最終変更?コロナ融資が令和5年9月末まで延長。新たな要件も追加!

コロナ対策融資 日本政策金融公庫

コロナ融資の延長期限は令和5年9月末まで

これまで、コロナ融資(新型コロナウイルス感染症特別貸付)は令和5年3月末をもって終了することとされていましたが、改正により令和5年9月末まで延長されることとなりました。また、この延長に伴い、新たな利用条件も追加されたため、申込みできる方の範囲が広がりました。

コロナ融資の新たに追加された利用条件とは?

これまでコロナ融資は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的な業況悪化を来している方で「最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高が前5年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している方」
が対象となっていました。

しかし今回の改正により
「債務負担が重くなっている方」
も対象となりました。

では、具体的にどの程度債務負担が重いと対象となるのかについては、直近の決算書により次の計算式に該当する方が対象となります。

「既存分の債務額※/減価償却後経常利益×1/2-減価償却額」が13年以上
※ 短期借入金+長期借入金+社債+設備手形+設備未払金+リース手形+リース未払い

既存債務額5,000万円、減価償却後経常利益200万円、減価償却額100万円、
3,000万円/{(200万円×1/2)+100万円}=15年 > 13年

どちらの要件を利用すべきか?

コロナ融資において、本来、この制度を利用できる方の条件は「最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高が前5年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している方」です。

現時点を基準に考えると、コロナ以前の平成30年までの同じ月について売上げが5%以上低下していれば利用できるため、非常に適用される範囲が広いということになります。

一方で、今回の追加の要件についてはといえば、「借入れが非常に多い」もしくは「借入額は少額でも、返済利益が極端に少ない」方が対象となります。

そのため、どちらの要件に該当するかは、その企業の財務状況によるということになります。

なお、今回の改正で対象となる方は、返済に13年以上の時間(債務償還期間)がかかる方であり、この場合の既存債務には過去に借りたコロナ融資を含みます。

また、これまで行われてきた「通常金利-0.6%」のり扱いは、これまで通り継続されることとなっています。 ※ ただし、利子補給制度は令和4年9月をもって終了しています。

「コロナ特別融資」とは?

 

 

 

 

 

コロナ特別融資とは、正式名称を「新型コロナウイルス感染症特別貸付」(以下、「コロナ特別融資」という)といい、令和2年3月17日より日本政策金融公庫などの政府系金融機関で実施されている、特別枠の融資制度です。

なお、信用保証協会では、「コロナ特別融資」とは別枠の保証となる「セーフティネット保証制度(4、5号)」を実施しています。こちらについては「セーフティネット保証を使って危機脱出」の記事で詳しく説明していますのであわせてご参照ください。

「コロナ特別融資」の特徴は以下の通りです。

 「コロナ特別融資」の特徴

➀ コロナウィルスの影響により5年間の対比で5%以上の売上げが低下している方」、もしくは「債務負担が重くなっている方」が利用できる。
➁ 通常の企業だけでなく、業歴3ヶ月以上なら創業者も利用できる。
③ 融資上限額は、既存の融資とは別枠で最大8,000万円。
④ 6,000万円以下については、3年間金利が-0.9%優遇される
➄ 3,000万円までについては、利子補給を3年間行う。
⑥ 無担保・無保証で利用できる。
以下、主な特徴について解説したいと思います。

コロナ特別融資が利用できる方

コロナ特別融資を利用できるのは
◆ コロナウイルスの影響より、一時的に売り上げが一定以上減少している方で、
◆ 以下のいずれかの要件に該当する方
となっています。
【通常の企業の方】
最近1ヵ月の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高が、前5年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している方
【創業者の方】
業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月間等の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高(業歴6ヵ月未満の場合は、開業から最近1ヵ月までの平均売上高)が次のいずれか(※2)と比較して5%以上減少している方

(1)過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高
(2)令和元年12月の売上高
(3)令和元年10月から12月の平均売上高
通常のコロナ対策融資の売上高の比較ができる期間ついては、以前は3年までが対象でしたが、5年間まで拡大されています。
また、この融資は通常の経営者の方だけでなく、業歴3ヶ月以上の創業者の方でも利用できる点に大きな特徴があります。ただし、創業者の方については、通常の経営者の方と比較して対象となる期間の取り方に違いがあることに注意が必要です。

「最近1ヵ月の売上高」※の意味について

上記の要件における「最近1ヵ月の売上高」とは、単純な直近の1ヶ月の売上高だけを指すものではありません。

これにはその他に、売上高の確認日を基準として、
① 確認日の前月の売上高
② 確認日の前日や直近の売上集計日から遡って1ヵ月の売上高
のいずれかでも比較が可能です。

したがって、例えば令和2年7月18日を売上高の基準日とした場合には、次のいずれかを「最近1ヵ月の売上高」とすることができます。

確認日の前月の売上高の場合 令和2年6月の売上高
確認日の前日や直近の売上集計日から遡って1ヵ月の売上高の場合 令和2年6月 18 日から令和2年7月 17 日までの合計売上高

なお、「最近1ヵ月間等の売上高」については、以前は単純な1ヶ月分のみが対象でしたが、現在では、これに加え、「最近 14 日間以上1ヵ月間未満の任意の期間」の売上高 も対象とすることができるようになりました。

したがって、確認した日が令和3年1月25日の場合は、例えば、令和3年1月5日~令和3年1月19日の14日間の売上高をもって、「最近1ヵ月間等の売上高」とすることもできます。

コロナ特別融資の概要

コロナ特別融資の概要は、以下のとおりとなります。
使い道 コロナウィルスの影響より必要となる設備資金および運転資金
融資限度額 8,000 万円
返済期間 設備資金:20 年以内<うち据置期間5年以内>
運転資金:20 年以内<うち据置期間5年以内>
利率 <6,000万円以下の部分>
融資後3年間:基準金利(災害)※-0.9%  3年経過後:基準金利(災害)
<6,000 万円超の部分>
基準金利(災害)
その他 無担保・無保証

※ 基準金利(災害) 1.12〜2.15%(令和5年5月1日現在)

なお、コロナ対策融資を申し込む場合の注意点ですが、この融資が利用できるのはあくまでも「コロナの影響により売り上げが5%以上下がっている」ことです。

したがって、仮に5%の売上げが下がっている場合でも、それが
・ コロナの影響によるものではない場合(単なる事業の不振や生活資金の借入れ)
・ コロナとは関係のない借入れである場合(通常の創業資金の借入れ)
などの場合には、融資の対象とはなりません。

リスケジュール中や債務超過でも、利用できるのか?

現時点で、日本政策金融公庫や信用保証協会からリスケジュールされている、または債務超過となっている方については、「リスケ中や債務超過でもこの制度は使えるのか?」ということが気になる点だと思います。

これについて、日本政策金融公庫へ確認したところ「現在、リスケをしていて、通常は融資が難しい人であっても、今回のケースではできるだけ柔軟に対応するので相談してほしい」との回答がありました。信用保証協会の方でも同様の考えのようです。

このようにリスケ中などの方であっても、今回のコロナ特別融資においてはかなり特例的な扱いが認められるようです。実際に私のサポートした顧問先の方は、リスケ中、債務超過、連続赤字、税金未納であるにも関わらず1,100万円の融資獲得に成功しました。
参 考 リスケ、債務超過等でもコロナ対策融資1,100万円を獲得の全経緯

また、このようなゆるい状況は日本政策金融公庫だけに限らず、信用保証協会融資でも同じような感じとなっています。

なぜなら、私の顧問先のお客様のところにも「既存の2本の信用保証協会付融資を一本にまとめませんか?」とか「リスケになっている3本のプロパ―融資を一本にして、正常化させませんか?」いう話が来ているからです。

こんな時になぜこんな話がと思いましたが、どうやら金融機関としては、コロナ特別融資が緩い条件のうちに80%から100%保証に乗り換えさせたい、プロパー融資についてもその時一本化して正常化させたいという思惑があるみたいです。

この話はリスケ先の企業に来ているものなので、おそらく他でも同じようなことを考えている金融機関はあると思います。つまり、今回の対策はリスケ中の方にとって、追加融資を受けるための一つのチャンスといえると思います。

なので、現在、リスケ中や債務超過の方であっても簡単にあきらめるのではなく、まずは相談してください。無料相談の範囲の中で、一緒に対策を考えさせていただきます。

 

 

 

 

 

「コロナ特別融資」を利用するためには、以下の必要書類を提出する必要があります。

個人事業の方

以前に日本政策金融公庫を利用している方 ● 借入申込書
● 新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の申告書
● 最近2期分の確定申告書の写し
● 設備資金の申込みの場合は、見積書
はじめて日本政策金融公庫を利用する方 商売の概要書(創業計画書提出の場合は不要)
● 代表者の運転免許証(両面)またはパスポート
● 許認可が必要な事業については許認可証

法人の方

以前に日本政策金融公庫を利用している方 ● 借入申込書
● 売上減少の申告書
● 最近2期分の確定申告書・決算書の写し
● 最近の試算表(決算後6ヵ月以上経過している場合または事業を始めたばかりで決算を終えていない方)
● 設備資金の申込みの場合は、見積書
はじめて日本政策金融公庫を利用する方 ● 法人の履歴事項全部証明書
● 商売の概要書
● 代表者の運転免許証(両面)またはパスポート
● 許認可が必要な事業については許認可証
※ 上記の書類以外にも、通帳や帳簿その他の資料の提出が必要となる場合があります。
創業計画書の具体的な記載については「創業融資の必要書類と書き方の見本」をご参照ください。

「コロナ特別融資」に関するQA

Q1 今まで利用していた融資の枠との関係は、どうなりますか?
今まで利用していた融資の枠とは「別枠」で利用することができます。
Q2 申込期限はありますか?
現時点では、令和5年9月末までとなっています。
Q3 創業して1ヵ月ですが、「コロナ特別融資」の融資対象になりますか?
創業後3ヵ月未満の方は、「コロナ特別融資」を利用できませんが、新規開業資金や女性、若者/シニア起業家支援資金などを利用できる場合があります。
Q4 半年前に創業融資を受け、返済が始まったばかりですが「コロナ特別融資」を利用することはできますか?
返済が始まったばかりの方であっても、新型コロナウイルス感染症の影響により、資金繰りに影響が出た場合は相談が可能です。
Q5 日本公庫の既存融資を借換えるだけの利用は可能ですか?
借換日までの利息等は必要ですが、基本的には可能です。なお、一定の要件を満たす「つなぎ融資」に対応する場合を除き、民間金融機関の借入金の借換えには利用できません。また、既存融資の一部についての借り換えも不可となります。
※ 以上、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付等に関するQ&A」より抜粋。

まとめ

「コロナ特別融資」は、限度額が8,000万円と大きくなり、また、今回の改正により、「債務額が過大で返済に13年以上の期間が見込まれる方」も対象となったことから、さらに申し込みがしやすくなりました。

また、今回の改正により、利用期限は令和5年9月末まで延長されましたが、後4ヶ月ほどしか時間がないので、申込みを検討されている方は早めに申し込む必要があります。

とはいえ、申込みをすれば誰でも利用できるわけではなく、利用にあたっては審査があるため、今後の事業計画や返済計画しっかり考えていないと融資に失敗してしまいます。

もし、この融資を申し込む際に、「返済計画が立てられない」とか「計画書の作り方がわからない」などのご心配がある場合には、一度、無料相談をご利用ください。

 

                               ※ こちらから電話できます。

プロフィール
融資コンサル
引地 修一

119番資金調達NETの代表引地です。
創業者・中小企業経営者の方向けに、 融資の申込みや事業計画書の作成計画・経営の改善などのサポートをしています。これらに関するご質問であればたぶん90%くらいの確率で、回答できると思いますので、お気軽にご相談ください。

【主な経歴】
・2005年Ichigo(一期)行政書士事務所を開設。
・2008 「確実に公的創業融資を引き出す本」を出版。※6刷増刷中
・2008 ドリームゲート「資金調達部門」最優秀アドバイザーを受賞
・2011 「銀行格付けアップ術」出版
・2014 「飲食開業のための公的融資獲得完全マニュアル」
・2021現在、累計相談者数2,000人を突破。

【持っている資格】
行政書士、宅地建物取引主任、事業再生アドバイザー、品川区武蔵小山創業支援センター公認アドバイザー

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