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       具体事例で説明する
          銀行格付の仕組みと対策



  ここまでいろいろと「銀行格付」について説明してきましたが、なかなかピンと来ない人も
  多いと思います。

  そこでここでは、金融検査マニュアルの事例に沿って、一般的にあるような会社を想定とし
  て、格付け対策上「どこが悪いのか?」「どうすればよいのか?」を中心に詳しく説明したい
  と思います。




   【 事例 : 家族で経営している家電業者のケース】

  
( 事業概況 )

  ・ 家電販売業A社は、これまで家族経営により、主に近隣地区の顧客を対象に商売を行ってきたが
    大型量販店の進出により、売上は徐々に減少し、前期ではピーク時の 2/3 の水準になっている。

  ・ 最近は2 期連続の赤字を計上し、赤字分については個人の預金から補填しているものの今期に入
    ってから2度ほど返済が遅れている。
    また、2年前に保証協会に対し、元金の一部減額を申請し了承されている。(リスケジュール中)   
     前期年商は8,000万円、借入れ総額は約6,000万円。

  ・ 経営者のB氏(65才)には息子(30才)があるものの現在、サラリーマンとなっている。


  
( 格付けの状況 )

  ・ 2 期連続の赤字を計上しており、具体的な業績向上の材料も見当たらないことから、「管理先」に
    区分されている。
    しかし、このままの状況で、さらに今期も赤字を計上するようならば、もう一ランク下の「破綻懸念先」
   への変更の可能性も金融機関から指摘されている。


  
( 格付け対策上の問題点 )

   本事例の場合、状況からして金融機関の判断(「管理先」→今期業績によっては「破綻懸念先」)は、
   通常の対応と思われる。
   
   現在の状況の問題点としては、主に以下のものが考えられ、これらが格付けを悪化させている。
    @ 2 期連続の赤字を計上している。
    A リスケジュールを行っている。
    B 売上げの回復が見込めない。


  
( 格付けUPのポイント )

   本事例では、過去にリスケジュールを行っており、かつ、2 期連続の赤字を計上していることが格付
   対応上の最大の問題点となっている。
   現在は「管理先」でとどまっているが、今後「破綻懸念先」に区分された場合には、金融機関による
   強硬な対応も考えられることから、これ以上のランクダウンはなんとしてでも避けなければならない。

   ここでは、この会社が現状維持および近い将来的なランクアップをするために最低限、必要な対策
   を挙げてみる。

    @ 経営改善計画の作成

        現在、A社はリスケや支払いの遅れなどにより、金融機関の信用を失っている状況にある。
        この信用を回復するためには、経営改善計画を作成し、金融機関の支援を仰ぐことが最も
        効果的な手段となる。

        しかし、この計画はただ作ればよいというわけではなく、3ケ月または6ケ月ごとにその進捗
        の報告を求められることから、最低限でも80%程度は達成できるものでなければならない。
        もし、これが提出できない、または内容について金融機関の了承が得られない場合には、
        格付けの低下はほぼ免れないこととなる。

        逆に、計画を作成し、金融機関の協力を得て80%以上の進捗ができれば、格付けの改善に
        大きな効果をもたらすこととなる。
         ※ 金融検査マニュアルにおいても、実効的な経営改善計画書を提出し、計画の80%程度
            を達成している企業については、格付けダウンをしないように指導している。


    A 役員借入金の資本金への充当等

       これまでA社では、赤字の補填のために代表者Bが個人資産をつぎこんでおり、これは決算
       書上で「役員借入金」として計上されているはずである。
       
       金融検査マニュアルでは、このような資金については、会社の資本金と同質のものとみなし、
       代表者が返還を要求しないことを条件に、表面上の資本金(登記簿上の資本金)に加算して
       格付け算定することができるものとされているおり、仮にこのような処理が行われるとすれば
       決算書状は資本金が増加し、負債が減少するため格付け対策上の効果は大きい。

       しかし、企業によってはこれを仮払金や他の科目で計上している場合も多く、このような場合
       に加算の対象からもれてしまうことが十分に考えられる。

       また、金融機関の職員の中にはマニュアルの内容を十分に知らない者も多いことから、仮に
       「役員借入金」として計上されている場合でも、必ずしも上記のような処理を行ってもらえると
       は限らない。

       このため、確実に上記のような処理を望むのならば、「役員借入金」を「資本金」へと振り替え
       ることが必要となる。
       この手続きは、現物出資にあたることとなるが、近時の法改正により500万円以下のものにつ
       いては簡易な手続きで行えるようになっている。


    B 後継者の事業継続の表明
  
       直接の格付け評価には影響が少ないものの、事業が後継者により継続するのかどうかは金融
      機関にとっては重要な関心事である。

      金融検査マニュアルにおいても、後継者による事業への支援が表明されている場合には、格付
      け判定上これを考慮すべきこととされている。

      本事例においては、息子はサラリーマンとなっているが、この息子の事業に対する支援が明確
      となれば格付け対策上は有利になるものと考えられる。


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