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赤字決算の場合の対処法



     
良い赤字と悪い赤字
    

       
みなさん、会社の赤字には「良い赤字」と「悪い赤字」の2種類があるというのはご存知でしょうか?


      もちろん、決算は本来、黒字であることが望ましいのですが、時と場合によっては赤字となってしまうのもや
      むを得ません。


      しかし、問題はその赤字の中身です。

      それが「良い赤字」ならば、まだ、融資を受けることができます。

      でも、「悪い赤字」ならば、その期だけでなく、以降の期についても融資は出なくなってしまうかも知れません。

      このように同じ赤字でも、その中身が「良いか・悪いか」により、その後の融資状況は大きく変わります。




     「良い赤字」とは?

     
      では、良い赤字や悪い赤字とは、どんなものなのでしょう?

      一般的に金融機関があまり問題としない赤字(「良い赤字」)としては、次のようなものがあります。


       ・ 経営本体に与える影響が少ないもの。

          - 金額が少なかったり、または大きな設備の除却をした場合に生じたもの


       ・ 創業時の赤字

          - 創業時の赤字であって、しかも、黒字化できるまでの期間がおおむね5年以内であり、売上高及
            び計上利益が、事業計画の約70%程度確保できるものであること。


       ・ 多額の減価償却をしたことにより生じた赤字

          - 減価償却は、これを計上しても実際の現金が外に出ていかない損失です。
            そのため、減価償却により赤字を生じても、融資の判断においてはその減価償却分のマイナスが
            なかったものとして見られます。

            たとえば、損益計算書で、経常利益部分までは黒字だったものの多額の「特別損失」を計上した
            ことにより、最終利益が赤字となってしまったような場合がこれに該当します。


       ・ 新規事業や研究開発に伴う赤字

          - 以上の理由によって、赤字を生じた場合でも、それが当初の事業計画の範囲内であり、これらの
            事業や研究により、黒字化が見込まれる場合など。


      これらの事由により生じた赤字は、それが短期のものであるならば、さほど融資に対する影響はないものと考
      えられます。





     「悪い赤字」とは?

     
      一方、悪い赤字には、次のようなものが該当します。

       ・ 2期以上、連続した赤字
  
       ・ 前向きな事業の計画(収益の改善策や新規事業など)がない中での、単なる売り上げ低迷による赤字

       ・ それが原因となって、銀行の融資格付けを下げてしまうような赤字
 
       ・ 今後、2年以上にわたり、繰越損失が解消できないような規模の赤字





     「悪い赤字」を出してしまったら?


      では、「悪い赤字」を出してしまったら、どうすればよいのでしょうか?

      次やその次の決算で挽回できる見込みがあり、それまで融資もいらないというのであれば、それはそれでよ
      いでしょう。

      しかし、実際には、そこまでの内部留保ができている会社というのははほとんどなく、できればすぐにでも融
      資を受けたいというのが一般的な中小企業だと思います。


      とはいえ、現実は厳しく、上のような悪い赤字を出してしまった場合には、銀行による融資格付けが引き下
      げられてしまうのが普通です。


      そして、格付けが下がれば、次に示すような負のスパイラルにはまり込んでしまいます。



          
格付けが下がると・・・

             

                   「 赤字による融資格付けの低下 」

                            ↓

                   「 ますます融資が出にくい状況となる 」
            
                            ↓

                    「 事業が回らず、ますます、売上が落ちる 」

                            ↓

                   「 さらに、赤字になりやすくなる 」



     でも、このような悪い赤字を出した場合であっても、次の決算を待たずに挽回できる方法があります。

     それが「経営改善計画の作成」です。

     赤字の中小企業であっても、有効な経営改善を作り、これを金融機関に提出することができる場合には、
     格付けの低下を一時的に食い止めることができます。


        ※ 金融検査マニュアル事例11他より





     「債務者区分」について


     ここまでで、たとえ「悪い赤字」をだしてしまった場合でも、経営改善計画を作って提出できれば、融資格付
      けを下げずに済むということがおわかりいただけたと思います。

     では、融資の基準となる「融資格付け」とは一体どんなものなのでしょう?


     現在、金融機関から融資を受けている会社はすべてある一定の基準にしたがって、経営成績に応じたラン
     ク付けをされており、この判定の際の基準になるのが「債務者区分」といわれるものです。



     
この債務者区分は下記の表のとおり、大きくは5つ、細かくは6つからできています。

     

         債務者区分表
債務者区分 債   務   者   の   状   況
 A 正  常  先
 業績が良好であり、財務内容にも特段の問題がない債務者
 B 要注意先  業績低調、延滞など、今後の管理に注意を要する債務者
 おおむね、赤字先のイメージ
 B´要管理債権先  要注意先のうち、要管理債権(注)をもつ債務者
 おおむね、繰越欠損先のイメージ
 C 破綻懸念先  現在は経営破綻の状況にないが、経営難の状況にあり、今後、
 破綻が懸念される債務者

 おおむね、債務超過先のイメージ
 D 実質破綻先  法的・形式的な経営破綻の事実はないが、実質的に破綻に陥っ
 ている債務者
 E 破  綻  先  法的・形式的な経営破綻の事実(破産、清算、取引停止処分な
 ど)が発生している債務者

    【 要管理債権 】

    要注意先のうち、以下のいずれかに該当する債権を言う
      ・ 元本または利息の3ケ月以上の延滞
      ・ 貸出条件の緩和をすることを約した債権(いわゆる、リスケジュールをした場合)

    これがあると、単純な「要注意先」よりも1ランクダウンする。



      なお、この区分の中で問題なく融資が受けられるのは一番上の区分の「正常先」だけです。

      地方銀行や信用金庫クラスなどでは、次の区分の「要注意先」までは融資を受けられることが多いようです
      が、いずれにしても融資の対象となるのはここまです。

      一般的に「要管理先」以下の区分については、融資の対象とはなりません。


      したがって、赤字を出すことにより「要注意先」ならまだしも、「要管理先」以下となってしまうような場合には
      その後の融資については、かなり絶望的となってしまいます。

      これが「悪い赤字」より生じる、一番大きな問題です。

      融資の継続的な確保のためには、これを食い止める必要がありますが、そのために一番有効なのが先ほど
      の「経営改善計画の作成、提出」ということになります。





     効果のある「経営改善計画」とは?


      とはいえ、経営改善に関するものなら何でも出せば良いというわけではありません。

      金融検査マニュアルが認める、効果のある経営改善書とは、以下の条件を満たせるものに限られます。



      
債務者区分の低下に効果のある経営改善計画書

       ・ 金融機関等の支援を前提として策定されたものであること
       ・ 経営改善計画等が合理的で、実現可能性が高いと判断されるものであること
       ・ 経営改善に努め、1年を経過した時点で計画比8割以上の実績で推移していること
       ・ 2年後には約定弁済が見込まれるなど業況の改善がほぼ計画に沿って進捗すること


      以上の条件のうち3番目と4番目については、計画が始まった後の問題となります。

      したがって、最終的にそこまでもって行く必要はあるものの、計画の作成時点の条件としてはあまり関係ありま
      せん。

      つまり、計画の作成時に絞って考えると重要なのは、1番目と2番目の条件ということになります。

      これをそれぞれについてみてみたいと思います。



        <金融機関の支援を前提として策定されたものである>

        この条件については、通常の金融機関ならば、債務者が作ってきた計画を無視することはないでしょう
        から、特に大きな問題はないと思います。


        <経営改善計画等が合理的で、実現可能性が高いと判断されるものである>

        経営改善計画等が「合理的であるとは、
        つまるところ、企業側ができる最大限の努力を計画の中でしているかということを意味します。

        この場合の、最大限の努力とは、その企業や状況によって、さまざまだとは思いますが、たとえば遊休地
        があるような場合にはその売却によるキャッシュの確保や、余剰人員のリストラや代表者給与の引き下
        げによる経費の削減などを含みます。

        また、「実現可能性が高いと判断されるものである」とは、
        計画の中で本当に現実性のある内容となっているか、いわば「絵に書いたモチ」となっていないかという
        ことです。
  
        たとえば、「一層の営業努力による売上げの回復」などは、どのような方法で営業力を改善し、売上げの
        増加に結び付けるのか?ということまでが明確になっていなければ、「実現可能性が高い」とは評価され
        ません。





     「経営改善計画書」にとても効果的な、あと一歩とは?


      以上が効果的な経営改善計画を作る上での、いわば最低限のポイントとなります。

      しかし、これをさらに発展させて、もう一歩上の計画とするための重要な視点があります。


      それが、経営改善計画書の中に「債務者区分のランクアップポイントを取り込む」ということです。


      「債務者区分について」の部分でもお話ししましたが、赤字を出すことにより最も問題となるのは「債務者区
      分の低下」という事実です。

      そして、結局は経営改善計画も、これを避けるために提出するわけです。


      ならば、今回の経営改善計画書にこの債務者区分の改善(ランクアップ)をさせるために重要な対策を入れ
      ておけば、その計画はさらに「効果的」なものとなります。


      債務者区分は、様々な指標を分析し、それぞれのポイントを合計することによって決定されるのですが、そ
      の中でも、債務者区分の改善にもっとも効果の大きい、いくつかの指標としては次のものがあります。



        ① 資本の増加
       ② 利益の増加
       ③ 債務の償還期間   
       ④ 債務超過の解消期間



      これらの対策のすべてをいっぺんに行うことはできませんが

         ①については  「代表者貸付金の資本の振り替え」など

      により、比較的、簡単にできますし、

         ④についても  ①の指標に対する対策を行う

      ことにより、同時にこれを行うことができます。


      また、②についての対策をすることができるのであれば、やはり③についても同時に対策が可能となります。


     このように、漠然と「合理的」とか、「実現可能性が高い」とするのでなく、債務者区分のランクアップの
     ための指標の改善という具体的なテーマをもって計画を作ることにより、本当に金融機関を納得させる
     ための計画を作ることができます。

     

  

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