飲食業の開業融資で超えるべき5つのハードルとは?(売上げの根拠編)

信用保証協会

事業計画書でいちばん大事なものとは?

事業計画書の良し悪しは「売り上げの根拠」で決まる!


事業計画書を作るうえでいちばん重要なものとは何だと思いますか?

「創業に書ける熱意でしょうか?」
「感動的なストーリーでしょうか?」
それとも「見やすい文書や構成力でしょうか?」

確かにこれらも計画を作る上では必要なものでありますが、金融機関が融資をするうえで最も注視している箇所それは「売上げの根拠」です。「

「希望額100%を達成する事業計画書の作り方」の記事で、
・ 十分な借入れをするためにはそれに見合った返済力が必要
・ そのた
めには融資の返済額を上回る償却前利益(キャッシュフロー)を捻出する
ことが重要だという
ことをご説明しました。

 償却前利益(キャッシュフロー)

  
税引き後利益+減価償却額) > 融資の返済額

しかし、いきなり利益が生まれるわけではなく、そのためには元となる「売上げ」が必要となります。

けれど、なんでもかんでも、ただ売上げを書けばよいというものではありません。
もちろんそこには、その売上げをあげるだけの根拠が必要です。

以前、私も融資係にいたときによくあった話なのですが、「これだけの融資を受けたいのなら、それに見合うだけの売り上げの根拠を教えてください」と何度も口を酸っぱくして言っていました。

このことは、担保も保証もさらに実績もない創業融資の場合では、なおさら重視されます。。

つまり金融機関から認めてもらえるかどうかのキモは「十分な返済ができる売上げをどうやって作るのか?」という部分にいかに説得力があるかであり、その内容がシッカリしているほど満額融資の可能性は高くなります。

 

売上げの計算の方法について

売上げを計算する場合に、同じ方法でこれを計算することはできません。
なぜなら、事業の種類ごとに売上げの計算の方法は異なるからです。
なので、その業種にあった方法で計算する必要があるわけです。
一般的な業種別の売上げ算定の方法しては、以下のものがあります。
サービス業関連業種(飲食店営業、理・美容業など)
客単価  × 席 数 × 回転数
◆ 労働集約的な業種(自動車販売業、機械修理業、接客業業など)
従業者1人当たりの売上高  × 従業者数
販売業で店舗販売のウェイトが大きい業種(本屋、コンビニなど)
1㎡(または1坪)当たりの売上高  × 売場面積
設備の生産能力による業種(製造業、印刷業など)
設備の生産能力  × 設備数

すべての事業がこのいずれかに該当するわけではありませんが、基本的にはこの中のどれか、またはいずれかを複合したものとなります。

 

もう一歩、上の売り上げ根拠の書き方

飲食店の場合の売り上げの根拠について

たとえば、飲食店のケースで先の算式を使って売上げを計算した場合には、次の式のようになります。

 客単価 (2,500円) × 席 数(15席) × 回転数(2回転) = 75,000円

しかし、本当にこの予測は正しいといえるのでしょうか?

飲食店であればランチ営業をするところが多いですが、その場合には当然、昼と夜では客単価や回転数は異なります。また、席についても常にすべてが埋まるわけではありません。

たとえば4人掛けのテーブルの場合、2人もしくは3人が座れば、他のお客をさらに
詰め込むということは普通しないですよね?
となると、常に満席を前提で計算するのはおかしいということになりますので、実態に合わせた補正をする必要があります。

さらに、飲食店に限らずたいていの業種では、一年間を通じて客が入りやすい時期とそう出ない時期があります。いわゆる「繁閑期」というやつです。にもかかわらず、これを無視して客数を考えるのも、やはり正確な予測ではないということになります。

したがって、もしこれらを考慮考して売り上げの予測をするならば、次のようなものとなるはずです。

正しい補正をした場合の売り上げの予測

【通常期】(下記以外  繁閑期補正率 1.00
<ランチタイム>
客単価 (1,000円)×席数(15席)×席補正率(0.75)×回転数(1.6回転)×繁閑期補正率(1.00)=18,000円
<ディナータイム>
客単価 (2,500円)×席数(15席)×席補正率(0.75)×回転数(1.2回転)×繁閑期補正率(1.00)=33,750円
閑散期】(1、2、6月  繁閑期補正率 0.80)  
<ランチタイム>
 客単価 (1,000円)×席数(15席)×補正率(0.75)×回転数(1.6回転)×繁閑期補正率(0.80)=14,400円
<ディナータイム>
 客単価 (2,500円)×席数(15席)×補正率(0.65)×回転数(1.2回転)×繁閑期補正率(0.80)=27,000円
【繁忙期】(11、12月    繁閑期補正率 1.25
<ランチタイム>
 客単価 (1,000円)×席数(15席)×補正率(0.75)×回転数(1.6回転)×繁閑期補正率(1.25)=22,500円
<ディナータイム>
 客単価 (2,500円)×席数(15席)×補正率(0.65)×回転数(1.2回転)×繁閑期補正率(1.25)=42,187円

客単価の根拠の考え方

さらに客単価についても、次のような方法による算定が考えられるはずです。

➀ 同規模、同程度の他店の平均額を参考にする方法
➁ 自店の客層やメニュー金額から積み上げて算定する方法

①については妥当な店舗があればそれにを採用することが可能ですが、通常はこのようなデータは公開されていないため、その中身はかなりカンに頼ったものとなってしまいます。

一方、➁の場合には、来客する客の年齢、性別などはある程度、想定できるはずですので、これにメニューの単価を組み合わせれば、かなり説得力のあるものとなります。

例 メイン客 30~40歳のサラリーマンの場合
 メニュー お通300円 ビール・サワー500円  低価格料理300円  通常価格料理600
 お通300円 + ビールorサワー500円×2杯 + 低価格料理300円×2品 + 通常価格料理600×1品
 = 2,500円/人

実際の売り上げがこの通りになるかどうかはわかりませんが、売上げ予測の根拠としては単純に2,500円/人とするよりも、よほど説得力のある数字とすることができます。

金融機関を黙らせる奥の手とは?

ここまでの説明で
「とりあえず、売り上げに根拠が必要なのは分かった!
 でも、その売上げをあげる方法はどうする?」
と思った方も多いでしょう。

確かに補正率の導入などは考え方としてはよいのですが、そもそも売上げを作る方法、つまり「集客」をどうするのかという問題が残っています。

結局集客ができなければ、売り上げもなにもありませんからね。

この時に必要となるのが「集客のプラン」です。

集客方法にはチラシ配布、ネット広告、タウン誌への掲載などの方法がありますが、利用するそれぞれのものについて売り上げの予測をします。

集客計算の例

<チラシ配布のケース>
配布予定枚数 10,000枚  一般的な反応率 1% 一般的な集客率 反応数の30%
予想される集客数 10,000×0.01×0.3=30件

<ネット広告のケース>
予想表示回数 20,000回  クリック見込み率 0.5% 一般的な集客率 クリック数の20%
予想される集客数 20,000×0.005×0.3=20件

集客については、上記のように一般的とされる数値を使って説明をすると信頼性のあるデータとすることができるので、これらを積み上げて集客数の根拠とします。

とはいえ、突き詰めて考えればこのような集客も計算通りにできるという保証はどこにもありません。ひょっするとお金と時間をかけたのに、「効果0」いうこともあるかもしれません。

しかし、金融機関にとって必要なのは「論理的な説明」なのです。
創業者に今の時点で「結果を見せろ!」というのがムチャ振りなのは金融機関でもわかっていることです。ですが、当然、いい加減な計画にお金を貸すわけにもいきません。

そこで信じるに足るものが「事業計画書の内容」=「信頼するに足りる根拠」となるわけです。

よくある事業計画書では、売り上げの見込みや補正の考えを入れたものはよくありますが、集客にまで踏み込んで根拠を示したものというのはほとんどありません。
つまり、そこまですれば非常に強いアドバンテージとなるわけです。

創業融資の資金調達で希望額の獲得を望むなら、ぜひとも押さえておきたいポイントです。

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