実は簡単!日本政策金融公庫と信用保証協会融資を同時に獲得する方法

日本政策金融公庫

創業者の方の中は、「できるだけ大きな額の融資を受けたい。けれど、実績がない自分には難しいのでは?」とお考えの方が多いと思います。

しかし、日本政策金融公庫と信用保証協会融資を同時に利用すれば、最大で2倍の融資獲得ができるだけでなく、トータルでかかる時間を大幅に短縮することができます。

この記事では、日本政策金融公庫と信用保証協会融資を同時に申し込んで、最大2倍の融資を獲得する方法を解説いたします。

創業者の利用できる融資について

ここでは、ほとんどの創業者の方が利用できる2つの政府系融資制度と、その概要について解説いたします。

創業者の利用できる融資は実質2つだけ

創業者の方は、「実績がない」、「担保や保証人がない」などの理由により、通常の銀行の融資(プロパー融資)を利用できないことがほとんどです。

そのため、実質的に利用できるのは、次の2つの融資に限定されます。

● 日本政策金融公庫の創業融資
● 信用保証協会の保証付き融資(制度融資など)

これらはいずれも政府系の融資制度あり、実施する主体のどちらも国の公的機関であるため、信用力の低い創業者の方であっても、低金利・無担保無保証・長期の返済という、有利な条件で融資を利用することができます。

日本政策金融公庫の創業融資とは?

日本政策金融公庫は、株式会社日本政策金融公庫法にもとづいて設立された日本に5つある政策金融機関の一つで、中小企業や創業者、個人事業主を対象に融資業務を行っています。

とくに創業者向けの融資として代表的なものに「新規開業・スタートアップ支援資金」があります。

詳細な内容については、「公庫担当者から聞いた。「新規開業支援資金」の80%の人が知らない事実」の記事で詳しく解説していますが、主な特徴は以下とおりとなっています。

・最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)までの融資が無担保無保証で利用できる。
・創業者は、0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の金利の引下げがされる。
・設備資金は20年以内、運転資金は原則10年以内の長期返済で利用できる。
・自己資金なしで申し込みができる

自己資金がなくても申し込みが可能で、法人で申し込んだ場合には代表者の連帯保証が不要という、他の融資にはない特徴があります。

信用保証協会とは?

信用保証協会は、信用保証協会法にもづき、中小企業や創業者の円滑な資金調達を支援することを目的に設立された公的機関です。

信用保証協会はそれ自体が融資をする機関ではありませんが、事業者が金融機関から融資を受けるときに債務の保証をすることにより、融資を受けやすくする役割をしています。

なお、市区町村などの行政と金融機関、そして信用保証協会の3者が協調して融資をする仕組みを「制度融資」といい、多くの創業者や中小企業の方に利用されています。

行政(都道府県・市区町村) 上図③
創業者や中小企業者が有利な条件で融資を受けられるように、制度融資の設計・運用を行います。
信用保証協会 上図➁、④
申込みのあった融資について「保証」をするとともに、万が一、その融資の返済が不能となった場合には、本人に代わって金融機関へ未払い金を支払う「代位弁済」を行います。
金 融 機 関 上図➀
信用保証協会とともに審査を行い、「保証」がOKとなった場合に、中小企業者に対して融資を行います。

このように制度融資は、行政が主体となって作っている制度のため、創業者であっても安全かつ有利な条件で融資を受けることができる仕組みとなっています。

融資の同時申し込みって、どういうこと?

ここでは、日本政策金融公庫と信用保証協会融資(制度融資)の同時利用の方法とメリット、注意点について解説いたします。

なぜ、同時に申し込んだ方がよいのか?

2つの融資を同時に申し込んだ方がよい理由としては、次のようなことがあげられます。

1.獲得できる融資額を最大化できる

例えば、日本政策金融公庫から500万円の融資を受けた後、追加で制度融資から300万円の融資を受けようとしても、多くの場合で難しくなるといえます。

なぜなら、信用保証協会側から見れば、日本政策金融公庫から500万円の融資を受けた時点で、その会社は500万円の負債を抱えた会社と判断されるからです。

これは順番が逆の場合でも、同じことがいえます。

このように時期をずらして資金調達をする場合は、先に融資が決まってしまうと、後の金融機関からの借り入れが難しくなってしまいます。

しかし、同時に申し込んだ場合は、ほぼ同時に融資が出ることとなるため、どちらの金融機関に対しても「まだ、融資を受けていない会社」という立場で申し込みをすることができます。

2.資金調達にかかる時間が半分にできる

日本政策金融公庫や制度融資のどちらについても、申込み~融資が出るまで約1~1.5ヶ月程度の時間がかかります。

そのため、2つの金融機関の融資申込を別々に行った場合は、(1~1.5ヶ月)×2=2~3ヶ月程度の時間が必要となります。

しかし、同時に申し込むことで、融資に必要な時間は1回分で済むため、大幅な時間の短縮をすることができます。

3.基本的に同じ計画で申し込める

創業融資を申し込むときには、どちらの金融機関についても創業計画書の作成・提出が不可欠となります。

しかし、日本政策金融公庫と制度融資の創業計画書のフォーマットの中身は、かなり似ているため、一つの計画を作ればその多くの部分を他方の計画でも使うことができます。

けれど、別々に申し込みをした場合には、最低でも1~1.5ヶ月の時間が空いてしまうため、計画についても大幅な修正をしなければならなくなります。

2つの銀行に融資を申し込んでも大丈夫なのか?

この方法によるときに、皆さんが思うのが「2つの銀行に同時に申し込んでよいのか?」という疑問だと思います。

これについては、「運転資金であれば問題ない」というのが結論です。

この点については、「公庫担当者から聞いた。「新規開業支援資金」の80%の人が知らない事実」の記事に詳しく内容を紹介していますが、「融資の申し込みの内容で重複するものがなければ、基本的には問題ない。」とのことでした。

なお、ここで対象を運転資金に限定しているのは、機械や車などの購入に使う設備資金については、この方法を使うと同じ設備について重複して融資を借りることになってしまうためです。

このような方法で行った融資は条件違反として、創業者向けの金利の優遇がなくなったり、その後の融資審査に悪影響を及ぼすこととなります。

したがって、この方法は、運転資金の融資について行うということに注意してください。

お互いの金融機関に同時に申し込んだのが、ばれないのか?

この方法による申し込みをする際に「そのことがお互いの金融機関に知られてしまわないのか?」を心配する方もいますが、これについても問題ありません。

なぜなら、日本政策金融公庫と制度融資とは、別々の組織であるため、この間で情報の交換は行われていないからです。

ただし、そうはいってもまったく同時刻に融資がされるわけではないため、両方の融資の受け入口座を同じにしてしまうと、後から融資が出た金融機関には別の融資を受けていたことが知れてしまいます。

そのため、この方法を使うときには、「必ず、融資の受入口座を分ける」必要があります。

なお、制度融資については、融資の受入口座は必ずその融資の窓口となった金融機関の口座にする必要がありますが、日本政策金融公庫では、受入口座はその法人や代表者の口座であればどこでもよいこととなっています。

【同時申請の成功例】

もし、面談で他の申込みを聞かれたら?

創業融資では必ず金融機関の担当者と面談が行われますが、その際に「他に融資を申し込んでいるところはありますか?」と聞かれることがあります。

この時に素直にYESといってしまうと、他の融資の申し込み状況を細かく説明しなければならなくなるだけでなく、全体的な融資額が大きすぎる場合には、融資額の減額やお断りにつながる可能性もあります。

しかし、同時に申し込みをしているというのは、この時点はまだ、他の融資が出るかどうかは確定していないことを意味しますので、マイナス評価を受けるだけ損をすることとなります。

したがって、もし、面談でこのように聞かれた場合には、「現状では考えていませんが、今回の融資の結果によっては検討するかもしれません。」と答えればよいでしょう。

創業融資を受けにくい方

創業融資は、創業者の方であればだれでも申し込むことができるが原則です。

しかし、以下の事由に該当する方については、融資を受けることが非常に困難となりますので、もし、これらの事由がある場合には、それが解消されてから申し込むことをお勧めします。

融資が受けにくくなる事由

■ 融資の要件を満たせていない。(申込期限を過ぎているなど)
■ 過去6ヶ月~1年以内に家賃、公共料金、ローンなどの支払いに遅れがある。
■ 住民税などの税金の未払いがある(制度融資で条件となることあり)
■ これから行う事業についての経験が少ない。
■ 個人情報に問題がある。
■ 自己資金の内容に問題がある。(見せ金等)

2つの融資を同時に申込むときの注意点

2つの融資の同時申込みは、通常の融資と異なる部分があるため、以下の点ついて注意して行う必要があります。

申込みは同時または近い時期に行う。

融資の申し込みは、極力、同時に、もしくは近い時期に行うようにします。

なぜなら、もし、先に一方の融資が出てしまうとそれが「融資を受けた実績」となってしまい、同時に申し込みをするメリットがなくなってしまうからです。

前述したように、先にどちらかの融資を受けてしまうと、後から融資を受ける金融機関にとっては「すでに返済義務のある人」という扱いとなるため、まともに融資を受けるのが難しくなってしまいます。

必要な要件や書類の確認をする

日本政策金融公庫と制度融資では、融資の制度や趣旨が異なるため、当然、それぞれで決められた申し込みの要件や創業計画書に記載する内容、必要書類が異なります。

あらかじめよく確認をしておかないと、「申し込んだけど要件を満たしていなかった」や「創業計画書に記入すべき内容が違っていた」ということになってしまうため、シッカリと確認しておく必要があります。

同時に申し込むのは、運転資金だけにする

2つの融資について、同時に申し込んでよいのは「運転資金だけ」です

なぜなら、設備資金を同時に申し込んでしまうと、同じ設備について二重に融資が出ることになってしまうからです。

とくに制度融資では、設備資金として融資した額については、すぐに業者に振り込ませるところが多いため、二重に融資を受けると問題となりやすくなります。


融資成功例

日本政策金融公庫1,000万円信用保証協会付融資1,000万円
日本政策金融公庫900万円日本政策金融公庫500万円

まとめ

 創業所の方が利用できる融資は、日本政策金融公庫と信用保証協会月融資(制度融資)の2つだけとなります。

しかし、これらの融資を別々に行うと「追加の融資が出にくい」、「すべての融資の結果が出るまで時間がかかる」などの問題が生じますが、2つの融資を同時に申し込むことでこれらの問題を解消でき、運転資金を最大2倍にすることが可能となります。

ただし、この方法によるときには、実行の手順やタイミング、創業計画の作り方などについて注意する必要があるため、事前に専門家に相談してから行うことをお勧めします。

119番資金調達NETでは、融資の同時牛込みや事業計画書の作成に関するサポートの他、このブログではご紹介していないテクニックや融資で注意すべき点についても、その方の状況にあわせてアドバイスしています。
随時、初回は相談無料でご利用いただけますので、お気軽にご相談ください。

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プロフィール
融資コンサル
引地 修一

119番資金調達NETの代表引地です。
創業者・中小企業経営者の方向けに、 融資の申込みや事業計画書の作成計画・経営の改善などのサポートをしています。これらに関するご質問であればたぶん90%くらいの確率で、回答できると思いますので、お気軽にご相談ください。

【主な経歴】
・2005年Ichigo(一期)行政書士事務所を開設。
・2008 「確実に公的創業融資を引き出す本」を出版。※6刷増刷中
・2008 ドリームゲート「資金調達部門」最優秀アドバイザーを受賞
・2011 「銀行格付けアップ術」出版
・2014 「飲食開業のための公的融資獲得完全マニュアル」
・2021現在、累計相談者数2,000人を突破。

【持っている資格】
行政書士、宅地建物取引主任、事業再生アドバイザー、品川区武蔵小山創業支援センター公認アドバイザー

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