廃業者が利用できる2つの制度

これまで日本の金融機関では、過去に入業歴のある方に対して、積極気に融資を行うと
いうことをしてきませんでした。
しかし、これでは過去の経験という貴重な財産を捨ててしまうだけでなく、新たに事業
に再度、チャレンジしたいという方の意欲の芽を摘むことになってしまいます。

そんな反省の中、廃業歴のある方についても、事業家としての再起のきっかけを与えよ
うと登
場したのが「再チャレンジ型」の融資、保証制度です。
現在この「再チャレンジ型」の融資制度には次の2種類があります。

 1) 日本政策金融公庫の「再チャレンジ支援融資」
 2) 信用保証協会の「再挑戦保証制度」

日本政策金融公庫「再チャレンジ支援融資」の概要

1.制度の要件について

日本政策金融公庫では、2009.4.2に開始された日本政策金融公庫の「再チャレンジ支援
融資」ですが、
本当のところ、その使い勝手はどうなんでしょうか? 

利用できた場合、利用できなかった場合とケースにより結果はそれぞれのようですが、
それで
もこの制度で融資を受けたという成功例が増えてきているのも事実です。

そこで119番資金調達NETでは、その成功例や日本政策金融公庫の担当者から直接に
聞き取った情報を
踏まえ、この制度についての解説をしてみたいと思います。

再チャレンジ支援融資の主な内容
【 対象者 】
     新しく事業を始める人、または事業を開始してからおおよそ7年以内で、次に挙げ
      るすべての要件に該当する方
  ① 廃業歴等を有する個人または経営者が営む法人であること

  ② 廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込みであること
  ③ 廃業の理由・事情がやむを得ないもの等であること

融資限度額】
  直接貸付 7,200万円(うち運転資金4,800万円)

【利 率】
  基準利率(2.06%) ※一定の要件を満たす人にはさらに低利が適用。

【返済期間】
  設備資金20年以内(うち据置期間2年以内)
  運転資金  7年以内(うち据置期間2年以内)

【担保・保証】
  原則、必要。

2.各要件の注意点   

制度の要件だけでは少し内容がわかりずらいので、各項目についてもう少し説明を加え
たいと思います。 

① 「廃業歴のある」こと
ここでいう「廃業」とは、破産・民事再生などの法的整理をされた方だけでなく、一般
的な資金繰りの困窮による廃業や、多額の負債により事業継続が不能となった場合など
を含みます。

② 「廃業時の負債が、新たな事業に影響を与えない程度に整理できる見込みがある」こと
これは「廃業時に負っていた負債が現在も残っている場合に、それがある程度の期間内
で整理または完済できる見込みがある」
ということを意味します。


したがって、破産や民事再生などのように、それまでの負債が全く免除、または相当程
度にまでカットされているような場合にはこの要件に該当する可能性があります。
しかし、それとは異なり、銀行からのリスケジュール支援を受けている場合や、特定調
停などによって単に債務が一時的に棚上げされ、のべ払いとなっているような場合には、
すぐの利用は難しいものと思われます。


また、この要件について、日本政策金融公庫の担当者は次のように語っています。
「 この制度を利用するにあたって、過去の事業による負債が残っているのは
仕方ない
が、現時点においてその返済について、債権者と話し合いができ
ており、そしてある程
度合理的な金額の返済が行われていて、完済のめど
が立っていることが原則となる。 」

③ 「廃業の理由・事情がやむをえないものである」こと
これは廃業に至った理由が、単なる経営上の困難ということではないこと、つまり「無
許可での営業による摘発」や「犯罪行為による摘発」などによる廃業のような違法な行
為にもとづく廃業でないことを意味します。          

④ 担保・保証人について
この制度は「無担保・無保証人」制度ではありません。
したがって、よほど借入額が少ないなどの場合でない限り、上記のいずれかを要求され
る可能性があるので、利用にあたっては事前の準備が必要です。


しかし、担保や保証人がない方にあっても「第三者保証人を不要とする融資」制度(融
資上限額4,800万円)や「新創業融資」制度(融資上限額1,000万円)の条件を満たすこ
とができる場合には、それぞれの限度内で担保や保証人なしで再チャレンジ制度を利用
できることがあります。

➄ 事業を開始してから「おおよそ7年以内」の期間を過ぎてしまっている場合
日本政策金融公庫の国民生活事業で取り扱う「再チャレンジ支援融資」制度については
事業の開始前または、事業を開始してから「おおよそ7年以内」という制約があります。


しかし、中には既に7年を経過してしまったという方もいらっしゃる場合があります。
このような方については、要件を満たせれば「新規開業資金」を利用できる場合があり
ますので、詳しくは日本政策金融公庫の担当者にご相談ください。 


3.再チャレンジ融資を利用しやすい方・しにくい方

このことから、この再チャレンジ支援融資を利用しやすい方、そうでない方について
は、次のような例を考えることができます。

【再チャレンジ支援融資を利用しやすい方】

 ◆ 破産者で免責決定を受けている方     
 ◆ 経営上の理由により、事業を廃業したが特段に負債のない方
 ◆ 廃業し負債もあるが、それが大きな金額ではなく、現在も弁済していて、
     近い将来に完済の見込みのある方。
 ◆ 廃業により負債を負ったが、民事再生手続き等により大幅な債務カットを受
    けた方、または当事者間の話し合いにより大幅な債務の放棄を受けた方

利用が難しいと思われる方

 ◆ 廃業後の負債が多額で、その返済に長期の時間がかかるような場合
 ◆ 破産宣告を受けたが何らかの理由により免責決定が受けられず、引き続き
   額の支払い義務を負っている方

 ◆ 債務の返済について、金融機関と話し合いはできているものの、実際には返
   済が行えていない方。
 ◆ 本人の事業以外の理由による負債(例えば、倒産会社の第三者保証人であっ
   たために保証協会から、本人に代わって弁済を求められている場合など)
   負っている方。

 

信用保証協会の「再挑戦保証制度」    

一方、信用保証協会でも2007.8.6から「再挑戦保証制度」の取り扱いを開始してい
ます。

この場合にも一定の要件はありますが、過去に「破産歴」や「廃業経験」があって
も、再チャレンジに必要な融資の保証を受けることができます。

再挑戦保証制度の主な内容

【 対象者 】

過去に経営状況の悪化により個人事業を廃止もしくは、経営していた会社を解散し
た経験を有する方で、次の(1)~(4)に掲げる要件を満たす方。
ただし、廃業もしくは解散の日から5年以内に申し込んだ方に限ります。

      
① 現在、事業を営んでいない個人であって、1ケ月以内に新たに個人事業を開
  する具体的な計画を有する方・・・つまり、個人事業で再開業前の方

② 現在、事業を営んでいない個人であって、2ケ月以内に新たな会社を設立し、
  当該会社が事業を開始の具体的計画を有する方・・・つまり、法人設
立前の方
③ 事業を営んでいない個人が事業を開始し、その後5年を経過していない個人
  事業主の方・・・つまり、個人事業ですでに再開業後の方
④ 事業を営んでいない個人により設立された会社であって、その設立の日以後
  年を経過していない会社

但し、いずれの場合でも、日本政策金融公庫の再チャレンジ支援融資の場合と同様、
過去に廃業した事業の負債がある場合は、その負債が整理される見通しがなければ
対象となりません。
      
【 融資の内容 】 
■ 保証限度額:1,000万円
■ 保証料:各信用保証協会所定の信用保証料が必要となります。        
■ 金 利:金融機関の所定金利による

■ 保証期間:保証期間 10年以内      
■ 担保・保証人条件:原則として法人代表者を除いて第三者保証人は不要。
  また、物的担保も不要。
■ 申込み : 金融機関を通じて申込むことになります。

この制度の利用のまとめ

この保証制度をケースごとに分けてると次のように考えられます。

① 過去の廃業時の債務がなく、再び事業を予定しているまたはすでにしている方
  このような方については特に問題なく、この制度を利用することが可能です。

② 過去の廃業時の債務をまだ負っていて、再び事業を予定している
  このような方であっても、過去の債務が過大でなく、返済の見込みがたつ場合
  にはこの制度を利用できる可能性があります。

③ 過去の廃業時の債務をまだ負っていて、再び事業をしている方
  たとえば、過去に代位弁済を受けており、信用保証協会に対して債務を負って
  いる場合であっても、再開後の事業が順調であるような場合には「求
償権消滅
  保証」を利用して過去の債務についての保証を受けると同時に、
この「再挑戦
  保証制度」または「一般保証制度」を併用することができれば、
運転資金や設
  備資金についてのニューマネーの保証を受けられる可能性があり
ます。

なお、この制度で信用保証協会が行うのはあくまでも保証であり、融資そのもので
はないのですが、信用保証協会の保証が得られた場合には金融機関はほぼ間違いな
く融資を行うので「保証を受ける」=「融資を受ける」と考えてよいかと思います。

以上のように現在では、廃業歴等のある方に対しても公的機関による融資体制が整
いつつあります。

しかし、表面的な要件が整えば必ず融資や保証が出るというわけではなく、成功の
ためにはそれなりに高いハードルがあるものと思われます。

しかし、一見、利用が難しいようなケースによっては融資がでる場合もありますの
で、もし、気になる方は一度ご相談ください。

 

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