飲食業の開業融資で超えるべき5つのハードルとは?(事業経験編)

信用保証協会

開業融資と事業経験は関係あるのか?

事業経験は必要?それとも不要?

前回のブログ「飲食業の開業融資で超えるべき5つのハードル(自己資金編)」では、開業融資で超えるべきハードルの1つ目として、「自己資金の重要性」についてお話ししました。

今回は2つ目のハードルである「事業経験」や「職歴」についてご説明します。

現在、日本政策金融公庫の新創業融資制度では、申し込みの主な条件として

☆ 創業の要件
  新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
☆ 雇用創出等の要件
  「雇用の創出を伴う事業を始める方」、
  「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、
  「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」など
☆ 自己資金要件

の3つを挙げていますが、この中には何年以上の事業経験が必要という要件は含まれていません。

信用保証協会付の制度融資では、これを主宰する都道府県によりその要件は異なるので一律ではありませんが、多くの場合でやはりこのような条件はなくなってきています。

しかし、以前の新創業融資制度では、その条件の中に
「これから行おうとする事業に関する事業経験が〇年以上あること」
という明確な条件がありました。
この〇年の部分は、はじめは「7年」だったのが「5年」となり、少し前の改正でなくなりました。

では、融資の申し込みをする際に、事業経験はまったくなくともよいのでしょうか?

確かに、規定の上では〇年以上の事業経験が必要ということはなくなりましたが、それはあくまでも「規定の上では」ということです。

やはり創業融資の申し込みをする際に、「事業経験や職歴はとても重要」です。

もし、あなたが人にお金を貸す場合、その人がこれからしようとする事業についての経験がないとしたら安心してお金を貸すことができるでしょうか?

これと同じことが金融機関の審査にもいえるわけです。

事業経験はどのくらいあればよいのか?

それではどのくらいの事業経験があればよいのでしょうか?

これについても〇年以上なければならないという明確な決まりはありませんが、できれば「3年以上」の経験は欲しいところです。

また、この3年という期間についても、同じ業務のみをしていたというよりも、できればその業種に関する広く万遍な知識や経験があった方が有利といえます。

たとえば、これから飲食店の開業をする場合、ホール業務や調理のみしか経験がないとしたらどうでしょうか?

飲食店の経営は、ただ単に接客や調理ができればよいというわけではありません。

実際の業務は、仕入れや接客、メニュー開発、レジ打ちや経理、集客など多岐にわたります。なので一つだけの業務に秀でていたとしても、それだけでは経営者としては不十分といえます。

金融機関では、これらの点も含めて、「本当にこの人は経営者として向いているのかどうか?」ということを見て、慎重に審査をしています。

なので、基本となる業務に関する経験はもちろん必要ですが、できるだけ幅広い知識や経験をアピールできた方ががより有利となります。

 

事業経験がない場合はどうする?

事業経験がない場合には


これから飲食店をしようというのであれば、ある程度はそれに関する事業経験をお持ちなのが普通でしょうが、それでも「まったく経験がない」もしくは「わずかしかない」という方もいると思います。

「事業経験がない、または少ない」という中で起業するケースしては、次のようなものが考えられます。

・脱サラしてFCに参加して起業するケース
・起業する事業の一部に関する経験しかないケース
・まったく起業しようとする事業の経験がないケース

では、このような方は、起業をあきらめなければならないか?といえば、そういうわけでもありません。
ケースによっては、以下のような方法で経験を認めてもらえるられる可能性が十分にあります。

【脱サラしてFCに参加して起業するケース】

脱サラしてFCへ加盟し開業しようという方は多いと思いますが、これらの方の特徴は、その多くがまったくの未経験者であるということです。

このようなFC開業のケースで「事業経験が認めてもらえるかどうか?」は、FCの本部がどこまでしっかりとし研修を行っているかにかかっているといえます。

業務研修がある程度の期間行われ、キチンと中身のあるものであるならば、高い確率でその研修を事業経験して認めてもらうことができます。
しかし、中には、研修とは名ばかりで、数時間の座学だけで済ませてしまっているところもあり、その内容は千差万別ですが、このようなカリキュラムでは、当然、事業経験としては認めてもらいにくくなります。

また、融資では、本人だけでなくFC本部の財務内容や過去の履歴なども審査の対象となります。
したがって、「そのFCの経営内容は大丈夫なのか?」、「過大な借り入れがないか?」などにも注意してFCを選ぶ必要があります

「知らないと怖い、フランチャイズ開業の落とし穴」

 

【事業経験が少ない、もしくはまったくなく起業するケース】

このケースでは「実績がない、少ない」というデメリットを覆すのは、なかなか大変です。
しかし、まったく手がないわけではありません。

その1つ目のポイントは「他の経験との関連付け」です。

いくら事業経験がないとはいえ、これまで何の仕事もしたことがないという方は、まずいないと思います。

例えば、これまでの主な業務が経理だったとしても、その中で企画や人の採用、管理などにも多少はかかわった、もしくはその知識があるとすれば、それは事業経験といえます。なので、メインでしたことがなくても、これらの経験がある場合には、それらを経験としてアピールすることができます。

そして、2つ目のポイントが「有能なパートナーの確保」です。

いくら関連のある業務の経験があるとしても、やはりそれだけでは心もとないのは否めません。

そのような場合に強力なサポートとなるのが、「事業経験の豊富なパートナーの存在」です。

もし、自分に調理の経験がないとしても、この部分については経験の豊富な共同経営者や社員を雇って対応するということができれば、この問題はクリアーできる可能性が高くなります。

しかし、この場合にはそのパートナーの職歴なども提出する必要がありますので、しっかりした経歴の方を選ぶように注意してください。

最後のポイントは「アルバイトや派遣での経験」です。

このアルバイトやパートでの経験というのは、それ単独ではなかなか事業経験として認めてもらいにくいものがありますが、それでも先の関連付けやパートナーの採用とうまく合わせることにより不足を補う大きなポイントとなります。

事業経験が0で融資に成功したケース

これは私の以前の経験ですが、私のお客さんに派遣として某製パン会社での事務や建設会社での事務をしていた女性がいました。彼女の勤務歴はトータルでは約10年と長いものがありましたが、実際にはそれ以外の職種を経験したことがありませんでした。

そんな経験0の彼女が「飲食店を始めたい!」と言い出したのです。

普通に考えれば前職と飲食業には何の関係もありません。
また、プロとして調理をしたこともなく、知り合いの店で2週間程度だけ手伝わせてもらったという経験しかありませんでした。

しかし、以下のような対策をした結果、経営に問題がないことが認められ、日本政策金融公庫と制度融資の双方から満額の融資をうけることに成功しました。

➀ 経理や人事、企画といった以前の経験を最大限に関連付け、経営に問題がないことをアピールした。
➁ 優秀なパートナーを迎え入れることに成功した。
③ 以前の製パン会社のコネを使い、安い材料の仕入れに成功した。
④ 店舗周辺の立地や住民についての調査を行い、ターゲット層が多いことやPRの方法を考えた。

このように現在の創業融資では、事業経験の有無というのは直接には問われなくなっていますが、実際の審査では重要なウエイト占めているというのが事実です。

しかし、融資の要件に書かれていないことだからとこれを軽く見て、その結果、失敗するというケースがかなり見受けられます。これも見えないハードルの一つといってよいでしょう。

けれど、これが少ない又はないとしても、FCを利用する、パートナーを作る、アルバイトでの経験などをアピールするなどにより、事業経験のハンデを覆すことは十分可能ですので、しっかりとした対策をしておいてください。

→ 「飲食業の開業融資で超えるべき5つのハードル(売上げの根拠編)」に続く
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