119番資金調達NET主催者の引地です。
経営者であれば誰しもが「補助金・助成金をもらいたい」と考えますが、実際にこれらを受給できている方はほんのわずかです。
なぜなら、補助金・助成金の受給するには多くのハードルがあるからです。
そのため、これをよく理解せずに申し込んでも、「箸にも棒にも引っかからない」という結果になります。
そこで今回は、補助金・助成金の特徴や、受給率を上げるためには何に気をつけたらよいのかについて解説します。
現在のような不況期には「補助金をうけたい」、「助成金を利用したい」というご相談が多くなります。
しかし、これらの方からお話しを伺ってみてわかるのが、補助金や助成金に関する正確な知識をお持ちの方がかなり少ないということです。なので、相談に来られた方に具体的な説明をすると、多くの方があきらめてしまったりします。
インターネットでは、補助金や助成金は簡単にもらえるなどと語られることが多く、また、これを利用してお金儲けをするコンサルなども多いため、つい、すぐにもらえるような錯覚に陥りがちです。
けれど、本気で獲得を目指すなら、まずはじめに「補助金や助成金は簡単にもらえない」ということを理解しておく必要があります。
なにがそんなに大変なのかについては、以下の解説を読んでいただければおわかりいただけると思いますが、場合によっては、もらうことばかりではなく、あえて見送るという判断も重要となります。
なぜなら、自分にあっていないものに申し込んでも、時間と労力がムダになるだけでなく、受給ができた場合のデメリットもあるからです。
なので、この記事をお読みの方には、受給できた場合のメリットだけでなくデメリットもよく知っていただき、自分の状況にあったものにだけトライしていただければと思います。
なお、補助金と助成金の違いですが、この2つに正式な違いはありません。ただ、一般的には、助成金は主に厚生労働省が支給するもので、補助金はそれ以外というくくりで区別されることが多いようです。ですので、ここでは、このくくりを前提としてお話しをさせていただきます。
まず、補助金ですが、これは国や自治体の他、企業が支給するものとなります。
しかし、誰でもエントリーできるわけでなく、補助金は
「その主催者が目標とする事業を行うものに支給」
されるものとなっています。
それぞれの補助金が、どのような事業に対して支給されるのか(補助金の趣旨)については、募集案内のはじめに書かれているのですが、これをよく見ないで申し込まれる方が結構、多いです。なので、一見、要件にあっているように思えても、この趣旨にあっていないものは、審査の早い段階で落とされることになります。
自分がこの補助金の趣旨にあっているかどうかをシッカリと理解することが、第一関門を突破する重要なカギとなります。
その他に補助金には、
「事業をするためにかかる金額を立て替えなければならない」
という重要な特徴があります。
例えば、補助率が1/3で、補助上限額が300万円の補助金があった場合、この300万円をすべてもらうためには、300万円×3=900万円の金額を一度、自分で立て替える必要があります。
そのうえで300万円がもらえるわけです。
300万円の事業をするから300万円のお金がもらえるわけではありません。
そして、よく勘違いされるのが、補助金を先にもらえるというものです。
しかし、補助金は特定の事業をするために支給されるものですので、その支給はすべての事業が正しく行われたかを確認した上で支払われます。
つまり、「後払い」というわけです。
また、その支給の期間も、事業の終了→本当に終了しているかの確認→支給という流れになるため、3ヶ月から長いものだと6ヶ月ぐらいの時間がかかります。
なので、当面の資金繰りには利用できないということに注意が必要です。
その他の特徴としては、
「採択される率が低いものが多い」
ということがあります。
例えば、大型で人気のあるものづくり補助金については
第1次(2020.03) 全国平均60% 第2次(2020.05) 全国平均57%
第3次(2020.08) 全国平均38% 第4次(2020.012) 全国平均31%
となっています。
以前は高い採択率だったのですが、回を追うごとに低くなっていることがわかります。
これはそれだけ応募する方が増えているためなのですが、第4次分などでは31%しか採択されていません。つまり、残りの69%は落とされているというわけです。
このように補助金の場合は、せっかく時間と労力を使っても、それがムダになってしまう可能性があるといことわ覚悟しておく必要があります。
そして、最後の特徴が
「募集期間が短いものが多い」
ということです。
種類にもよりますが、補助金には募集期間が短いものが多いです。
中には実質1ヶ月程度しかないものもあります。
けれど、この期間内で趣旨にあったプランを練り、事業計画書を作らなければなりません。一般的に、金額が大きな補助金ほど、提出する資料は多くなるため、この期間内に仕上げるだけの技術や能力が必要となります。
補助金にはこのような特徴があるため、もし、これを効率的に狙うのであれば、次の点に気をつけるとよいでしょう。
➀ 自分の事業にあった趣旨の補助金を選ぶ。
➁ 自分で事業費を立て替えられるだけの、手持ちの資金にあったものを選ぶ。
③ あらかじめ募集時期を把握し、すぐに取りかかる。
④ もし、過去に採択された計画が手に入るのであれば、入手して対策を練る。
助成金は、主に厚生労働所が行う給付について用いられる名称ですが、それ以外でも一部この名称が使われるものもあります。
なお、上記でご説明したように、補助金には次のような特徴がありました。
➀ 「その主催者が目標とする事業を行う事業者」
➁ 「事業をするためにかかる金額を立て替えなければならない」
③ 「支給は後払い」
④ 「募集期間が短いものが多い」
これに対して、厚生労働省が行う助成金には次のような特徴があります。
➀ 特定の趣旨にあった事業や活動をする者に対して支給される。
➁ 人の雇用や採用に関して支給されるものが多い。
③ 要件を満たすだけでもらえるものがある。
④ 先払いでもらえるものや100%助成されるものがある。
➄ 通年で募集しているものが多い。
助成金が、特定の趣旨にあった事業や活動をする者に対して支給されるという点は補助金と同じですが、人の雇用や採用に関して支給されるものが多いという特徴があります。
また、助成金には、市村清新技術財団の「新技術開発助成」などのように先払いでもらえるものや、雇用調整助成金のように事業費等の100%が支給されるものもあり、この点が補助金と異なります。
このようにみると補助金よりも助成金の方がもらえやすいものが多いといえます。
しかし、厚生労働省の助成金で特に気をつけなければならないのが「原則、雇用保険に加入している必要がある」ということです。
企業は、一人以上の労働者を雇っている場合には、雇用保険に加入しなければなりません。しかし、中には保険料の負担を嫌って未加入となっているところもあります。
けれど、このような企業が助成金を受給するためには、その前提として雇用保険に加入して、その後も保険料を負担しなければならないということになります。
最後に注意したいのが、補助金や助成金をもらった場合の税金についてです。
補助金や助成金は一部のものを除き、原則、所得税・法人税の課税対象になりますが、物やサービスの授受ではわけではないため、消費税の対象とはなりません。
つまり、大きな金額をもらうほど、対象となる税金の支払いも大きくなるということです。補助金や助成金をもらったのはいいものの、そのせいで税金が支払えないということならないよう気をつけてください。
なお、補助金をもらった場合は、会計検査の対象となるので、もらった後の記帳の整理などもシッカリしておく必要があります。
以上のように、補助金や助成金には次のような特徴があります。
● 助成金と補助金はいずれも返還不要の給付である。
● それぞれについて支給するための趣旨があるため、応募はその趣旨に沿っていることが重要。
● 補助金は後払いだが、助成金には要件を満たすだけで給付されるものや前払いされるものもある。
● 一般的には、コンテスト形式の補助金より、助成金の方がもらいやすいものが多い。
● これらにより受給した利益は、原則、所得税や法人税の課税対象となる。
● 特に補助金については、会計監査の対象ともなる。
そのため、これらの申請をする場合には、本当にその趣旨が自分の事業にあったものなのかを考えるだけでなく、もらった後のことも考える必要があります。
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