飲食業で開業融資を申し込む前の5つのハードル(売上げの根拠編)

創業者向け一般コンテンツ

事業計画書でいちばん大事なもの

事業計画書を作るうえでいちばん重要なものとは何だと思いますか?

「創業に書ける熱意でしょうか?」
「感動的なストーリーでしょうか?」
それとも「見やすい文書や構成力でしょうか?」

確かにこれらも計画を作る上では欠かせないものでありますが、金融機関が最も注視して
いる箇所
それは「売上げの根拠」です。

以前のブログで、十分な借入れをするためにはそれに見合った返済力が必要ということと、
そのた
めには次の式で融資の返済額を上回る償却前利益(キャッシュフロー)を捻出する
ことが重要だという
ことをご説明しました。

   税引き後利益+減価償却額) > 融資の返済額
      ※償却前利益(キャッシュフロー)

しかし、いきなり利益が生まれるわけではなく、そのためにはその源泉となる売上げが必
要となります。

したがって、金融機関に認めてもらえる計画とするためには「返済ができるだけの売上げ
をどうやって作るのか?」ということが事業計画に明確・客観的に書かれていることが

要であり、これがいい加減な計画は「絵に描いた餅」でしかないという
ことになります。

 

売上げの計算の方法について

事業の種類ごとに売上げの計算の方法は異なるため、その業種にあった方法でこれを算定
する必要があります。
一般的な業種別の売上げ算定の方法しては、以下のものがあります。

(1)サービス業関連業種(飲食店営業、理・美容業など)

    客単価  × 席 数 × 回転数

(2)労働集約的な業種(自動車販売業、機械修理業、接客業業など)

    従業者1人当たりの売上高  × 従業者数

(3)販売業で店舗販売のウェイトが大きい業種(本屋、コンビニなど)

    1㎡(または1坪)当たりの売上高  × 売場面積

(4)設備の生産能力による業種(製造業、印刷業など)

    設備の生産能力  × 設備数

すべての事業がこのいずれかに該当するわけではありませんが、基本的にはこの中のど
れか、またはいずれかを複合したものとなります。

 

もう一歩上の売り上げ予測の方法について

飲食店などの場合の売り上げの根拠について

たとえば、飲食店のケースで先の算式を使って売上げを計算した場合、次のようになり
ます。

 客単価 (2,500円) × 席 数(15席) × 回転数(2回転) = 75,000円

しかし、本当にこの予測は正しいといえるのでしょうか?

飲食店であればランチ営業をするのが普通ですが、その場合には当然、昼と夜では客単
価や回転数は異なることになります。

また、席数についてもすべての席が常に埋まるということは、あり得ません。
たとえば4人掛けのテーブルの場合、2人もしくは3人が座っただけで、それ以上の人数
を同じ席に詰め込むということはしないのが普通です。(いわゆる「相席」)

となると、常に満席になるという前提で計算することはおかしいということになります
ので、実態に合わせた補正をする必要があります。

さらに、飲食店に限らずたいていの業種では、一年間を通じて客が入りやすい時期とそ
う出ない時期があります。(いわゆる「繁閑期」)
にもかかわらず、これを無視して客数を考えるのでは、やはり正確な予測はできないと
いうことになります。

したがって、もしこれらを考えたうえで売り上げの予測を作るとすれば、次のようなも
のとする必要があります。

(通常期)
〇ランチタイム
 客単価 (1,000円)×席数(15席)×補正率(0.75)×回転数(1.6回転)=18,000円/日
〇ディナータイム
 客単価 (2,500円)×席数(15席)×補正率(0.65)×回転数(1.2回転)=29,250円/日

(繁忙期-4、11、12月) 繁閑期補正率 1.3

(閑散期-1、2、6月)  繁閑期補正率 0.75 ※上記の式にさらにこれを掛ける

客単価の根拠の考え方

さらに客単価についても、次のような方法による算定が考えられます。
➀ 同規模、同程度の他店の平均額を参考にする方法
➁ 自店の客層やメニュー金額から積み上げて算定する方法

①については妥当な店舗があればそれにを採用することが可能ですが、通常はこのようなデ
ータは公開されていないため、その中身はかなりカンに頼ったものとなってしまいます。

一方、➁の場合には、来客する客の年齢、性別、職種などは事業計画書を作る前段階である
程度は想定できているはずですので、これにメニューの単価を組み合わせれば、かなり説得
のあるものとなります。

例 メイン客 20~40歳のサラリーマンの場合
 メニュー お通300円 ビール・サワー500円  低価格料理300円  通常価格料理600
 お通300円 + ビールorサワー500円×2杯 + 低価格料理300円×2品 + 通常価格料理600×1品
 = 2,500円/人

実際の売り上げがこの通りになるかどうかはわかりませんが、売上げ予測の根拠としては
単純に2,500円/人とするよりも、よほど説得力のある数字となります。

その他の業種における売り上げ予測について

以上は、来店客をベースとしたサービス業関連業種に関するものですが、これが設備の生
産能力を基盤とした業種や特定の取引先を相手にするような職業の場合にはそのまま適用
するとはできません。

このような場合に有力な根拠となるのが「売り上げのエビデンス」です。

どういうものがこの「売り上げのエビデンス」にあたるかといえば、契約書や見積書など
これに該当します。
また、具体的な数量や金額は書かれていないとしても、今後の発注の元となる「業務基本
契約
書」なども、エビデンスとすることができます。

しかし、開業前でこれらをあらかじめ入手するのは困難な場合が多いと思います。

したがってそのような場合には、以前に名刺交換をした人の数や、ポスティング、DMを
送っ
た場合の一般的な成約率から予想される顧客の数を使って想定するという方法なども
根拠づけとして
は有効な方法となります。

以上のように今後に予測される売上げを考える場合、単に一般的な算式を使うよりもより
リアルな実態を想定して作った根拠の方がはるかに説得力があるとともに、事業計画書を
みる金融機関の人間に強く訴えることができることになります。

→ 「創業融資申し込み前の5つのハードル(税金やローン等の支払いの履歴編)」に続く


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