それでも納得行かない人のために! 徹底抗戦、最後の手段。
これまでの内容で、積算の考え方や基本的な清算までの流れ、対処の方法等はお分かりいた
だけたと思います。
これで全てカタがつけば問題なし!なのですが、現実には世間(特に一部悪徳業者と大家)
はそんなに甘くはありません。
なんといっても、借主の弱いところは「敷金」を大家側に握られているということ。
ここからは、(できるだけ)合法的にこれをどうやって取り戻すかを説明します。
業者への対抗策
「都合が悪けりゃ知らん顔を決め込む」、「平気で前に言ったことを覆す」ひどいケースでは
「客を怒鳴りつけたり、恫喝まがいの発言で客をびびらす。」
結構、この手の業者は後を絶ちません。
ここでは、こんな業者の根絶を願って、どうすればこんな業者に対抗できるかのテクニック
をお教えします。
1.行政へ苦情の申立てをする。
不動産に関するトラブルの相談先としては、各地区の宅地建物取引業協会や全日本不動産協
会などの他に、弁護士会や消費者センターなどがありますが、協会系は身内だし、センター
には強制力はないし、弁護士会などの無料相談は一度ですめばよいのですが、長引くほど多
額の費用がかかるのが難点です。
そんな中で、一番手近で強力なのが「宅建業法の主管担当課」(例えば、東京では住宅
局指導課)に対する苦情の申立てでしょう。
本来、住宅局は裁判機関ではないので、その指導等などには強制力はないのですが、ここが
不動産業者の元締め的役割を果たしているので、通常、その判断に業者は従うことが多いだ
けでなく、ここに話を持込まれるということ自体、業者にとってはいろいろと面倒なことな
のです。
下記に代表的な窓口の連絡先を掲載しますので、何かのときはお役立てください。
① 都道府県庁の苦情窓口
この窓口の職員はすべて公務員なので、不動産会社を詳しく調査する権限があり、悪
質な場合には不動産会社の営業を停止させることも可能。
< 宅地建物取引に関する苦情処理窓口(首都圏)>
東京都住宅局不動産業 電話:03-5321-1111(代)指導部指導課
② 不動産業者が関わる取引紛争の民事上の相談
名 称:不動産取引特別相談室(東京都住宅局内)
取扱業務:宅地建物取引業者が関わる紛争などの民事上の法律相談
相談日時: 開設日以降の開庁日の午後1時~4時
予約受付: 相談日の1週間前から下記の電話などで受付(閉庁日は繰り下げ)
相談方式: 事前に相談日を予約し、当日関係書類持参のうえ面談相談
所 在 地: 新宿区西新宿二丁目8番1号(都庁第二本庁舎三階北側)
電 話: 03(5320)5015
2.シッカリと記録を残す
意外と効果が大きいのでお勧めなのが、やりとりをしたときはシッカリと記録に残すという
ことです。
めんどうなのはわかりますが、重要なやり取りをしたら、少なくとも日付、方法(直接の会
話なのか、電話なのか)、相手の名前、会話のポイント等を2~3行でもよいので書きとめ
ておき、ある程度、数がたまったらまとめて清書しましょう。
行政への申立てだけでなく、裁判になった場合にも、これがあるとないとでは結果が大きく
かかわってきます。 ICレコーダーなどで録音しておくのも良いでしょう。
3.法律違反がないかどうかを確認する。
業者を規制する法律としては、「宅地建物取引業法」と「東京ルール」の2つが代表的なも
のです。
以下、賃貸住宅の取引において、特に問題となることが多い部分について説明しますので、
もし、法律違反を見つけたら強い態度で主張して、交渉のイニシアティブを握りましょう。
「宅地建物取引業法」
① 重要事項の説明はキチンと取引主任者が行っているか?
宅建業法によれば、資格をもった宅地建物取引業者が、重要事項の説明を行なう義務
があります。
人手が足りないからといって、無資格の職員等にこれを行なわせることは出来ません。
また、説明の際には取引主任者であることの証明書(宅地建物取引主任証)を提示す
ることが義務付けられていますので、シッカリ確認しましょう。
② 契約の申込の際に「誇大広告」や「おとり公告」などがないか?
「仲介手数料何%割引」となっていたのに割引がない、すでに決まったといわれた物件
がいつまでも張り出されている。
これらの場合には、誇大広告やおとり公告の可能性が高く、もし、これに違反した場合
には、最高1年以内の業務停止または6ケ月以下の懲役と重い処罰があります。
③ 仲介手数料はとられすぎていないか?
賃貸住宅の仲介手数料は、あらかじめ一方から承諾を得ている場合に限り、賃料の1ケ
月分をとることができ、そうでない場合には、一方から得ることのできる手数料は半月
分以下でなければなりません。
キチンとその旨が説明されたか、契約書に記載されているかを確認しましょう。
「東京ルール」(ルールにもとづく説明はなされたか? 書面は交付されたか?)
以下の項目について説明、書面の交付がない場合には、報告命令、指導、勧告、公表の対象
となります。
・退去時における住宅の損耗等の復旧は原則、賃貸人が行うこと。
・住宅の使用収益に必要な修繕については原則、賃貸人が行うこと。
・賃貸借契約の中で、借主の負担としている具体的な事項
・設備の修繕及び維持管理等に関する連絡先
悪徳大家への対抗策
さあ、最後は大家との対決です。どんなに業者に文句を言おうと、つるし上げようとこれに勝た
なければ、結局、敷金は戻ってきません。
ここでも、効果的と思える方法についてポイントをおさえながら説明します。
1.内容証明の送付
意外と効果があったり、なかったりと極端なのがこの内容証明でしょう。
相手がこれまで平穏な生活を送ってきて、もめ事が嫌いで、世間体を気にするタイプだったり
すると、これだけでケリがついてしまったりしますが、これを鼻紙程度にしか思っていない強
者だった場合は、残念ながらほとんど効果は期待できません。 しょせんは、お手紙ですから。
書き方等については、専門のHPがたくさんあるので、そちらを参考にしてもらうこととして、
ここでは注意すべき点についてのみ、触れることとします。
① いきなり出さない。
しょせん手紙といっても、これを出せば宣戦布告したのと同様の効果があるで、とりあえ
ず、電話なり、普通の手紙でこちらの意向を伝えた上で、もう、これ以上無駄と思ったら
出すようにしましょう。
本来、人は話せばわかるものです。(たぶん・・・)
② 書く内容に気をつける。
内容証明は、こちらにとって後日に明確な証拠を残すための手段ですが、それは相手にと
っても同じことです。
うかつなことを書くと、後々自分が不利になったりしますのでご注意を!
内容は、あまりくどくどと書かず、必要最低限のことだけを書くように心がけましょう。
2.少額訴訟の提起
内容証明の段階でまとまらない場合には、ここまでやらないと最終的な決着がつかない場合が多
いようです。
特徴としては、通常の訴訟に比べると訴状の書き方も簡単で、費用も数千円~2万円程度と安く、
何より、原則1回の審理で判決が出される迅速性が魅力的です。
反面、利用回数に制限がある(年10回まで)や反訴の提起ができない、相手の同意が必要(同意
がなければ通常訴訟に移行する)、法律の問題が多岐にわたる場合や鑑定、現場調べ、多数の証
人調べが必要な場合などは不可、訴額(訴える金額)の上限が決まっている等の制約があります。
また、少額とはいえども裁判であることに変わりはなく、訴訟により生じる効果については通常の
場合と差はありません。
以上、メリット、デメリットをよく考えた上、行いましょう。
3.その他
・消費者契約法にかける!
H16. 3.16(平成15年(ワ)第162号)に京都地裁で、画期的な判決が出されました。
それは、契約中に「自然損耗および通常の使用による損耗について、賃借人が原状回復義務
を負担する」という特約がある場合の効力と敷金の返還が争われたものでしたが、同判決で
は平成13年4月1日以降に行われた賃貸借の更新契約については、消費者契約法が適用され、
原状回復特約にも同法の適用がなされるとして、敷金の返還を認めました。
原状回復の場面に、消費者契約法の適用を入れたものとして評価できるものですが、本件と
は異なり特約が有効であるとされた事例(東京地方裁判所平成12年12月18日判決)も
あることから、一般的なルールとなるには、もう少し時間がかかりそうです。