新創業融資の基礎

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」のたとえにもあるように、融資を成功させる
ためには、まず何よりも融資制度そのものをよく理解することが欠かせません。


その上で、これから申し込もうとする制度の要件をよく調べもし疑問があれば、
「あらかじめ、これをつぶしておく」
という作業をすれば、これだけでも融資成功の確率を大きく高めることができます。

とはいえ、はじめて融資に挑戦する人にとっては「どこがポイントなの?」、「要件に書かれたことの意味は?」などと戸惑う部分も多いと思います。 

そこでここでは、融資申込みの基礎編として「新創業融資」の条件のうち、特に注意を
すべき点について解説いたします。

 

1.自己資金が足りているかの確認

「自己資金の要件」とは

日本政策金融公庫の「新創業融資」では、以下に掲げる者については
「 事業全体にかかる経費の 1/10
以上の自己資金を持っていること 」
というのが、融資の申し込みの条件となります。

対 象 者
・ 開業後に第1回目の税務申告が、まだ済んでいない方
・ 開業前の方

これがいわゆる「自己資金の要件」といわれるものです。
したがって、この要件を満たせない場合には、原則として、融資を受けることはできま
せん。

しかし、
・ 「1期目の申告を過ぎた方」
・ 「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」
・ 「認知特定創業支援事業を受けて事業を始める方」等
一定の要件に該当する方については、自己資金がなくとも申し込むことができます。

 

「 事業全体にかかる経費の 1/10 以上」の意味

ここでいう「 事業全体にかかる経費の 1/10 以上」というのは、自分が希望する融資額
の1/10以上の自己資金があればよいということではなく、「これから行う事業の全部に
ついてかかる経費の1/10以上」ということを意味します。

したがってもし、あなたが総額で1,000万円の経費のかかる事業をしようとした場合
最低必要な自己資金は      900万円 × 1/10  = 100万円

融資を受けられる上限は     900万円 × 9/10  = 900万円
ということになります。

しかし、ここで仮にあなたの自己資金が50万円しかないのであれば、融資を受けること
のできる上限は、自己
資金の9倍となりますので 50万円 × 9倍 = 450万円

ということになり、このケースでは 450万円(最大融資額) ∔ 50万円 = 500万円
の事業しかできないことになります。

ただし、これはあくまでも最大限の融資が出た場合のことですが、実際にはこのような
自己資金の9倍もの融資
が認められるのはまれです。一般的に認められやすい融資の上
限額としては「自己資金の3~4倍程度」までとなっていますので、あまり欲張らず
に計
画を組み立てたほうが融資を確実なものとすることができます。

また、自己資金の計算をする場合には、自分の自己資金も事業経費に加えて計算します。
例えば、自己資金が100万円、融資の申込額が400万円であるならば、この場合の事業
全体に必要となる費用は計500万円となります。自己資金は使わずに、融資額だけで事
業をするということは許されません。

 

2. 事業の経験の有無の確認

「新創業融資」では、「これまでに、これから行う事業をした経験が十分にあるかどう
か?」ということが、
審査のうえで重視されます。
これは過去に経験したことのあるこ
とならば、失敗も少ないだろうということです。

この経験は、できれば正社員としてのものが望ましいのですが、アルバイトやパートと
して勤務したことがあ
る場合はそれでも結構ですので、ぜひとも事業計画にご記入くだ
さい。
また、FCで行うトレーニングもしっかりとしたものであれば、事業経験として
認めてもらいやすい傾向にあります。

なお、この場合の経歴の記入の仕方ですが、ただ単に「○年○月総務を担当」などと書
くのではなく、

○年○月 ○○○株式会社総務部に勤務 この中で財務や会計に関する知識の他、
 会社の運営に必要となる面接や採用に関する技術と経験を習得しました。』

などのように、「その職場で具体的にどんなことを行い、どのような知識や経験を得た
のか?」といった具体的な
内容を記入するようにします。

また、勤務期間中に昇進や賞の受賞などがあった場合には、これらについても忘れずに
記入するようにします。

過去に事業に関する経験が何もないという場合には、審査もそれだけ厳しいものとなっ
てしますので、どんな経験であっ
てもできるだけこれから行う事業に役立つような形で
記載するように心がけてください。

事業経歴の記載の例

平成○年○月 ○○調理師専門学校洋食科卒業
平成○年○月 フレンチレストラン○○入社 調理業務とホールでの接客業を担当。
       
2年めより調理の副主任を担当。3年目より主任に昇格し仕入れも担当。

平成○年○月 株式会社○○へ入社。店長として店舗全体の統括業務に従事。
       具体的には「メニュー開発、FL率の管理、発注業務、シフト作成、
パートの管理、仕入れ管理」といった
飲食店の運営に必要な経営ノウ
ハウを習得した。 など

 

3. 申込期限についての確認

「新創業融資」は、「開業前」または「開業後、税務申告を2期終えていない方」が
対象となります。
したがって、この期限を少しでも過ぎてしまっている場合は、この
融資への申込みができなくなってしまう
で注意が必要です。

そして、この制度を利用するときに特に気をつけていただきたいのが、この申し込み
のできる期限は
「開業後2期を過ぎるまで」であって「2年」ではない
という
ことです。

これについては、それぞれでどのような違いがあるかというとたとえば、仮に3月決
算の会社があったとします。
この会社の設立が2015.12.01だとした場合、4ケ月後の
2016.03.31には1期目を終え、2016.04.01には第
2期を迎えることとなります。

よって、この会社では2期目が終了する2017.03.31までしか、この融資制度を使えま
せん。これは実質的には1年4ケ月の利用期間しかないということを意味します。
これに対して、個人事業の方である場合は何月に開業したとしても、決算日はすべて
一律でその年の12/31となる
ため、この時に1期が終了します。

以上のように、法人である場合には、創業の年月日と決算日が何時かにより実質的な
経過期間に大きな差
が生じてしまいますので注意ください。

 

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