疑問解決!
新会社法 F A Q辞典
株式会社関連
【 株式譲渡制限会社とは? 】
新法では、株式譲渡制限会社であるかないかにより、機関設計等につき、大きな違いが
生じます。
今回の法改正によれば、株式譲渡制限会社とは
① 全ての株式の譲渡について
② 会社の承認を必要とする旨の定めを
③ 定款に規定している株式会社
のことをいいます。
注意点として
・「全て」の株式の譲渡について制限をしていることが必要で、「一部」の株式のみ
について制限している場合は含まれません。
・「会社の承認」とは、原則、「取締役会の承認」を指しますが、定款に特別に定め
ることにより「株主総会の承認」とすることもできます。
株式譲渡制限会社になれば、株式会社でありながら有限会社のような簡易な規制を選択
することが可能となります。
【 「取締役会を置かない会社」では、総会手続きが簡単になるというのは本当ですか? 】
これまでの株式会社においては、取締役会は必須の機関でしたが、新会社法によれば
株式譲渡制限会社ではこの設置は任意となりました。
「取締役会を置かない株式会社」においては、総会での決議事項が拡大されるととも
に、手続きが簡単に行なえるようになります。
また、これにより、これまで取締役会で決議していた事項も、株主総会で決議するこ
とが可能となります。
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取締役会なし
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取締役会あり
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株主総会の決議事項
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会社の組織、運営、管理その他一切の事項
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法定の事項 および
定款で定めた事項
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譲渡制限株式の譲渡承認
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株主総会で承認
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取締役会で承認
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取締役の競業 ・
利益相反取引の承認
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株主総会で承認
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取締役会で承認
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| 招集通知手続き |
1週間前までに通知
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2週間前までに通知
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口頭でも可能
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書面または電磁的方法による通知
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【 取締役や監査役の任期は、どのように変更されますか? 】
これまで株式会社の役員の任期については、取締役2年、監査役4年とされていた
ましたが、
今回の改正により、株式譲渡制限会社では、それぞれの任期を定款で定めることに
よって、最大10年まで延長することが可能
となりました。
これにより、役員変更のコストを最大1/5まで減らすことができます。
※ 「株式譲渡制限会社以外の会社」または「株式譲渡制限会社であっても任期
に関する特別の定めをしない会社」については、従来どおり2年ごとの役員
変更が必要となります。
(その他取締役に関する制度の変更点)
・ 取締役の解任要件が、これまでの株主総会の「特別決議」から「普通決議」へ
緩和。
・ 全ての株式会社において、破産して復権を得ない場合でも取締役になれる。
また、株式譲渡制限会社では定款で取締役の資格を株主に限定することが可能
となった。
・ 共同代表の登記制度が廃止され、取締役が複数いる場合には各自が代表権を有
することとなった。(共同代表の登記は抹消される)
(その他監査役に関する制度の変更点)
・改正法では、監査役は原則として「会計監査権限」と「業務監査権限」の両方を
持つことになります。
但し、新法施行時において、現行商法上の小会社に該当する会社は「会計監査権限」
のみを持つ ものとされるので、この場合にはこれまでと同じ扱いとなります。
「現行商法上の小会社」 資本額が1億円以下かつ負債総額200億円未満の会社
【 役員の責任についての変更点を教えてください。 】
従来、役員が業務を執行するにあたり生じた責任については、役員に過失がなくと
も責任を負うこととされていました。(無過失責任)
今回の改正により、次にあげる行為については「過失責任制度」となり、さらに一
定の場合には責任範囲の制限や免除をすることができるようになりました。
・ 違法配当
・ 利益供与(総会屋への金銭の供与など)
・ 利益相反取引(原則として、取締役会の承認が必要)
これにより、役員が業務の執行に過失がなかったことを証明すれば、賠償責任を免
れることができるようになります。
但し、次の取引については、取締役はなお無過失責任を負います。
・ 自己のため直接利益相反取引をした場合
・ 株主の権利に関して利益供与をした場合
・ 法令、定款違反
【 取締役会決議の方法が簡単になるそうですが・・・ 】
これまで取締役会の決議は、書面によることは認められませんでした。
改正後は、
・ 「定款でその旨を定めること」により
・ 「議決に加わることの出来る取締役の全員の同意」があれば
(但し、業務を監査する監査役がいる場合には、その監査役から異議がなされ
ないことが条件)
書面による持ち回りやメールによる決議が出来るようになります。
これにより、招集コストや開催コストを大幅に削減することができます。
【 株式の譲渡の柔軟化とは何ですか? 】
これまでは株式の譲渡につき制限(株式譲渡制限)を設ける場合は、全ての株式につ
いてこれを行なうことが必要でした。
これが今回の改正により、定款に定めることにより、以下のような設定をすることが
できることとなりました。
譲渡を承認する機関は、取締役会を置いていない会社の場合には株主総会が、これを
置いている場合には取締役会となります。
① 株主間の譲渡については承諾を要さないとすること。
② 特定の身分(従業員等)に対する譲渡については、承諾を要さないとすること。
③ 譲渡を承諾しない場合の先買権者を予め定めておくこと。
④ 取締役会を選択する会社においては、承認期間を株主総会とすること。
⑤ 複数の種類の株式を発行している場合に、そのうちの一部の種類の株式につい
てのみ譲渡を承認すること。
これにより、議決権の株式にのみ譲渡制限を行い、議決権を制限した株式には、譲渡
制限を行なわないなどの設計も出来ることとなりました。
【 株式の分散の防止が出来るようになるって本当ですか? 】
これまでは株式について譲渡制限を設けた場合でも、「相続」と「合併」による移転
は例外とされていたため、これらの事由により好ましくない者へ株式が分散すること
は防止できませんでした。
今回の改正では、
「相続や」や「合併」で移転した条と制限株式について、定款で定めることにより、
これを譲り受けた者に対して「売渡し請求」を行なうことが可能となった
ため、会社の経営を安定させることが出来るようになりました。
【 株式譲渡制限の発行規制がなくなるとは、どういうことですか? 】
これまで株式会社においては議決権の行使について制限を設ける「議決権制限株式」
の発行が認められていましたが、その総数は発行済株式総数の1/2までとする制限が
ありました。
今回の改正では、この制限が撤廃され、例えば、事業承継者以外に相続される株式に
ついては、議決権制限株式とすることにより、経営の安定を図ることが出来るように
なります。
なお、このような議決権を制限する株式は「種類株式」の一つとされ、一定の場合に
は種類株式を有する株主による総会決議が必要となりますが、但し、予め定款で定め
ることにより、このような場合にも種類株主総会の議決を不要とすることができます。
【 株式ごとに議決権や配当を異にすることができるようになるのですか?】
これまで株式会社においては、出資額に応じた議決権の行使や配当を行なうこととさ
れていましたが、改正により株式譲渡制限会社においては、株主総会の特殊決議をす
ることにより、議決権や配当について次のような異なる取扱いをすることができるよ
うになりました。
① 議決権の行使について、株式の数によるのではなく、一人一議決権とする。
② 一定数以上の株式を有する株主については、議決権を制限する。
③ 配当や残余財産の分配について、株式の数によらずに株主の頭割とする。
【 事業承継に役立つ改正法の活用法を教えてください。】
経営者に相続人が3人いるがその1人のみが事業を承継する場合には、
相 続 人 A(後継者)
経営者 相 続 人 B(非後継者)
相 続 人 C(非後継者)
( 従 来 )
・民法の規定に従いB・C・Dに均等に相続すると株式が分散化され、後継者A
の立場と経営が不安定になる。
・これを防ぐためには、B・Cに相続分に応じただけの株式以外の財産を相続さ
せることが必要となり、そのため多額の現金やその他の資産が必要となる。
( 新法による対策 )
新法の施行後は、株式譲渡制限会社では、以下のような対応が可能となるので、
経営を安定させることが出来ます。
【相続人への売渡し請求】
・B・Cに対し、相続により取得した株式について売り渡しの請求ができる。
【議決権制限株式の活用】
・相続に先立ち、B・Cへ相続される株式を議決権制限株式に変更しておく。
【株主ごとの議決権の異なる取扱いの活用】
・B・Cへ相続される株式について、定款で定めることにより議決権を制限する。
【 株券は発行しなくても良くなるのですか?】
(新法施行後に設立する会社)
このような会社では、定款に「株券を発行する」旨の規定をおかない限り、株券発行の必
要がなくなります。
また、定款に「株券を発行する」旨の規定を置いた場合でも、株式譲渡制限会社で
は株主の請求がない限り、株券を発行しないことができます。
(新法施行前からある会社)
既存の会社で、「株券を発行しない旨」を定款で定めていない会社は、経過措置によって
自動的に「株券を発行する旨」の定款の定めをしているものとみなされることから、これが
株券不発行の会社となるためには、定款の変更をする必要があります。
新法施行により、当然に株券不発行の会社となるわけではありません。
株券の不発行会社となることにより、株券発行・管理のコストが削減されます。
【 株式会社以外の会社でも社債の発行ができますか?】
これまでは社債の発行は株式会社についてのみ認められていましたが、
今度の改正により、株式会社以外のすべての会社(有限・合名・合資・合同会社)
についても、社債の発行が出来るようになりました。
これにより、全ての会社で少人数私募債による資金調達が可能となります。
【 会計参与とはどんなものですか?】
これまで会社の業務・財務については、原則として監査役がその任にあたって来ま
したが、会計の専門的な知識が不足することが多かったことから、中小企業におい
ては財務面での監査が不十分な状況にありました。
会計参与とは,株式会社につき新たに設けられる機関(役員)であり,公認会計士
又は税理士の資格を持つ者のみがなることができ、取締役と共同して計算書類を作
成すること等をその職務とします。
これにより、対外的な財務面での信用が増し、金融機関等からの資金調達が容易に
なることが期待されています。
会計参与の設置は全くの任意ですが、これを置く場合にはその旨の登記が必要です。
また、現在、顧問となっている税理士を会計参与とすることも可能です。
【 利益の配当は、いつでも出来るようになるのですか?】
これまで利益の配当は、通常配当と中間配当の年2回に限られていましたが、
分配可能額の範囲内で行なう限り、株主総会の決議により「いつでも」、「何回で
も」、さらには「現物での配当」も可能となりました。
但し、純資産額(貸借対照表の「資本の部」の合計額)が300万円未満の場合には、
剰余金があっても分配することはできません。
また、分配可能額について一定の制限があります。
【 新法施行後も、まだ、決算公告は必要ですか?】
新法の施行後は、特例有限会社を除く全ての会社で、決算公告が義務付けられます。
公告の方法は、次のいずれかとなります。
・官報または日刊紙による場合 貸借対照表の要旨
・インターネットによる場合 貸借対照表のすべて(5年間継続公開)
株式譲渡制限会社であっても、決算公告は必要となります。
有限会社関連
【 改正後の有限会社の主な改正点を教えてください】
有限会社は、改正法の施行と同時に新たに設立することができなくなります。
また、現在の有限会社は「特例有限会社」(新法上では、株式会社として位置づけられ
る)として、存続することになります。
「特例有限会社」となるためには何らの手続き(定款変更や登記手続き)も必要
なく、存続期間についても制限はありません。商号も引き続き使用できます。
また、いつでも株式会社へ移行することが可能です。
【 「現在の有限会社」と「特例有限会社」とでは、どう違うのですか?】
「現在の有限会社」と「「特例有限会社」とでは、新法施行後も基本的に大きく
相違することはありませんが、以下の3点が変わります。
① 最低資本金の制限の撤廃(1円での設立が可能)
② 50名までの社員の員数制限の廃止(社員数を50名以上とすることが可能)
③ 「出資・出資口数」は「株式・株式持分」へ読み替え(これにより、新株
予約権や社債の発行が可能となる)
【 有限会社から株式会社へ移行するには、どんな手続きが必要ですか?】
新法の施行に伴い「有限会社」から「株式会社」へ移行するためには、以下の手続
きが必要となります。
① 商号を株式会社へ変更するための株主総会手続き
② 特例有限会社についての解散の登記手続き(免許税:3万円)
③ 株式会社の設立の登記(免許税:資本金額の1000分の1.5 最低額3万円)
【 有限会社のままであることによる「特例有限会社」のメリット】
① 取締役・監査役の任期に制限がない。
② 決算の公告義務がない。
③ 従来の商号をそのまま使用することができ、変更のコストがかからない。
設立手続き関連
【 設立手続きの簡素化 】
今回の改正により、会社の設立手続きが以下のように簡素化されます。
① 最低資本金の撤廃
株式1,000万円、有限300万円の最低資本金制度がなくなり、1円からでも会社
を設立することができます。
② 類似商号規制の廃止
これまで設立登記の際に必要だった類似商号調査が不要となり、また、登記の
「目的」の記載についても柔軟な表現が認められます。
但し、「不正目的での商号の使用」や「同一住所での同一商号の登記」などは
禁じられます。
③ 払込保管証明制度の一部廃止
発起設立手続きにより会社を設立する場合に限り、払込金保管証明書の添付
が不要となり、残高証明書で足りることとなります。
また、一度振り込めば設立登記前でも払込金の引き出しが可能となりました。
【 確認会社の取扱いについて 】
これまで「確認会社」については、経済産業大臣への定期的な報告義務や、5年以内に
最低資本金に達するまで増資をすることが条件とされていました。
しかし、今回の改正により、本特例も廃止され、上記の義務もなくなりました。
但し、新法施行後に「設立から5年以内に資本金を1000万円(または300万円)ま
で増資できなかった場合は解散する」旨の定めを削除し、この登記することが必要
となります。
【 見物出資・事後設立の簡素化 】
これまでは会社の設立の際に現物出資を行う場合には、
「財産総額が資本金の1/5でかつ500万円以下」の場合に検査役の調査が不要
とされていましたが、今回の改正により、この要件が
「財産総額が500万円以下」
と緩和されました。
また、これと共に、設立時の事後設立の際に必要とされていた検査役の調査も不要
となりました。
LLC関連
【 合同会社(日本版LLC)について 】
新法の施行に伴い、合同会社という新たな会社組織が認められます。
この主な特徴としては以下の通りです。
① 有限責任性
社員は出資額の限度でのみ責任を負います。
② 内部自治原則
取締役や監査役の設置を必要としません。
また、利益の配分を出資金額の比率に比例させずに決定することができます。
③ 社員数
社員が1名のみの合同会社の設立が認められます。
④ 意思決定
社員の入社、持分の譲渡、設立後の定款変更などは原則、社員全員の同意に
よります。
⑤ 業務執行内部
原則として各社員が業務執行権を有しますが、定款で定めることにより一部
の社員のみを業務執行社員とすることもできます。
⑥ 決算書の作成
決算書の作成が必要となります。
【 合同会社(日本版LLC)について 】
LLPは有限責任事業組合といい2005年8月からその設立が既に認められています。
LLCとの共通点としては「有限責任制」と「内部自治原則」の2点となります。
相違点は、LLPは「法人格を有さない」ということと、「課税は事業体に対して
ではなく直接構成員に対してなされる」ということにあります。
なお、LLPは法人格を有さないことから、LLPから株式会社への組織変更はで
きません。 (LLC→株式会社は可能)
参照資料 : 中小企業庁「よくわかる中小企業のための新会社法33問33答」
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