融資の成否は設立のときに決まる?
前回のブログでは、「形ばかりの設立をしてしまうと十分な融資が受けられなくなる」ということ
をお話ししました。
「設立手続き」と「融資」。
一見、この両者の間には何の関係もないように見えます。
実際、設立の登記をする際には、法律で定められた項目だけを定款に記載し、これを申請書とあわ
せて提出すればよいだけですし、会社の作り方が悪かったから融資が出なかったという話もあまり
聞きません。
だったら、設立登記はどこがやっても同じなのだから、「早くて安いところに頼んだ方がいい。」
と考えたとしたら、それは大きな間違いです。
なぜなら、仮に設立の方法が悪いために融資がでなかったとしても、多くの人はそれに気づいてい
ないからです。
しかし、ここでチョット誤解しないでいただきたいのは
「 設立手続きをキチンとしている 」 = 「 必ず融資が出る 」
ということではありません。
もちろん、後々の融資のことを考えて設立手続きを計画的に行っている場合でも、状況によっては
希望する結果が出ないこともあります。
けれどそれは本人の計画不足や自己資金不足などによるものであって、手続きウンヌンだけではど
うにもならない問題です。
ここで言いたいのはそういうことではなく、本来、融資を受けられるべきはずの人が設立の手続き
が不十分であったために融資が受けられなくなってしまうということなのです。
それほどまでに、設立手続きと融資は密接に関係しています。
特に創業融資の場合では、たいてい、いくつかの条件が付けられているのが普通です。
その中でも代表的なのが、「自己資金の額に応じて融資の限度額が決まってしまう」という制約で
しょう。
一般的に、このような条件は「自己資金条件」などと呼ばれています。
これはどういうことかといえば、創業者が融資を受ける場合にその融資の上限額は、その人の手持ち
の資金額(自己資金)の2倍までに制限される。というものなのですが、日本政策金融公庫の新創業
融資などはその代表例でしょう。
これをわかりやすくいえば、
仮に開業にあたって500万円の現預金(いわゆる「自己資金」)がある人は、その2倍の1,000万円
について申込みをすることができますが、
この自己資金が300万円しかない場合には、600万円の融資申込みしかできない。
ということです。
この場合、自己資金は300万円しかないけど、なんとか700万円を借りたいというのはダメです。
もし、どうしても700万円を借りたいというのなら、別の融資制度を利用する他ありませんが、現在の日本政策金融公
庫には無担保無保証でこれ以上の金額を創業者に貸す制度はありません。
その他にも、一般の金融機関では融資をすることができない業種というものがあり、これに該当す
る場合や会社の目的に入れてしまっている場合には、やはり融資そのものを受けることができなくな
ってしまいます。
また、会社の本店が事業計画の中身とつじつまのあわないものだったり、他の会社の一部を間借り
しているようなケースなどでも、審査上は大きな×がつくことになります。
このように創業融資の審査では、通常の融資にはない特有の条件が付けられていることが多いので
すが、ところで、ここまでの話で何か気付いたことはないでしょうか?
そうです。
それは「 これらの項目は、すべて設立登記の登記事項でもある」ということなのです。
つまりは、融資を希望するならば、あらかじめこれらの審査のことも考えて設立をすべきというこ
とになります。
そして、もし、このことを考えずに手続きを行ってしまった場合には、その後に変更手続き、もし
くは設立手続きのやり直しをしなければ融資が受けられないということも十分にあり得るのです。
事実、ご相談にいらっしゃる方の多くで、「設立前に相談に来ればよかった!」とおっしゃる方が
大勢いらっしゃいます。
これで最初に説明した、「形ばかりの設立をしてしまうと十分な融資が受けられなくなる」という
ことの意味が多少はご理解いただけたでしょうか?
そこで次回は、これら重要事項の一つずつを取り上げて、創業融資に失敗しないためにはどんな点
に注意して設立をすればよいかについて、詳しく解説していきたいと思います。
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