
少なく
ありません。

自己資金とは
  「新創業融資制度を利用する場合に自分で用意しなければならない最低限のお金」
のことを言います。

簡単にいえば「事業の元手」ということになります。

そして、この自己資金の最低額については金〇〇万円以上などのように金額で決められている
けではなく、「創業にかかる経費の何分の1以上」のように割合として定められているのが
一般的です。

 

2.自己資金の要件

新創業融資制度でさだめられている「自己資金」として認めてもらうためには、次の2つの要
件を満たす必要があります。

① コツコツと貯めたお金のように、そのお金を貯めた経緯が通帳等ではっきりわかるもので
  ある
こと。
 創業事業に関して使用するお金であること。

そのため、①に関して次のようなものは自己資金として認められます。
自己資金として認めてもらえるもの

・ 親兄弟から事業の支援としてもらったお金
・ 
相続により得たお金
・ 退職金や生命保険金など、その出所がハッキリしているお金
・ 会社設立のための出資金
しかし、これが次のようなものである場合には、自己資金と認めてもらえません。
 自己資金として認めてもらえないもの
・ 借りたお金(親兄弟から借りたものを含む)
・ タンス預金(家にあった現金など)
・ 他人から理由なく振り込まれているお金
・ 一時的に用立ててもらったりしたような見せ金


要は、そのお金のそもそもの出どころが自分のお金であったり、正式にもらったようなお金で
あればOKということになりますが、金融機関の審査では
「そのお金を貯めた経緯」について
もかなり厳しく調査され、これに疑わしい部分がある場合には、希望の額の融資が出なかった
り、融資が否決されることになります。

また、そのお金は「創業事業のために使うお金」であることが必要です。
したがって仮に通帳に何千万円のお金ががあったとしても、実際に事業に使えるのが100万円し
かないのであれば、100万円しか自己資金にならないということになります。

 

自己資金をごまかすと?

なので、仮に通帳に500万円の残高があり、これを全部自己資金と申告して、その結
果1,000万円の融資の獲得に成功したとします。

この場合の事業計画は500万円+1,000万円の計1,500万円を使う計画となります。
しかし、もし、自己資金である500万円のうち200万円しか使わないとしたら、事業
に使うお金は1,200万円となり、どこかで事業の規模や設備の購入を削らなければな
らないことになります。

しかし、このようなことは通用しませんし、また、金融機関も見逃しません。
なぜなら、自己資金分を含めた融資の使い方について、後日、報告や証拠の提出を
求められる
からです。

また、このような行為がばれた場合には、計画通りのお金を使うように求められるか
もしくはその差額にあたる融資の返還を求められることになります。

したがって、事業に使う予定でないお金を自己資金とすると、このようなことになっ
てしまうので注意が必要です。

3.新創業融資制度の改正の変遷

日本政策金融公庫の新創業融資制度は、これまで短期間の中でいろいろと変更がされてきました
が、最近の変遷については以下のようになります。(太字は現在の内容)

融資の上限額】
 1,000万円 → 
1,500万円 → 3,000万円(うち運転資金については1,500万円)

【自己資金の額】
事業全体にかかる経費の半分以上必要 → 1/3以上 → 
1/10以上

【自己資金要件の免除】(自己資金がなくとも申込可能な場合)
 特  に  な  し
           
 以下のいずれかの要件を満たすもの
 ・同じ企業に6年以上勤務し、それと同じ業種の事情を行う
 ・大学等で習得した技能等で2年以上勤務した業種の事情を行う
 ・経営革新計画等の一定の承認を受けている方
 ・中小企業の会計指針または基本要領の適用予定の方 他

           
 以下のいずれかの要件を満たすもの
 ・本制度の貸付金残高が1,000万円以内
・現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める
・産業競争力強化法に定める認定特定創業支援事業を受けて事業を始める

【融資期間】
 設備資金15年・運転資金5年
           
 各種融資制度で定めるご返済期間以内

【利 率】
 2.50%~2.90% ※ 平成27.03現在
           
 2.51%~2.70% ※ 平成31.05現在

日本政策金融公庫へのインタビュー

最近の新創業融資制度の変化があまりに大きいと感じたので、この点について、直接、日本政
策金融公庫の担当者の方にいろいろと確認してみました。
以下はその時のやり取りの一部です。

Q.ここ最近の流れを見ていると、新創業融資制度の要件の緩和が著しいが、どのよう理由
  によるのか?

A.これら一連の改正は、政府の創業者をもっと広く輩出したいという意向にもとづいた政
  策の
一環として行われたものである。

Q.「自己資金が1/10でよいこと」や「一定条件下では自己資金が不要となること」とい
  のは本当にその要件に当てはまれば、誰にでも適用されるのか?

A.これらは制度の要件として行うものであることから、誰であっても適用となる。
  
ただし、だからと言って、誰でも限度額の融資が受けられるかといえばそういうこと
  はなく、そのためには当然、それに見合った計画や実力が求められる。
  
したがって、現実的には自己資金の2~3倍程度の融資が、妥当なラインとなるのでは
  いかと思う。
  
また、貸すか貸さないかの実態的な審査についてはこれまで通り行う。

  つまり、今回の改正等で気をつけなければならないのは、

   「 要件が広くなった 」 = 「 単純に、借りやすくなった 」

  ではないということです。


  当たり前ですが、「融資は、返済力に見合った分について行う」というのが大原則です。

  例えば、自己資金が100万円しかないため、これまでは200万円しか借りれなかった方が、
  制度
が変わったからといっていきなり900万円の借り入れができるかといえば、実際には
  その事業の
規模から考えて、それだけの借り入れをするのは難しいだろうということは、
  容易に想像がつきます。

  したがって、
  「 自己資金の大きさだけなく、その後の返済のバランスも重要 」
  ということになります。

  今回の改正は、確かに、これまで自己資金が足りなくて申し込みをあきらめてきた人にと
  
っては朗報となりますが、これらのことを考えると、誰もが限度額ギリギリまでの融資を
  受けられるということではないということに注意が必要です

自己資金に関する間違ったうわさと正しい知識

自己資金の考え方については、ネットなどで無責任なうわさがされていることがありますが、
これらの多くは何の根拠もないものです。

そこで、ここではこのようなうわさをいくつか取り上げ、それに対する正しい考え方を記載
しましたので、参考にしてください。

① 「初めに100万円の見せ金を用意できれば、これをもとにして日本政策金融公庫で最大
   限度までの融資がうけられる

   また、この資金を自己資金として使うことにより、さらに信用保証協会付融資を受け
   ることができる。 」
                 
   
そもそも、融資を受けたお金はあくまで借入金であって、これを自己資金とすること
   はできません。

   また、「見せ金」は通帳の動きを見られればすぐにわかってしまいます。

 「親兄弟から借りたお金は自己資金となる」  
                 ↓
   たとえ、親兄弟から借りたものであっても、返済義務のあるお金は自己資金とはな
   ません。
 

   ただし、それが贈与を受けたものである場合には、これを自己資金とすることができ
   が、
この場合には、贈与を受けたことを証明する資料の提出や、必要な確認を求
   められることがあり
ます。


③ 「開業前に支払った経費がある場合、
これらはすべて自己資金の一部としてカウントす
   ることができる」
                                               

  開業前に使った費用のうち、自己資金として認められるのは
  ・ その事業に関して前もって支払ったお金(先払いした家賃や敷金、備品類等)
  ・ その支出をしたことを明確に示せるもの
  であることが必要となります。

  したがって、事業に直接関係ない支出や、大きな金額であるのに領収がない
  ものなどについては、自己資金と認められないことがあります。
  なお、
創業のための法人設立登記の費用については、原則として自己資金にならない
  のとされます。

 「新創業融資を利用する場合には、自己資金が必ずしも1/10以上なくとも、事業計画
  の内容がよければ、融資の対象となる」
                 
  
新創業融資を利用する場合に1/10以上の自己資金が必要になるというのは、この融資を
  利用する場合の
いわば「エントリー的要件」のひとつであり、これをクリアーできない
  場合には、いくら事業計画書の内容が良いとしても、この制度を利用
することはできま
  せん。

  なのでこの要件を満たせない場合には、他の担保や保証人を必要とする融資制度を利
用することになります。

⑤ 「自己資金であることの証明はなくても、融資は受けられる」
                                              

  自己資金が「どのようなお金で、その出所はどこか?」といった確認は必ず行われます。
  なので、その際にはこれらについて証明しなければなりません。
  通常、自己資金の確認
は、通帳のお金の流れなどを見て行われます。

  また、必要な場合には、現在の通帳だけでなく、過去の通帳や、親兄弟、事業関係者
  どの通帳についても提出を求められることがあります。

⑥ 「法人で融資の申込みを行う場合、登記簿謄本に資本金の記載があれば、その額をもっ
   
自己資金として認めてもらえる」
                  

  法人を設立して融資の申込みをする場合でも、「資本金」=「自己資金」となるわけで
  はなく、この場合にもどうやってその資本金を貯めたのか、本当にその金額があるのか
  などといった調査は
通常の場合と同じように行われます。

 「日本政策金融公庫と信用保証協会の融資を同時に申し込むことはできない」
                                             
  日本政策金融公庫の融資と同時に信用保証協会付融資を申し込むことは可能です。

⑨ 「日本政策金融公庫と保証協会付融資を同時申し込んだ場合には、片方の融資が減額さ
   れることがある」
                                            
  
日本政策金融公庫と信用保証協会は全く別の組織であり、審査結果についてもお互いに
  その内容を知ることはできません。
  したがって、この2つの融資を申し込んだからといって、その結果により他方の融資が
  減額されるようなことはありません。
  ただし、同じ通帳で両方の融資を受けているような場合には、それぞれから融資を受け
  たことがわかってしまうため、注意が必要です。

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