日本政策金融公庫の審査基準について

一般事業者向けコンテンツ


皆さんは「日本政策金融公庫はどこを見て、融資を出しているのだろう?」と考えた
ことはないでしょうか?

審査基準というのは、それぞれの金融機関ごとに決められており、これが公表される
ことはありません。

しかし、すべての金融機関では、融資をするにあたって必ず守るべき基準というもの
があり、それは日本政策金融公庫などの政府系金融機関でも異なりません。

とはいえ、創業融資の場合には、これとは別に以下のような独自のルールがあります。

 

創業融資の審査基準

1.創業の要件を満たしていること

日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用するためには、「創業者」である必要があ
ります。
そして「創業者」とは次のいずれかの方を言います。

・ これから開業する方
・ 開業後2期を経過していない方
・ 上記のいずれかであって、これまでに事業経験をしたことがない方

つまり、一番目と二番目の要件は満たせても、最後の要件が満たせないという方が少
なくないわけです。

例えば、次のような方は「創業者」に当たらない可能性があります。
・ 以前に会社の代表者となっていたことがある。
・ 個人事業をしていた経験がある。
・ フリーランスのバイトをしていて、確定申告をしたことがある。

このように「創業者」として認められるためには、単に創業した期間の問題だけでな
く、初めて事業を
したのかどうか?ということも重要なポイントとなります。

2.「自己資金」が確保できていること、バランスがとれていること

日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する場合には、創業にかかる事業経費の10
分の1以上の「自
己資金」を所有していることが必要となります。

これは例えば、創業するために必要な経費の全部(設備資金・運転資金)が1,000万円
である場合、少な
くともそのうち100万円以上は自分で預金等を持っていなければなら
ないということになります。
※ この場合はその方は最大900万円まで融資が受けられるということです。

そのため、先の例で100万円しかない方が1,000万円の融資を受けようとしても、それ
は無理というこ
とになります。このように自己資金と借りられる金額との間には密接
な関係があるため、これを無視した申し込みは受
付られないということに注意が必要
です。

3.公共料金、家賃、税金などが定期に支払われていること

創業融資に限らず、一般的に融資を受ける場合には、税金や公共料金といった定期に
支払うべきものに
ついて未納や支払いの遅れがないかが厳しくチェックされます。

一般的には、申し込み時以前の1年間の間にこれらの事実があることが発覚した場合
には、融資が受け
られなくなってしまうことが多いため、申し込みに当たってはこの
ような事実がないかの確認が必要と
です。

4.事業計画書の内容が適切であること

創業融資では、必ず事業計画書の提出が求められ、その内容の出来不出来は審査に大
きく影響します。
特に申込書のフォーマットの中で聞かれている項目について何も書
いていない、書いてはあるが数行
しか書かれていないというのは、大きく減点される
可能性があります。

日本政策金融公庫の新創業融資の事業計画書の例では、2~3行しか書かれていないも
のもありますが、
実際にはこのような程度の中身では十分な額の融資を期待すること
はできません。

したがって、聞かれている項目については、別紙を使っても構わないので、相手の納
得が得られるだ
けの十分な質・量を書くことが必要となります。

5.返済原資が確保できていること

創業融資に限らず、通常の融資でも同じですが、当然、融資は返済ができる見込みが
なければこれを
うけることはできません。

では、その返済の出来る見込みとは何か?といえば、それば「返済原資が確保できる
計画かどうか?」
ということになります。

返済原資がいくらになるかについては、次の式で計算できます。
返済原資 「借り入れた金額 / (税引き後利益+減価償却費)」

例えば600万円を5年で借り入れるためには、
600万円 / (5年×12ケ月) = 10万円/月となり、毎月10万円分の税引き後利益と減価償
却額が必要ということになります。 
※ ここでは利息は考えないものとします。

もし仮に、その方の見込みの利益が7万円/月しかないのであれば、残りの3万円分に
ついては減価
償却費がなければならないこととなります。

このように融資の額に見合っただけの返済ができる計画になっていなければ、事業計
画書としては成
り立たちません。
そのため、必要な利益等が出せる内容となのかどうかの確認が必要となります。

6.その他融資の一般的な条件が守られていること

創業融資に限らず一般の融資でも、次のような事由がある場合には、融資はされま
せん。

・ 過大な債務やローンがないこと。
・ 過去に自己破産や債務整理をしていないこと。
・ 融資非対象の事業でないこと。
・ 赤字が見込まれる事業内容でないこと。
・ 売り上げが見込めない事業でないこと。  など

 

一般融資の審査基準

これに対し、一般の融資審査では次のようなことが審査の基準となります。

1.決算書の内容が「過大な赤字」や「債務超過」でないこと。

日本政策金融公庫に限らず、通常の金融機関では貸出先企業に対する審査は、主に
その企業の実績、つまりは決算書を見て行います。

仮にその内容が赤字であっても、他の要件が満たせており、赤字の程度が多少のも
のであれば融資は行われます。

ただ、「連続した赤字であり、累積の赤字幅が大きい」や「実質的な債務超過状態
である」などの場合には融資を受けることは難しくなります。

 

2.借入れの総額が一定の範囲内であること

その企業がこれまでに借り入れた融資額が一定の限度を超える場合には、追加での
融資は難しくなります。

どの程度まで借り入れができるかについては、その企業の実力や実績によりますが、
一般的には次のようになっています。これを「借入金月商倍率」といいます。

【小売業】  1.5:正常  3.0:注意  6.0:危険

【卸売業】  0.8:正常  1.5:注意  3.0:危険

借入れの水準が正常~注意までの間で収まっている場合には、追加の融資の可能性
が高くなりますが、それを超える場合には審査も厳しくなります。

3.前回の融資から1年以上の期間が経過していること。

最後に借入れをした時から1年以上の期間が経過していない場合には、融資は難し
い傾向にあります。
この理由は、最低1年以上は経過しないと既存の借入金の返済が進まないためです。

なお、借り入れの際に元金の返済を先延ばしにする「据置制度」を利用するケース
がありますが、この場合にはその間は利息しか支払っていないため返済実績がある
とは見られないことに注意が必要です。

4.事業計画書の内容が適切であること
5.公共料金、家賃、税金などが定期に支払われていること
6.返済原資が確保できていること

以上については創業融資の場合と同じです。

 

ポイント

それぞれの融資における主な審査ポイントは

「創業融資」 申込要件のクリアー+自己資金+創業計画書
「一般融資」 決算内容+限度内での借り入れ+借入れ目的や計画の妥当性

ということになります。

特に創業融資は、1回のみの勝負となりますので、その申し込みには十分な注意を
払う必要があります。


タイトルとURLをコピーしました