最大800万円、年5回のチャンス。事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)とは?

最大800万円、年5回のチャンス。事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)とは? ブログ

現在、実施されている補助金や助成金には多くの種類がありますが、中には「補助限度額が少ない」、「補助率が小さい」などの理由により、使い勝手のよくないものもあります。
しかし、「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」(一般コース)は、令和7年5月から募集の始まった新しい助成金制度で、補助限度額も最大800万円と大型です。
また、通常の補助金や助成金と異なり、募集回数も年5回と多いため、短い期間で再チャレンジが可能となっています。

この記事では、事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)の概要や申請条件、注意点について解説いたします。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)の概要

ここでは、新しく創設された「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」の目的や具体的な要件等について、詳しく説明します。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の種別

「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」は、東京都中小企業振興公社が実施する中小企業を対象とした助成制度で令和7年5月に第1回目の募集が開始されました。

本助成金には、「一般コース」と「小規模事業者向けアシストコース」の2種類があり、それぞれで申請条件や補助上限額が異なります。

     一般コース 小規模事業者向けアシストコース
助成対象既存事業の「深化」、「発展」を図る取組みの事業
助成上限額800万円200万円
助成率3分の2以内 ※賃上げ条件達成の場合は最大5分の4

なお、「一般コース」と「小規模事業者向けアシストコース」は、どちらも既存事業の「深化」や「発展」を図る取組みの事業を対象とするものですが、後者は既存設備のアップグレードや導入であるのに対して、前者はそれに加えて生産性等の付加価値を生み出す取組みに重点が置かれているところに違いがあります。

申請対象者

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)の申請ができるのは、以下の方となります。

●東京都内の会社(株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、有限会社)
●東京都内の個人事業者

事業内容

ポストコロナ等における事業環境の変化の対応策として、「これまで営んできた事業の深化又は発展」に貢献する取組みについて助成されます。
「深化」や「発展」の具体例としては、以下の通りとなります。

既存事業の「深化」の例経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業自体の質を高めるための取組み
● 高性能な機器、設備の導入等による競争力強化の取組
● 既存の商品やサービス等の品質向上の取組
● 高効率機器、省エネ機器の導入等による生産性の向上の取組
既存事業の「発展」の例経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業を基に、新たな事業展開を図る取組み
● 新たな商品、サービスの開発
● 商品、サービスの新たな提供方法の導入
● その他、既存事業で得た知見等に基づく新たな取組

ただし、下記の取組みは対象外となります。
・申請者が営んできた事業内容との関連性が薄い、又は全く無い取組み
・法令改正への対応など、義務的な取組み
・単なる老朽設備の維持更新など、競争力や生産性の向上に寄与しない取組み

助成限度額と助成率

助成限度額
800万円

助成率
助成対象経費の2/3以内
※賃金引上げ計画実施の場合 中小企業者は3/4、小規模企業者は4/5以内

申請受付期間

令和7年5月2日(金)午前9時 ~ 5月14日(水)午後4時 <第1回>

助成対象経費

● 原材料・副資材費
● 機械装置・工具器具費
● 委託・外注費
● 産業財産権出願・導入費
● 規格等認証・登録費
● 設備等導入費
● システム等導入費
● 専門家指導費
● 不動産賃借料
● 販売促進費
● その他経費

ただし、一部対象とならない経費があります。
(例)
・購入品の現物や写真を確認できない経費
・既存事業に係る販売促進費
・単価が税抜価格で10万円未満の物品に係る購入経費
・対象製品のマーケティング、モニター調査、顧客ニーズ調査費用 など

今後の募集予定

今後においては、以下の募集が予定されています。

第1回      令和7年5月2日から5月14日まで
第2回(予定)  令和7年7月1日から7月14日まで
第3回(予定)  令和7年9月1日から9月12日まで
第4回(予定)  令和7年11月4日から11月14日まで
第5回(予定)  令和8年1月5日から1月14日まで
第6回(予定)  令和8年3月2日から3月13日まで

申請をする上での注意点

本助成金の申請をする際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 補助事業に関する人件費は、対象となりません。
  • 法人については、本店(実施場所が都内の場合は支店でも可)の登記が都内にあること、個人事業者については納税地が都内にあることが必要です
  • 申請受付開始日時点で下記のいずれかに該当すること
    ア 直近決算期の売上高が、「2023年の決算期以降のいずれかの決算期」と比較して減少していること
    イ 直近決算期において損失を計上していること
    ※ 直近の決算期が2024年の場合、売上高が2023年の決算期と比較して減少している、又は2024 年の決算期で損失を計上している場合などが該当
  • 暴力団関係者又は風俗関連業、ギャンブル業等でないこと
  • 同一テーマ・内容で、公社・国・都道府県・区市町村等から助成等を受けていないこと
  • 募集要領で定める他の条件に該当しないこと

まとめ

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)は、東京都中小企業振興公社が主催する中小企業向けの助成金であり、既存事業の「深化」や「発展」に資する取組みを対象とするものです。
助成限度額800万円、助成率2/3以内(最大4/5)と規模が大きく、また、応募も年5回(予定)と利用しやすい制度となっています。
ただし、「補助事業に関する人件費は、対象とならない」、「東京都内の企業が対象」などの点に注意が必要です。

119番資金調達NETでは、事業計画書の作成や資金調達全般に関するサポートの他、このブログではご紹介していないテクニックや融資で注意すべき点についても、その方の状況にあわせてアドバイスしています。
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プロフィール

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融資コンサル
引地 修一

119番資金調達NETの代表引地です。
創業者・中小企業経営者の方向けに、 融資の申込みや事業計画書の作成計画・経営の改善などのサポートをしています。これらに関するご質問であればたぶん90%くらいの確率で、回答できると思いますので、お気軽にご相談ください。

【主な経歴】
・2005年Ichigo(一期)行政書士事務所を開設。
・2008 「確実に公的創業融資を引き出す本」を出版。※6刷増刷中
・2008 ドリームゲート「資金調達部門」最優秀アドバイザーを受賞
・2011 「銀行格付けアップ術」出版
・2014 「飲食開業のための公的融資獲得完全マニュアル」
・2021現在、累計相談者数2,000人を突破。

【持っている資格】
行政書士、宅地建物取引主任、事業再生アドバイザー、品川区武蔵小山創業支援センター公認アドバイザー

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